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クレディセゾンについて

はじめに
クレディセゾンのイメージを聞かれるとどうだろう?おしゃれな感じだろうか。テレビCMもインパクトがある。セゾングループの中でも頑張っている企業という感じがする。

1. クレディセゾンの事業
クレディセゾンのメインの事業は下の図に示すように圧倒的にクレジットサービスの事業が大きい。売上全体の約75%を占めている。それ以外には、リース、ファイナンス、不動産関連、そしてエンタテインメント事業を行っている。しかし、営業利益で見ると、ファイナンスが4割を占めていて、クレジットサービスよりも比率が大きいのが特徴だ。ファイナンスは儲け頭ということだろうか。
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 出典:クレディセゾンの事業まとめ | Stockclip

2. クレディセゾンの強み
調べてみると、いろいろ頑張っていることが分かった。セゾングループの強みと弱みや今後の課題を抽出する必要があるが、その前にまずクレディセゾンの強みというか、すごいなあと感じたことを列挙したい。

2.1お客様に対する対応
クレディセゾンの主たる事業はクレジットカードだが、キャッシングサービスも手がけている。そして、キャッシングサービス業界で激震が走ったのが、2007年7月の貸金業法の改正だ。よく「過払金の請求」というのが話題になるが、これだ。つまり、消費者金融金利に対して2つの法律がある。一つは出資法であり、年29.2%を超える金利での貸付は刑罰で規制されている。もう一つは貸金業法で金額によって上限金利が異なる。10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%がそれぞれの上限だ。そして、この2つの法律の間をグレーゾーン金利という。これの過払い請求に対する対応が誠実だという。お客様との信頼関係やお客様の利便性を高めることを第一に考えるクレディセゾンならではの強みと言えるのではないだろうか。
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 出典:クレディセゾン(セゾンカード)の過払い金請求と回収率は? - 教えて!過払い金

2.2 社員に対する対応
平成の時代に日本経済が成長したといっても国民にはその実感はない。その原因は非正規社員比率の増加だと考えている。そして、これに対していち早くアクションを起こしたのがクレディセゾンだった。正直びっくりした。同社では2017年9月より、働き方改革として、全ての社員を正社員に任用した。同時に、勤務時間も7.5時間に統一した。年間30時間の勤務時間の削減になるが、給与水準は変更していない。立派だ。同時に、1時間単位での有給休暇の取得や短時間勤務を可能とした。このため社員の満足度は高い。
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 出典:事例32 株式会社クレディセゾン | 多様な人材活用で輝く企業応援サイト

2.3 システムに対する対応
クレディセゾンの林野社長は西武百貨店に勤務していた時に当時の社長の堤清二さんの弱点であるITと金融を徹底的に研究したという。なので、ITには人一倍想いが強い。また、インターネットの波を読み違えたという反省もあり、これから進むブロックチェーンやAIの波を逃さない構えだ。三菱UFJニコスQRコードへの対応を優先するために計画していたシステム開発を中止する。このために三菱UFJファイナンシャルグループは1000億円規模の追加損失を計上するという。セゾンは、IT系の開発はセゾン情報システムズに集約している。さらに、ITベンチャーへの投資も続けている。リターンを期待するのではなく、一緒に一歩を踏み出せるパートナー探しが主目的だ。その中でHULFTは地味だけど、頑張っている。
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 出典:ミドル投資ブログ セゾン情報システムズは成長するのか

2.4 インパクトのある広告宣伝
可愛い女の子が瓦を頭突きで割るコマーシャルがある。合成かと思っていたけど、調べるとマジだった。出演しているのは武田玲奈だ。お父さんが空手道場を経営していて、子供の頃から空手の修行を続けている。今も、仕事のリフレッシュに空手をしている。しかし、その内容が半端ない。お父さんとの実技練習は真剣勝負だ。全く別の路線だが、東池袋52も面白い。クレディセゾンの本社があるサンシャインの住所と階数からのネーミングだ。しかも、このCDは一般には購入できない。クレディセゾンのポイントでのみ買えるというプレミアム戦略だ。秋元康さんに仁義は切っているのだろうか(笑)。
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 出典:https://クレジット・キャッシュカードポイント回覧板.com/post-2577/

