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建柱工事を体験する

はじめに
柱を立てる工事を建柱と言います。先日、建柱工事に立ちあう機会があった。非常に興味深かったので、その手順についてレビューしてみたい。

1. 土壌検査
これは別の日に実施した。建柱候補場所が適切かどうかを判断するための土壌検査を行った。特に異物はないので工事を予定通り実施できることになった。

2. 候補場所の手堀り
最初の手掘りだ。少しずつ掘っていく。これは、地下に何があるか分からないためだ。もしかしたら予想外の何かがあるかもしれない。少しずつ土壌を確認しながら掘っていく。5cm、10cmと掘っていくと、比較的大きな石があったり、樹木の枝が横たわっていたりする。

3. 電動スコップ
土壌が硬くなると手堀りでは厳しい。電動ドリルの先にスコップを取り付けた道具を用いると固い土壌でもどんどん掘り進む。まずは、縦横1mの四角形を深さ1mまで堀り進む。流石に全てを手作業でやるのはきつい。

4. アースオーガ の利用
クレーン車でアースオーガ を吊り下げ、ポイントの真上にドリルを固定し、ゆっくりと下げていく。そして、場所決めが終わったら、アースオーガ を回転させる。やはり強力だ。アースオーガ は回転して堀り下げるだけでなく、掘り下げた時の土砂を丸ごと引っ張る出す。引越しの時に使う布団袋の大きいものにその土砂を落としていく。ターゲットの場所をT型に掘り下げると、周辺の土を崩して、掘り下げた穴に落としていく。そして、アースオーガ で押し固めて、堀り下げて、土砂を丸ごと布団袋に運び入れる。
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5. 湧き水
このまま進めば順調だと思ったら、湧き水が湧いてくる。どんどん掘ると、どんどん湧き水が出てくる。最初はバケツで水を外に出していたが、水位はほとんど変わらない。仕方ないので、休憩(昼ごはん)にして、ポンプを手配する。

6. ポンプは強力
1分間に170リッターを吸い出す性能だ。どんどん水位が下がると期待するが、そうでもない。10分間で水位が7cmほど下がる。1時間かけても、40cmほどだ。これは待てないということと、水位が地面の下130cmほどで、かつその間の土壌は硬くて、しっかりしているため、建柱工事を進めることになった。

7. アースの取り付け
柱のような高い建造物を建設する場合には、落雷を想定してアースをとっておく必要がある。鋼管柱にアースを取り付ける。クレーン車で鋼管柱を引き上げ(玉掛けという)て、ゆっくりと沈めていく。しかし、事前に設計した高さに合わせるため、土砂をとったり、注入したりして微調整する。鋼管柱が予定通りの位置に取り付けたあと、アース棒を地中に挿入する。抵抗値は70オームほどだった。

8.直径1mの円柱
縦横高が各1mの穴を開けて、そこに高さ7mほどの鋼管柱を埋める。地上に出るのは4mほどで、3mほどは地下だ。その鋼管柱を中心に直径1mの鋼鉄の筒をそこに埋める。立方体に円柱を埋めるので、隙間ができる。その隙間には掘り起こした土壌を使って固めていく。ほぼ手作業だ。位置ぎめを慎重に確認しながら、円柱と鋼管柱を微調整する。さらに縦横1m、深さ20cmほどの四角形の枠を円柱の上に置いたらフェーズ1の完成だ。

9. 生コンクリートの注入
並行して生コンクリート車で生コンクリートを用意する。受け皿の用意が終了した時点までにコンクリートの状態をチェックする。テストして基準をクリアしたことを確認した上で、円柱の中に注入していく。時間にして10分ほどだが、強度を高めるため、生コンクリートを攪拌しながら注入する。

10. 生コンクリートの仕上げと養生
1) 締固め

空洞や気泡やコールドジョインントなどが起きないように締固め作業を行う。適度な振動でコンクリートを流動化させる。
2) 仕上げ
凝結が進むと表面を平滑に仕上げる。スコップや鋤簾(じょれん)を用いて、荒均し(あらならし)を行ったあと、トロウェルやバイブレータで平坦に仕上げる。
3) 養生
仕上げ後3~5時間に一度、そのあとは1日数回、数日間散水する。コンクリートの内部と表面の間に急激な温度差が生じると亀裂が生じる。特に大規模な場合には注意が必要だ。

11. 鋼管柱の上部の取り付け
実はここまでが建柱工事の基礎(下部)部分だ。1-2週間ほど時間をおいて、コンクリートが十分に強度を高めた状態で、上部の鋼管を基礎部分の上部に取り付けて柱の完成だ。

まとめ
世の中には電柱や電信柱が使われている。それがどのように取り付けられるのかを想像したこともなかったので、今回は立ち合いは非常に新鮮だった。建柱工事や生コンの専門家ではないので、もう少し勉強したいと思った。台風が来たり、地震が発生したり、津波に襲われたり、自然の脅威は予想外のことが発生するが、そんなことにも耐えうるような強度を求められる。世の中の関係者の皆さま本当にご苦労様でした。

以上