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監理技術者に求められる3つの能力

はじめに
関東近郊のある村からの要請に基づいて防災無線システムの構築を行なっている。完全に終了したわけではないが、第1期工事(10月から11月)が無事(?!)完了した。自分としては、初めての本格的な監理技術者としての業務だったので、非常に勉強になった部分が多いので、監理技術者に求められる能力等について考えてみたい。

建設業法案件の特徴
建設業法に基づく工事案件は関係者が非常に多いのが特徴だろう。特にビルの建設工事では、特定の場所に多くの業者が並行して作業を進めるので、危険も生じやすい。ゼネコンの役割は非常に重要だ。今回は、どちらかというと、特定の業者が多くの場所で順番に作業をするので、マネジメントとしては比較的楽だった。しかし、それでも、元請け、下請け、孫請け、ひ孫受けと続く。発注者を含めると7層とか8層構造になる。したがって、その間でコミュニケーションをとって、進捗確認して、工事を効率的にかつ安全に実施していくことが求められる。

監理技術者に求められる能力
今回は、プロジェクトマネジャー(PM)ではなく、安全管理を中心とする監理技術者としての対応だ。このため、案件を理解し、工事体制を理解し、事故や事件が発生しないように未然防止を図り、事故や事件が発生した時には関係者と連絡調整しながら、即時対応することが求められる。2ヶ月の対応で感じたのは、監理技術者に求められる能力のうち特に重要なのは次の3つだと感じた。

1) 現状把握能力
 予定する工事を計画通り実施するには、まず現状を正しく認識する必要がある。そのためには、工事の内容を理解し、リスクポイントを抽出し、現実の工事が問題なく進んでいるのかを的確に観察して、問題点を有無を常に判断することが必要だ。工事には多くの関係者やメンバーが同時にそれぞれの業務を進めている。そもそもの工事方法から細かな作業手順まで目を光らせて現状を把握する能力が重要かつ必須だ。自分自身では頑張ったつもりだけど、せいぜい70点ぐらいだろう。なぜなら全ての現場を見ることはできないし、そもそも初めての工事も多く、まずは勉強のフェーズだったからだ。

2) コミュニケーション能力
 これはちょっと危険かなというレベルから即時中止を指示するレベルまで色々な問題が生じる。通常業務であれば元請けの人間が孫請けの人間に指示を出してはいけないとなっているが、事故の未然防止のためには直接指示をしても良いという例外規定がある。本当に差し迫った時には直接の指示も行う必要があるし、日常の中では雑談したり、一緒に食事したりして、ダイレクトにコミュニケーションを図ることが本当に重要かつ有効だ。そして、問題があるなと判断した場合には、直接当事者に指示をするよりは、指揮命令系統に沿って、元請けから下請けのチームに注意喚起し、下請けから孫請け、孫請けからひ孫受けに指示を出してもらうことの方が良い。一見非効率に見えるが、問題の原因は上層にあることが多いし、それを解決する手段も上層にあることが多い。問題点と感じたことは問題点ではないかもしれない。まずは指揮命令系統に沿って、これはAでいいのですか?Bはリスキーではないですか?Cの点に注意してくださいね。そんな風に注意喚起をした時に、納得いく反応があれば自体は改善さえる。指揮命令系統に縛られるのもよくないが、指揮命令系統を尊重することが結果的に効率的なこともある。

3) 先読み能力
 実際の作業を進めるのは、それぞれの担当の業者さんだし、その業者さんに指示するのも下請けや孫請けだ。このため、監理技術者は基本やることがないのがベストだ。しかし、問題はゼロではない。どのような危険が予見されるのか。今日はどんな点に注意すべきか。過去にどんなトラブルがあったのか。先読みを行う能力とそれをKY朝礼等でメンバーと共有する能力が求められる。そもそもKYとは空気を読めないではない。危険予知(Kiken Yochi)の略だ。「今日は高所作業なので気をつけよう」では面白くないし、注意喚起にもならない。「昨日、こんな事故が起きた。高所作業車で作業するときは必ず腰ベルトしてください。」このように具体的に注意喚起した方が良いだろう。

ハインリッヒの法則は当たっていた
実害はほぼないけどちょっとどきっとするようなヒヤリハットが起きない日がある一方で、なぜか続く日がある。なぜだろう。また、このヒヤリハットが累積で10ほどになると、なぜかちょっとした事故が起きる。今回は、これで終わったけど、もしちょっとした事故が29件も累積すると、かなりヤバイ大事故が起きてしまうのだろう。大事故を防止するには、ちょっとした事故が起きないようにするだけではなく、潜在的ヒヤリハットを起きないようにすることが重要だ。

まとめ
笑いの絶えない和気藹々とした工事現場と、叱責が続くピリピリとした工事現場とどちらが良いのだろう。工事現場は体育系のことが多い。基本は指揮命令系統に沿って軍隊のようにピシッと作業した方が良いのかもしれない。でも、自分としては、やるべきことはきちんとやっていれば、安全意識を高く持って対応していれば、和気藹々とした現場の方が良いと思う。今回も最初はピリピリとして雰囲気があったが、後半は和気藹々とした空気感が出てきた。ただ、ちょっとした事故が起きたことを考えると、お互いをリスペクトした雰囲気の中でも、手抜きや不注意は絶対許さないといった、ピリピリ感も多少はあった方がいいのだろう。

以上