2.5 新技術に対する対応
1990年代から始まったのがインターネットの波だとすれば、2010年代から始まったのがブロックチェーンだろう。ブロックチェーンの技術は単にビットコインの基礎技術ではない。あらゆるトランザクションを担うインフラとなりうる。そして、ブロックチェーンにはオープンタイプとクローズドタイプとコンソーシアムタイプがある。そのどれが覇権を制するかは今後の楽しみだが、林野社長はオープンタイプと決めている。オープンタイプは良い点もあるが、マイニングの処理ではCPUの無駄、電力の無駄が発生する。林野社長のポリシーとしてオープンが良いのは賛成だが、オープンタイプと決めつけるのはオープンではない。もっと多様の意見を聞いた上で最適なものを判断すべきだ。
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 出典:コンテンツビジネス|クレディセゾンのビジネス|クレディセゾン 企業・IR情報

2.6 ESGへの対応
昔はCSRと読んでいた活動を最近はESG活動という。環境保全への取り組み(E)と社会への貢献(S)と企業統治(G)だ。これは継続的に実践するのが重要だ。これで良いということはない。問題は、この活動を通じて企業価値を高めることに昇華することだろう。言うは易しだが、実践するしかない。
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 出典:コンテンツビジネス|クレディセゾンのビジネス|クレディセゾン 企業・IR情報

3. クレディセゾンの弱み
正直、ざっとみるだけではクレディセゾンの弱みはここだとは言えなかった。もう少し精緻に財務状況を見たり、他社との比較をする必要があるだろう。ただ、直感的な感想で申し訳ないが、次の点は気になるところだ。

1) 海外戦略
 林野社長は、海外の進出にあたっては、現地密着型で事業化すべきと言う意見だ。日本で成功したものを海外に展開しても成功はしない。それはそうだろう。また、アジアを標的にするのも悪くはない。しかし、やはり世界市場を狙った商品開発をして、これを打って出るべきだろう。

2) アライアンス戦略
 クレディセゾンはVISAともMASTERともAMEXとも提携している。最近はAMEXと提携したSAISON AMERICAN EXPRESS CARDに注力しているようだ。自分も申し込んだ。下の写真のように、パール、ブルー、ゴールド、プラチナの4種類がある。クレディセゾンによる与信が高まればより上位のカードへの招待を受けるようだ。プラチナを持てば海外の空港のVIPルームを利用できる。ほしいなあ。言いたかったのはそこではなく、海外のどこと提携するかだ。デジタルキャッシュの企業との連携を考えているとは思うけど、加速すべきだろう。
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 出典:https://www.saisoncard.co.jp/amex/images/share/amex_ogp.jpg

3) スマホのアプリ
セゾンカードに連動したスマホのアプリがある。スマホの中で利用状況を確認できるのはもう必須だ。しかし、意外とまだ対応していないクレジットカードが多い。クレディセゾンはどんどん進めてほしい。その先にきっと未来の答えがあると思う。
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 出典:セゾンカードのスマートフォンアプリ「セゾンPortal」|クレジットカードは永久不滅ポイントのセゾンカード

4) 後継者の育成
クレディセゾンの平均年齢は2018年3月時点で39歳だ。やはり徐々に平均年齢が上がっている。役員年齢もそうだ。若手や女性役員を抜擢しているが、全て日本人だ。社外取締役はいるのだろうか。やはり、今後、アジアに打って出るのであれば、役員や従業員にもダイバシティを高めるべきだろう。
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 出典:クレディセゾン[8253] - 企業概要 - 基本情報 | Ullet(ユーレット)

まとめ
なかなか企業を評価するのは難しい。しかし、クレディセゾンを調べると、良いところが色々と発見できたのは嬉しい誤算だ。これはやはり林野社長の判断力と実践力の成果かもしれない。しかし、最大の試練は後継者へのバトンタッチだ。カリスマ性の高い社長の次の社長は大変だ。これをどのように乗り越えるのかどうかで今後10年、20年の同社の成長戦略が決まるのではないだろうか。引き続き調べてみたい。

以上

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