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労働安全衛生法:隧道(ずいどう)を考える

はじめに
隧道とはトンネルのことだ。労働安全衛生法では、ずい道という。最初に見たときは、なんだこれは!とびっくりしたのをよく覚えている。青函トンネルも正式には、青函隧道というようだ。ずい道には、入り口と出口が決まっている。新幹線でいえば、東京よりが入り口で反対側が出口だ。

トンネルの定義
Wikiでみると、トンネルを次のように定義していた。
トンネルとは、地上から目的地まで地下や海底、山岳などの土中を通る人工の、または自然に形成された土木構造物であり、断面の高さあるいは幅に比べて軸方向に細長い地下空間をいう。1970年のOECDトンネル会議で「計画された位置に所定の断面寸法をもって設けられた地下構造物で、その施工法は問わないが、仕上がり断面積が2平方メートル (m2) 以上のものとする」と定義された。

歴史
トンネルの起源を調べると、紀元前2000年ごろのバビロンに作られた歩行者用のトンネルとされている。古代ローマギリシャの時代に作られたトンネルはいまも使われているものがあるという。以前も取り上げたがエジプトでピラミッドを建造したときのコンクリートの技術は、現在も再現できないという。現在のコンクリートは50年が寿命なのに、古代のコンクリートはなぜ数千年も持つのだろう。技術は本当に進歩したと言えるのだろうか。
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出典:Wiki(バビロンの川底トンネル - Wikipedia)

日本最初のトンネル
1632年(寛永9年)に建造された辰巳用水が日本最初のトンネルらしい。辰巳用水は、金沢市を流れる約11kmの用水路であり、3代加賀藩主・前田利常の命により、板屋兵四郎が完成させた。金沢城の防衛・防火目的で、途中難工事区間もあったが、なんと1年足らずで完成したという。すごい。
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 出典:Wiki(辰巳用水 - Wikipedia)

ダイナマイトとトンネル工法
トンネルを掘削していくのは大変だ。しかし、ダイナマイトが発明されると、この発破技術によって、トンネルの効率は飛躍的に高まったという。Wikiによると、日本最初の西洋式トンネルは、東海道本線の神戸市内にあった石屋川隧道だ。1871年(明治4年)に完成し、石屋川の下を潜る天井川だが、現在は高架化に伴ってなくなっている。

ずい道に関する労働安全規則
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ずい道関連の2つの作業主任者
ずい道関連の作業主任者は、ずい道等の掘削等の作業主任者と、ずい道等の覆工作業主任者に分かれている。前者はずい道またはずい道のずり積み、ずい道支保工の組立て等の作業を行う。後者は、最後の仕上げの部分だ。ともに、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習を修了した者の中から作業主任者を事業主が選任する。
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 出典:建設業労働災害防止協会(ずい道等の覆工作業主任者 - 建災防 北海道支部)

トンネルの増築作業の大きな流れ
1) トンネルの削孔、掘削、火薬
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2) 支保工の取付け、コンクリートの吹付け
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3)ロックボルトの取付け、防水シートの取付け、型枠
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 出典:京都市(http://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/cmsfiles/contents/0000012/12793/ninose_kouji.pdf)

トンネルボーリングマシン(TBM)
TBMとは、トンネルの掘削の後、壁面への吹き付け作業等を自動化してくれる優れものだ。システムは、自動吹付システム・自動断面測定システム・自動吹付厚測定システム、自動測量システムなどからなり、掘削坑壁面の水洗い、掘削面断面計測、掘削坑壁面への吹付、吹付面断面計測、吹付厚算出の作業を自動で行うと言う。
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 出典:佐藤工業(TBM自動吹付システム|技術とサービス|佐藤工業株式会社)

ドーナッツ型のTBM
従来のTBMはいわば力任せに掘削していくタイプだ。しかし、日本では地質が複雑であり、地質に応じた掘削ができれば掘削スピードをもっと高速化できると期待されていた。そして、国内では産学官でドーナッツ型TBMを完成させた。これは、ドーナッツのように、周辺部をカッターで掘削するが、真ん中はそのままだ。このため、その真ん中の部分の地質をチェックしなが掘削を続ける。そもそも回転ドリルで真ん中を掘削するのは厳しい。発案者の武田光雄博士によると、「TBMでは単円で回転している中心は動いていないため、その中心を掘ることはそもそも合理性に欠ける。硬い岩盤であればその差は歴然」という。実験では4割程度のスピードアップを実現したようだ。
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 出典:建設工業新聞(https://www.decn.co.jp/?p=67960)

まとめ
トンネルは危険がいっぱいだ。発破をかける時の事故、掘削の事故、支保工の事故、ロックボルトの事故、そして防水シートや仕上げでの事故など本当に危険と背中合わせだ。より性能の良いTBMが開発され、実用化されることで、本質的な労災撲滅に役立てたいと技術士として本当に思う。

以上

最後まで読んで頂いてありがとうございます。1日に二件は厳しいなあ。。