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仮想通貨xデリバティブ取引の可能性とリスク

はじめに
昨日の土曜日の午後の授業はファイナンスだった。これまで企業価値の計算とかが多かった。今日は、オプション取引の基本的な概念から二項モデル、オプション価格を計算するためのブラックショールズの公式などを習った。オプション取引を中心にデリバティブ取引はここ10年で10倍に増加している。これから10年後、20年後はどうなっているのだろう。ソフトランディングできればいいけど、破綻が起きる可能性はないのだろうか。

オプション取引とは
株式や現金や商品を取引するのは実体経済だ。しかし、オプションとはなんだろう。オプションとは実際に売買する行為ではなく、売買の行為を約束することで派生する権利だ。デリバティブとはこの派生の意味だ。オプションには、次の4つのパターンがある。
 1) 買う権利を買う:コールオプション(ロング)
 2) 買う権利を売る:コールオプション(ショート)
 3) 売る権利を買う:プットオプション(ロング)
 4) 売る権利を売る:プットオプション(ショート)
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 出典:先物・オプション取引 − やさしい日経225オプション取引

オプションの起源
大好きなWikiによると、記録に残っている最古のオプション取引は紀元前6世紀のギリシャだという。紀元前585年の日食を予言したタレスという貧乏学者が学問の有効性を証明するために、オリーブの大豊作を予想して、臼を借りる予約をして大儲けして見せたという。学問を極めれば金儲けなどいつでもできると言いたかったのかもしれない。オプションが花開いたのは、17世紀のオランダのチューリップバブルだ。そして、このチューリップバブルが破綻したのは、チューリップ価格がどんどん値上がりした結果、コールオプションを売っていた業者の経営が行き詰まったためという。ドイツ銀行デリバティブの残高が膨れ上がっているリスクが指摘されている。歴史は繰り返すのだろうか。

世界のデリバティブ市場
2000年当時に190兆ドルレベルだったデリバティブ市場が2006年には570兆ドル、2013年には710兆ドルに増大した。下の図は相対取引ベースなので数字が若干異なるが、まあ急成長しているのは間違いない。注目すべきは、一本調子に上昇していたものが、現在は頭打ちになっていることだ。これは、G20での議論などを踏まえてデリバティブの規制が強化されたためだ。世界は規制強化なのに、日本では異次元緩和が叫ばれている。これは矛盾しないのだろうか。
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 出典:www.nikkei.comG20、金利などデリバティブに新規制 2015年にも導入 :日本経済新聞

日本のGDPと世界のGDP
日本のGDPは2012年に抜かれて世界第3位となり、今は500兆円ほどか。しかし、世界のGDPは80兆米ドルだ。US$1.0=108円として、8640兆円なので、日本のGDPの17倍ほどだ。2019年予想では、日本の5.2兆ドルに対して、米国は21.48兆ドル、中国が14.17兆ドルだ。中国のGDPは日本の3倍近くになっている。すごい。

世界のデリバティブ市場>世界のGDP
ここが理解できない。世界のGDPが80兆ドルなのに、なぜ世界のデリバティブ市場は710兆ドルなのか。2013年の710兆ドルをピークに現在はCDS規制なども強化されて減少傾向にある。実体経済の十倍近い仮想経済が形成されている。こんな状態が将来も続くのだろうか。下の図の左が日本、右が世界の金利デリバティブの残高推移だ。報告対象外金融機関が大多数というのも理解できないところだ。
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 出典:https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2017/data/rev17j08.pdf

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)
デリバティブ取引の一種で、BIS規制の強化に伴って、銀行の自己資本比率を高める対策として広まった。一定の自由が発生した場合に損失額の補填を受ける仕組みだ。つまり、CDSは、定期的な金銭の支払い(プレミアム)と引き換えに、再建の一定の元本額に対する信用リスクの保証(プロテクション)を購入する仕組みだ。これでも、まだわかりにくい。世界的な投資家であるウォーレン・バフェットはこのCDSの仕組みのことを時限爆弾とか、金融大量破壊兵器と揶揄している。リーマン・ブラザーズが金融破綻した時に、AIGを救済したのは、AIGが破綻した場合にAIG保有するCDSの被害が世界中に波及すると考えたからだという。そんな危険なCDSは日本でも2008年のリーマンショックの後から急速に拡大している。大丈夫なのだろうか。
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 出典:http://www.h-yagi.jp/00/post_231916.html

仮想通貨の復活
自分がビットコインに注目し始めたのは名古屋に単身赴任しているころでまだ7万円ほどだった。試しに買って、トレードを楽しんでいたが、自分には無理だった。上がると思うと下がるし、下がると思うと上がる。人間の思惑をあざ笑うかなように価格が高騰したり、暴落したりする。自分には投機の才能がないとつくづく痛感した。少しおこずかいを稼いだぐらいで手仕舞いにしたが、最近になってまた反転傾向が出ている。購入するのであれば、今がチャンスだろう。
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 出典:仮想通貨は終わりなのか?過去の価格推移から見る今後の価格上昇について | 仮想通貨部 かそ部

仮想通貨の現物取引デリバティブ取引
仮想通貨にも、現物取引デリバティブ取引がある。仮想の仮想は何になるのか。そして、仮想通貨(この呼び方も古いかも)においても、信用売買や先物取引が行われている。詳細は下の通りだが、平成26年度でのビットコインは現物23億円に対してデリバティブは2億円だった。しかし、平成28年度には現物を超えて、平成29年度には現物の5.6倍に膨れ上がっている。仮想通貨自体がコンピュータで処理する仮想的なものだし、デリバティブもコンピュータで処理する仮想的な概念だ。この2つが合わさると今後どこまで取引が増大するのか誰も予想がつかないのではないだろうか。
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 出典:https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180410-3.pdf

まとめ
残念ながら昨日予定していたフィンテックの最初の授業が休講だった。どんな先生かわからないけど、残念だ。今後、仮想通貨がまた反転急増するのだとしたら、それはデリバティブ取引がエンジンになっているのだろうと思う。デリバティブ取引の先にあるものはパラダイスではなく、バルブの崩壊だ。しかし、崩壊するまではバルブで果実を得る人もいる。テレビでコマーシャルをしてから買う人は負け組だ。買うなら今だと思う。そして、テレビで懲りずにコマーシャルが始まったら売り抜けよう。そんな作戦なら多分成功すると思う。でも、自分には無理だ。だって、価格が上がったり、下がったりするのを無視する無神経さがない。フィンテックで勝ち抜くには「鈍感力」が必要だと思う。市場が気になってしまう。業務に影響を与えるのも困るけど、それ以上にそろそろ売り時とか、買い時とか勝手に判断して、逸失利益ばかりが膨れ上がる(涙)。ファイナンスフィンテックでしっかりと勉強して正しい判断をできるようになりたいけど、そのような慢心が不幸を誘致する気もする。自己の利益を求めると事故に遭遇するだろう。もっと謙虚な気持ちで、世の中が平和で幸せになるにはどうすれば良いのかを考えると、そこにビジネスチャンスがあるような気もする。まだまだ悩みは尽きない。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。