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バングラデッシュの7日間戦争

はじめに
昨日、「世界一受けたい授業」を見ていたら、「ぼくらの七日間戦争」が今も子供達が読みたい本のベスト10に食い込んでいると言う。この本は、現在90歳になる宗田理さんが30年以上前に書き下ろした小説だ。でも、なぜ今も根強い人気なのだろう。大人が支配する社会の矛盾に憤慨するマグマはいまの日本の子供達の中にもあるのだろうか。

SNSの普及
現代の子供たちが立ち上がるとしたら、工場に立てこもるのではなく、SNSを活用して、問題提起して、署名を集めて、社会を動かそうとするのではないだろうか。子供達が憤慨するようなことを子供たちは見つけることができるのだろうか。

バルト三国独立運動
昨年の今頃はちょうどバルト三国の旅から戻る頃だ。エストニアラトビアリトアニアは、1989年8月当時はソビエト連邦の統治下だった。そして、8月23日には、独立運動の一環として、バルト三国の200万人のひとが手を繋ぎ、エストニアの現首都のタリンからラトビアの現首都のリーガ、そしてリトアニアの現首都のヴィリニュスまでの約600km以上で人間の鎖を形成した。そして、このデモがきっかけとなって、バルト三国は独立を実現した。しかし、彼らはIndepencenceではなく、Restorationと呼ぶ。なぜならエストニアには、1918年2月24日にロシア軍の撤退で独立した。そして、そのあとの不法な占拠から1991年8月20日に独立を回復した。なので彼らは今年の2月に独立100周年を祝ったのだ。
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 出典:Wiki

バングラデッシュの中高生が起こす抗議運動
日本のテレビや新聞では報道されていないが、一部のSNSで拡散しているのがバングラデッシュの抗議運動だ。ことの発端は先月の7月29日だ。無免許バスが起こした事故で10数人が死傷し、10代の生徒二人が死亡した事故だ。運転手は無免許、バスは車検を受けずに客を乗せ、乱暴運転をするという事態に対して、バングラデッシュの運輸大臣が記者会見でよくあることと言わんばかりに笑顔で対応したため学生の怒りが爆発した。7月30日には事故現場を学生が道路封鎖し、大臣の謝罪を求めた。8月1日にはバングラデッシュ全土にデモが広がった。さらにデモに止まらずに通行する車の車検や運転手の運転免許の確認を始めた。子供達の活動にエールを送る声がFBに広がり、一時は学校の先生もバナーを持ってデモに参加するなど、運動が全国に広がったという。運転免許センターは免許の更新や申請をする人で殺到したという。ここまでで終われば美談だった。
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 出典:Livedoorニュース(参考1)

暴動へと過激化するデモとそれを鎮静する政府
デモは一定の成果をあげたのだから鎮静すべきだった。しかし、デモは結果的に大規模な学生による暴動に発展した。これを鎮静化するために政府当局は携帯電話のインターネット接続を止めたと現地メディアが8月5日に発表したという。騒ぎは止まらず、警察はゴム弾や催涙ガスを発射し、ジガタラ地区では100人以上が負傷したという。
 出典:AFP(参考2)

メッシュネットワークによるSNSの活用
バングラデッシュの学生による抗議デモも7日間だが、宗田理の小説よりも数倍過激だ。抗議デモも教育省の許可を取得してから実施した。手順も間違っていない。学校の先生まで応援に来て、国民からもエールをもらった。そこから先は大人の活動にバトンタッチすべきだったが、その信頼関係がなかったのだろうか。ITの専門家としては、スマホやインターネットの役割や効果に関心が向く。2014年9月末に香港で数万人の学生や市民が集まって中国政府による香港の選挙制度の変更に抗議を表明した。そして、この時に活用されたのがメッシュネットワークによるメッセージを拡散するFirChatというSNSアプリだ。メッシュネットワークは、一般には聞きなれない用語かもしれないが、端末と端末が直接通信する方式だ。つまり、政府当局は通常のSNSのメッセージはモニターできる。しかし、端末と端末が直接通信するFireChatをモニターすることはできない。このために一気に香港で普及した。それを聞いて、FireChatにトライしたら、確かに香港人ばかりで日本人などいなかった(笑)。

まとめ
バルト三国独立運動には感激した。平和的な手段で独立したためだろうか、どの国も治安が良い。大人も子供も独立した喜びを大事にしている。犯罪を起こそうとする気配が感じられない。特にエストニアでは、日本と同じかそれ以上に治安が良いと感じた。世の中の矛盾に対して立ち上がるのは良いことだ。しかし、それも社会の秩序の中で行うべきだ。それを実現するのはやはり信頼関係かもしれない。現在の日本において子供と大人。国民と政府の間に硬い信頼関係はあると言えるのだろうか。

以上

参考1:http://news.livedoor.com/article/detail/15138196/
参考2:http://www.afpbb.com/articles/-/3185009?pid=20404757