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昭和恐慌からシンギュラリティ、ポリテック、そしてベーシックインカムの可能性まで

はじめに
9月9日に重機についてこのブログにアップしたときに、昭和恐慌の時には雇用対策として機械化が禁止されたことを書いた。後から考えるとなんて愚かなと思うけど、その時の政治状況ではやむを得なかったのだろう。そして、もし、今後不況が発生した場合には同様に雇用対策としてAIを禁止するなんてこともあり得るのだろうか。そんなことをもう一度考えてみたい。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com

昭和恐慌
歴史から人類は何を学ぶのだろう。経済は恐慌と好景気を繰り返す。昭和の恐慌は1929年(昭和4年)に米国発で起きた世界的な恐慌だ。2008年(平成20年)9月に発生したリーマンショックの79年前だ。不況が発生して雇用不安が拡大したため機械化を禁止した。満州や朝鮮の開拓には機械化は続行したが、国内では雇用対策を優先した。当時日本経済の舵取りをしたのが高橋是清だ。一方、米国はニューデール政策に基づいて機械化を推進した。日本と米国の機械化に関する取り組みの違いから日本の実力が下がり、米国の実力が一気に上がったのは注目すべきだろう。
 出典:土工機械史:大正・昭和(戦前・戦中)期

第4世代の人工知能は2040年代か
人工知能のブームは過去にもあった。最初が1950年代でコンピュータへの期待から高まった。二番目が1980年代でルールベースのソフトとサーバの高性能化から盛り上がった。第五世代コンピュータの開発に約570億円の国家予算を投じた頃だ。そして現在は三番目だ。ほぼ30年周期で盛り上がるのは偶然なのだろうか。ブームが立ちがると研究者が殺到し、ブームがさると研究者のトラウマとなる。その意味ではコンピュータの性能が人類を超えるという2045年のシンギュラリティが第四のブームの時期と重なるのが興味深い。
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 出典:http://ねねねnews.com/2045年問題とは?2045年問題の対策はなにかある?

シンギュラリティ
未来学者のカーツワイルが予測した2045年の定義は、10万円ほどで入手できるコンピュータの性能が地球の全人類の頭脳の総和を超えるというものだ。集積度の観点ではコンピュータが人間の頭脳を超えるのは2020年だ。第二世代はルールベースの人工知能。第三世代はそのルールを自分で生成する=機械学習人工知能だ。第四世代のキーテクノロジーはなんだろう。
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 出典:Singularity university

量子コンピュータ
量子コンピュータについては、このブログでも今年の2月に2回に分けて解説した。現在は、量子アニーリング方式が先行しているが、これが覇者となるかどうかは不明だ。量子ニューラルネット方式と量子ゲート方式が虎視眈々と狙っている。この3方式の中で唯一デジタル方式なのが、量子ゲート方式だ。日本でも理化学研究所がNTTやNEC東芝などと組んで5年後のクラウドサービスの開始を目指すと発表した。10年後に100量子ビットの集積を目指すというが、米国はすでに50量子ビットを超えている。米国よりも2桁も少ない投資金額では世界に存在感を与えるようなインパクトを残せるのかは極めて不明だ。
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 出典:hiroshi-kizaki.hatenablog.com

東京五輪後の不況
オリンピックが過ぎると不況になると予想する人が多い。問題は国内の不況ではなく、世界的な大恐慌が来るのかどうか。そして、仮に不況がきたとすると、深刻な雇用不安が拡大するだろう。そのときに、日本の政府はどのように対応するのだろう。昭和の日本のように人工知能が原因だとして、人工知能の利用を禁止するのだろうか。それは無理だろう。あるとしたら、人工知能への開発投資を縮小したり、見直したりして歳出を減らすようなことかもしれない。しかし、それは正解なのだろうか。人工知能に対する研究開発への投資を逆に拡大する英断をその時の指導者に可能なのだろうか。安倍総理の再任が決まり、何もなければ2021年9月までだ。ポスト安倍を狙う人材がAIに対してどのような知見を有するのだろう。

小泉進次郎の動き
石破氏は地方票で全体の45%を確保したのは驚きだ。プレジデントの記事では、小泉進次郎が選挙期間中に石破と組んでいたら逆転したかもしれない。投票直前に石破指示を表明した小泉進次郎の対応は安倍陣営にとってギリギリ容認できる限界だったという。そして、自分に刃向かった人材(小泉進次郎)を内閣に取り込むことで安倍内閣の目玉とする。そんな想像が記載さている。政治の世界は、技術者には理解できない。できることは、その後の動向を注視することぐらいだ。
 出典:president.jp

ポリテック
政治にAIを活用することを小泉進次郎はポリテックと呼んでいる。ITの世界での討論会にも参加し、AIに対する高い見識を示している。ポスト安倍時代に、石破氏が総理になるのかどうかは別にして、小泉進次郎氏が構想するポリテックを進めるなら、日本の将来に明かりが見えるような気がする。しかし、AIにも光と陰がある。また、現在の機械学習にも限界がある。そのような効能と限界を理解した上で、AIを活用するシナリオを示して欲しいと思う。少なくともAIの禁止令を出すような愚行がないことを期待する。
 出典:www.youtube.com

まとめ
東京五輪の後に不況が起きても、雇用対策としてAIが禁止されるようなことはないと期待したい。高齢化や人口減少の穴を埋めるために海外からの労働者の拡大と同時に、ロボットやAIの活用が進むだろう。2045年のシンギュラリティに向かって発展するかもしれない。しかし、その後には60年に一度の大不況が発生するかもしれない。そのようなときに、日本人が幸せを感じるような日本となるには、やはりベーシックインカムのような仕組みが必要となるのではないだろうか。問題はその導入タイミングだろう。原資が問題になることも多いが、日本銀行が発行する紙幣を支給するのではなく、日本国政府が発行する政府認定通貨として、電子的に全国民に支給するような仕組みであってほしい。仮想通貨は、トラブルも多く、失望期にあるが、そのようなタイミングの今こそ将来に向けての地道な検討が必要な時期だろう。

以上