LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

インベスター必須の金融電卓(HP12C)

はじめに
昨日は、3つの講座を受講したが、その内最後の米倉先生の授業のことは先に書いた通りだ。1つ目は生産管理だった。自分の専門分野なので履修しようと思ったけど、米倉先生から英語の授業だけど、「Open Innovation」が面白い!と聞いたので、来週からはこれに変更する。ということで、残る2つ目の講座について少し書いておきたい。

ファイナンス
講師は、松田庄平教授(以下、「松田先生」という)だ。1954年兵庫県生まれで、一橋大学を卒業し、英国のLiverpool大学で博士課程を修了し、米国の公認会計士を取得し、英国のSurrey大学でMBAを取得し、香港のHSBC投資株式会社の社長を歴任されている。輝かしい経歴だ。身につけているスーツもピカピカだ。時計も立派だ。興味のあることは「チャリンチャリン」の音色。如何にして収益をあげるか、高めるかは職業病的な臭覚をお持ちのようだ(笑)。

CFA/MBA取得者は400万円ほど高額
日本では通じないが、米国ではMBAや会計のCFA協会認定証券アナリスト(CFA:Chartered Financial Analyst)であれば、同じ仕事をしていても400万円ほど高額の収入となるという。なぜなら、その人は財務的な根拠から経営判断をすることができるからだ。MBAでは、そのような能力や知識を得ることが重要だけど、松田先生の授業はまさにファイナンスの骨子を教えてくれる絶好の講義だ。

投資家の必須アイテム
授業が開始して、少しすると「投資家の仕事は何か?何をする人か?」という質問を生徒にされていた。答えは、企業価値を計算する」ことだ。そして、そのためにはツールが必要だ。それがHP12Cという電卓だ。アマゾンだと、最新のF2230Wが10,980円で購入できる。ほぼ1万円だ。しかし、最近だと、無料のスマホアプリがある。i-phoneだと、「Touch Fin RPN」という名前だ。もっとも高いFinancial Premiumでも600円なので、こちらにバージョンアップしても良いかもしれない。昔ならこのHP12Cを駆使できれば数千万円の年収を貰っていたという。
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HP12cのくせ
通常の電卓なら、1+1を計算するときには、「1」押下、「+」押下、「1」押下、「=」押下すると、画面に2と表示される。しかし、HP12cでは、「1」押下、「Enter」押下、「1」押下、「+」押下すると、画面に2と表示さえる。そして、さらに「10」押下、「+」押下で12となる。さらに「3」押下、「÷」押下だと4となる。つまり、画面に表示されているものに対して、ある数字を入力して、計算式を入力すると答えが出る。

現在価値の計算
今日100万円を得ることと、来年100万円を得ることと、10年後に100万円を得ることは同じだろうか。金利が0でない限りは同じではない。例えば金利が5%だとすると、10年後には162万円となる。そんなことがこの電卓を使うと簡単に計算できる。つまり、5つの項目のうち4つの項目を入力すると自動的に計算できるという仕組みだ。
1) n:繰り返しの数
2) i:金利(%)
3) PV:現在価値
4) PMT:支払額
5) FV:将来価値

演習
例えば、nに10、iに5、PVに100, PMTに0を入力すると将来価値(FV)はどうなるか?通常の関数電卓でも計算できるけど、HP12Cを用いると、単にこの4項目に数字を入力するだけで、FV=-162.9と表示される。つまり、100万円を金利5%で10年運用すると、1.6倍になる。また、特徴的で便利なのが、7%で10年と、10%で7年で共にほぼ2倍になる。これは覚えておくと便利かもしれない。
 
複利計算と単利計算
先の計算は複利を前提にしている。単利計算では100万円を10年間5%で運用しても150万円にしかならない。10ならわずか13万円ほどの差異だが、これは期間が伸びるほどに差異は広がっていく。
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 出典:利息のつき方は2種類ある!複利の商品を使って上手に資産を増やそう

ドーマーの定理
1914年4月生まれのロシア系米国経済学者エブセイ・ドーマと1900年2月生まれの英国経済学者のロイ・ハロッドは、ハロッド・ドーマーモデルを提唱した。単にドーマーの定理とか、ドーマーの条件とも呼ばれる。これは、財政赤字の維持可能性に関する定理だ。つまり、「毎年の国債発行がGDPの一定割合に留まるならば、国債残高の対GDP比は一定の値に収束して財政破綻は生じない」という概念だ。しかし、日本においては、「名目GDP成長率が名目公債利子率を上回れば、財政赤字は維持可能である」と解釈されている。いずれにしろ日本の財政状況は危機的だ。

PER10
最近のIT企業は株価をいかに高めるかをまず考える。それは時価総額を高めるためだ。ここでいう時価総額とは株式数x株価だ。一方、純利益とは、営業利益とか経常利益とかではなく最終的な税引後利益だ。そして、この時価総額と純利益の比率をPERという。例えば、純利益が1億円で、時価総額が10億円だとPERは10となる。したがって、ある業界のPERが15なのに、その業界のある企業のPERが10だとその企業の株価は格安となったりする。
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 出典:PER(株価収益率)を学ぶ (2)

日本銀行のバランスシート
これは昨年のGWの時期(2018年5月4日)のブログでも書いたが、日本銀行のバランスシートを見ると、国債が20年で8.7倍に増加している。つまり、1998年12月では52兆円だったものが、2018年2月には451兆円だ。しかし、これは日本銀行保有であって、国債および国庫短期証券(T-Bill)全体では1092兆3,556億円(2017年12月末速報)だ。
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 出典:『日銀保有の国債』と『社債買戻し』 | セカンド・オピニオン株式会社

平成29年度の予算
なかなかよい資料が見つからないが、下の資料によれば、平成29年度予算では借金の返済と利息が24兆円だ。これには元本返済分と金利分があるが、乱暴に計算すれば、24÷1092=0.022だ。つまり、2.2%だ。しかし、国債金利はそんなに高くない。一体誰がこの24兆円を受け取っているのだろう。
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 出典:国債とは一体何なのか - パチンコと借金の話

日銀の国債利息収入
2015年(平成27年)の4-9月期決算では、国債の利息収入が6,391億円という。通年では1.3兆円だ。4-9月期の平均国債保有残高は292兆円なので、金利は0.44%相当となる。これは、いわゆる「異次元の金融緩和」による結果だが、日銀がえる利息収入はどこにいくのだろう。新聞によると、通常なら国庫に納付するが、一部の引当金を政府に申請して、承認されたという。その金額は4-5000億円らしい。こんなところを気にするのは、SEとしては異端だけど、MBAなら普通だろう(^^)
 出典:日銀の国債利息収入、4~9月過去最大に 6391億円 :日本経済新聞

まとめ
フィナンスの最初の授業では、ファイナンスの意義と、HP12Cの使い方のドリルがメインだった。これを使いこなれば数千万円の収入を得られたような美味しい時代ではないけど、このツールは便利だ。また、日本の国債が約1000兆円あり、そのうちの約半分を日銀が保有している。そして、1.3兆円の金利を得ている。これ以外にも国家の歳入と歳出など、いわゆるマクロ経済の基本的な数値は頭に入れておく必要はありそうだ。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。