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フィンテックと企業経営:初回の講義を受講

はじめに
先週の6月8日が初回の予定であったが、諸般の事情から今週が初回となった。講師は元銀行マンの遠藤正之教授だ。フィンテックの専門家だ。

授業の進め方
7回の講義のうち、前半は講義中心だ。後半は外部の専門家を招聘して、最新事情の講義を受けるのと、生徒のプレゼンを行い、その後やり取りをするようだ。レポートは個人ベースのものとグループワークのものがあるが、受講生が五名+聴講生1名なので、個人ワークとなるようだ。

フィンテックの概要
今日は、初回なので、受講する生徒が自己紹介をするとともに、フィンテックの概要についての講義を受けた。フィンテックの基本的な事項やその関連事項などについての説明が中心だった。興味深い内容だけど、後半は少しリズムが単調になった。講師の方も理解されていて、次回からは生徒の発表を交えて、双方向型の講義となる予定だ。コンセプトの類型は理解しやすい。静かな口調だが講師の想いは十分に伝わる。講師が何を考えて、何を目指しているのかは生徒にとっても大切なメッセージだ。

講義で出てきた9つのキーワード
フィンテックは新しい分野なので、興味深いキーワードもいろいろ出てきたので、少しレビューしてみたい。

1. 個人的な財務管理
家計簿を作成するのは大変だけど、ZAIMを使ってスーパーのレシートをスマホのカメラで撮影すると、エンゲル計数までグラフ化して示してくれる。こんなことを小学校とか中学校の保護者向けの講演の最初のアイスブレイクで使うと注意を引くことができる。個人的にはZAIMを試したがこれはどちらかといえば女性向けだという。もう一つはマネーフォワードでこちらは男性の利用者が多いらしい。いずれも利用登録者は800万人ほどだが、有料会員は10-20万人なので、経営は厳しいかもしれない。
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 出典:www.excite.co.jp

2. アカウントアグリゲーション
ネットバンキングでは、じぶん銀行を活用している。これは銀行なので、このアプリで完結する。しかし、例えば、LINEペイとかだと、決済銀行との連携が必須だ。利用者は多様な銀行を使っているので、必然的に複数の銀行との連携機能が必要だ。このような機能をアカウントアグリゲーション(Account aggregation)という。
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 出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000018493.html

3. 電子決済等代理業
先述のアカウントアグリゲーションは誰でもできるわけではない。2018年6月より、電子決済等代行業の制度が開始した。国内で電子決済等代行業を行うには、銀行法等に基づいて、登録することが必要だ。第一号の登録業者はフリー株式会社で2018年9月26日だ。2019年6月4日には株式会社アプラスが55番目の業者として登録されている。
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 出典:10分でわかる電子決済等代行業の実務と改正銀行法

4. オンライン融資
企業が銀行から融資を受ける場合には、事前の申請や審査が大変だ。このため、これを自動化する動きがあり、それがオンライン融資だ。融資を検討している企業は、オンライン融資の企業にアクセスして、ネットで判断してOKなら即融資だ。当然貸し倒れのリスクもあるので、銀行側は高めの金利を設定している。福岡銀行なら7%だという。そんな高金利でもいいので、融資を欲しいという企業は大丈夫なのだろうかというのは余計な心配だろうか。
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 出典:https://www.sbbit.jp/article/cont1/35659

5. クラウドファンディング
クラウドファンディングには、寄付型とか、事前購入型、融資型、投資型、株式型などがある。この中で圧倒的な存在感を示すのが融資型だ。2017年度実績では、全体の約9割の1534億円を占めている。いわゆるソーシャルレンディングだ。現状では匿名が前提となっているが、そのための弊害も指摘されている。
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 出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000037237.html

6. 株式型クラウドファンディング
制限はあるが、2015年5月に金融商品取引法が改正され、株式による投資も可能となった。具体的には、クラウドファンディング事業者を経由して、非上場企業に投資することができるようになった。投資家にとってのメリットは、その企業が上場した時のリターンが期待できることだ。しかし、現状では、1社あたり50万円という制限がある。一般的には、小口の投資のオプションとして活用できるだろうか。
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 出典:https://crowd-portfolio.jp/119

7. ロボアドバイザー
人工知能の導入に伴って、大手投資会社のゴールドマン・サックスでは、人間のトレーダーが激減した。報道によると600人から2人という。これを実現したのはAI機能を駆使した自動株取引プラグラムだ。そして、このプラグの運用には200人のエンジニアが働いている。つまり、600人のトレーダーが200名のプログラマーに変わったということか。そして、そんなプログラムが今はスマホで運用できる。特に、有名なのが、下のWealthNaviだろうか。これを使えば富裕層に仲間入りするのだろうか。ウェルスナビでは世界約50カ国1万1000銘柄に分散投資しているという。すごい時代になったものだ。
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 出典:https://full-dive.com/wealthnavi-fearture/

8.ポイント運用サービス
クレディセゾンの林野会長にプレゼンをしたのが5月18日だ。まだ、1ヶ月経っていないけど、すごく昔のように感じる。そして、自分たちのグループは、インドネシアでのマイクロファイナンスを提案したが、別のグループではポイントの有効活用を提案していた。林野会長は興味を持って評価されていたが、そんなクレディセゾンは2018年3月から、ポイントを活用した積立投信を開始しているという。これに追随するのがNTTドコモでともに利用者は20万人規模だ。ポイント活用のアイデアはすで実践されていた(汗)。林野会長は、知らぬ振りをしてくれていたのだろうか。それともあまり詳しくなかったのだろうか(笑)。
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 出典:ポイント運用が多彩に 投信の積み立て購入や個別株も|マネー研究所|NIKKEI STYLE

9. ブロックチェーン技術
フィンテックといえば、その代表的な技術がブロックチェーンだ。これについては、1時間話をしても不足するけど、今回の授業では10分ほどだった。これはちょっと誤算だった。フィンテックのコアの部分をもっと語って欲しかった。銀行のシステムの開発や運用は経験されていたので、金融システムや銀行システムの話題は豊富だ。
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 出典:ブロックチェーンで世の中はどう変わる?(前編) | ウェブ電通報

宿題
来週の土曜日の前日(6/21)までに、企業か法人を決めて、課題を明確にして、その課題をフィンテック技術を活用して解決することを考えろというのが今回の宿題だ。どうしよう。なかなか難しい。まあ、ゆっくりと考えよう。

まとめ
春期後半の講義での初回授業はこれで一区切りだ。それぞれに特徴がある。フィンテックの世界はこれまでもこれからも変化が激しい。常にアンテナの感度を上げておかないとすぐに自分の知識や見解が古くなる。自分は、専門の電気・電子部門とその総合技術監理部門に加えて、経営工学部門に登録している。経営工学の専門は生産管理だが、経営工学には金融工学がある。専門は別にして、少なくとも経営工学部門の技術士には、ぜひMBAにトライして、視野を広げて欲しいと思う。MBAの勉強を通じて、シーズとしての技術と、ニーズとしての企業経営の両面から社会の課題を捉えることができるようになるのではないかと思う。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。