LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

パンの起源と防腐剤の功罪を考える

パンとご飯
朝食はご飯派ですか?それともパン派ですか?うちはパンの日もあればご飯の日もあるけど、どちらかといえばパンの日が多いような気がする。名古屋に単身赴任しているときは、最初はご飯をちゃんと炊いていたけど、だんだん面倒になって、コンビニのパンとか、即席ラーメンとか、素麺とかになっていった。家族からはカップラーメンだけは止めるように言われた。まあ、毎日料理するのはなかなか大変だ。家内に感謝。下の図は縦軸が単位がバラバラだけど、傾向が一目瞭然で面白い。このブログでは小麦の世界の生産高等について次のように記載している。
世界の小麦生産量は、現在、年間6.45億トンです。このうち、1.25億トンが輸出に回され、日本は5百数十万トン程度を輸入しています。国内の小麦需要量は、6百万トン余りで、国内生産量は85万トン前後となっています。

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 出典:パンを焼こう(参考1)

インスタント・レトルト食品とパンの市場比較
近年の食品業界のキーワードは、健康と付加価値と利便性だという。特に冷凍食品の進歩が目覚ましい。コンビニでお好み焼きを買うと300円から500円ほどするが、冷凍物だと100円から200円で買える。冷凍食品は高価なものではなく、廉価で手軽なものにシフトしている。下の図はインスタント・レトルト食品の市場規模や伸び率とパンの市場規模や伸び率だ。市場規模ではパンが1.5兆円超なのに、インスタント・レトルト食品はまだその3分の1程度だ。
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 出典:矢野経済研究所(参考2)

パンの起源
人類が初めてパンを焼いたのはいつだろう。諸説あるようだが、Wikiによると、ヨルダンでは、約1万4400年前の化石化したパンが発掘されているという。ヨルダンの北東部からだ。下の図(左)のようなところでパンのようなものを焼いたのだろうか。消化をよくするために硬い食物を砕いたのかもしれない。また、粉にすると保存食にもなる。それを水でこねて焼くと今で言うクッキーのような即食になったのかもしれない。今後さらに研究が進むことを期待したい。
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 出典:PNAS(参考3)

奈良明日香の酒船石
飛鳥とググる乃木坂46齋藤飛鳥ちゃんが出てきた。可愛いけど、今回はそちらではない。奈良県明日香村には古代の神秘の遺跡が多い。酒船石もその一つだ。写真(右)は明日香村にあるもので、花崗岩でできた石造物で長さ5.5m、幅2.3m、厚さ1mという巨大なものだ。酒を造る道具とか、薬を造る道具とか諸説あるが何の目的で建造されたのか不明だ。ただ、ヨルダンの遺跡をみていると、なんの根拠もないけど、この明日香の酒船石も食物を砕くのに使ったのかなあという仮説を妄想してしまう。
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 出典:Wiki(参考4)

臭素酸カリウムの使用問題
下の写真は2013年当時のランチパックの裏面の表示だ。確かに臭素酸カリウムと記載されている。臭素酸カリウムは強力な酸化剤だ。他の物質を酸化させる作用がある。加熱により分解し、有毒で腐食性のある気体が発生する。炭素、リン、硫黄などと反応し、火災の危険性もあるため、第1類危険物に指定されている。国際がん研究機関(IARC)では発がん性のある物質と指定していて、イギリスは1990年、ドイツは1993年、カナダは1994年、中国は2005年に食品への使用が禁止されている。日本では、1982年にパン以外での使用が禁止され、パンも最終製品に残留しないと規制されたが、30ppm以下の添付は許容された。日本生活協同組合連合会臭素酸カリウムを食品に使用すべきでないと主張し、山崎製パンも2014年2月以降は臭素酸カリウムを使用していない。製パン業界が、有毒性を指摘される物質を使っていたのは、焼き上がりのふわふわ感に関係するという。
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 出典:pasonisan(参考5)

トランス脂肪酸
臭素酸カリウムの代わりに利用されたのがトランス脂肪酸だという。トランス脂肪酸とはトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸のことだ。部分硬化油を製造する過程で生成されるので、油から出来ていると言われる所以だ。マーガリンも同様に製造された硬化油だ。米国では2003年にスナック菓子業者に対してトランス脂肪酸を使わないように求める訴訟が起きた。FDA(アメリカ食品医薬品局)は2006年からトランス脂肪酸を含む加工食品等にトランス脂肪酸量の表示を義務つけた。日本では、「日本人のトランス脂肪酸の摂取量はWHOの目標を十分に下回っている」(食品安全委員会)などとして、基準値の設定や表示義務はまだだ。トランス脂肪酸の健康リスクを懸念する声が高まっている。今後の厚生労働省食品安全委員会の動向が注目される。
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 出典:Wiki(参考6)

農林水産庁のレポート
平成27年5月に農林水産庁からレポートが出されている。このレポートの中で、「エネルギー比2%のトランス脂肪酸をシス型不飽和脂肪酸に置き換えると、約20%の心血管イベントが抑制できる」と言う調査結果を明記している。この結果から、トランス脂肪酸をシス型不飽和脂肪酸に変えることが冠動脈疾患の予防となると言う見解も示されている。さらに、レポートでは若い人や女性は脂肪を多く摂取する傾向があると認め、トランス脂肪酸の摂取は不可欠なものでないとしている。しかし、最終的な結論では、トランス脂肪酸の規制やその表示義務に言及することなく、あくまで任意表示を維持して、メーカーの自主努力を求めるとともに、消費者は栄養バランスをとるべきだとしている。任意表示から表示義務に変更することは、それほどハードルの高いことなのだろうか。
 出典:農林水産庁(参考7)

食品添加物
トランス脂肪酸だけの問題ではない。食品添加物に関する規制が欧米諸国と比べると日本は残念ながらまだ遅れていると言える。イギリスの食事は決して賞賛されるレベルではないけど、添加物の規制は非常に厳しい。日本の食事は美味しいけど、それが安全と同義でないことが残念だ。
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 出典:biron(参考8)

一日許容摂取量と使用基準
少し難しい言葉だが、一日摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)とは、食品に用いられたある特定の物質について、生涯にわたり毎日摂取し続けても影響が出ないと考えられる一日あたりの量を体重1kgあたりで示した値だ。単位はmg/kg/day。安全係数は、一般にマウスなど実験動物とヒトとの違いを考慮して10倍とり、さらに個人差を考慮して10倍を乗じた100倍を用いるという。しかし、生物に有毒なものを許容することは本来は好ましくない。消費者が判断できるように摂取量の表示は少なくとも義務化すべきだろう。
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 出典:biron(参考9)

まとめ
ランチパックは駅のキオスク等でもよく見かける。日持ちしそうだし、タレントの剛力が宣伝していて、つい手を伸ばしそうになるけど、自分では買ったことはない。これを食べる機会があり、何と無く嫌な感じがした。なんの根拠もなかったので、少し気になってネットで調べてみようと思った。食の安全はなかなか難しい。専門外のことでもあり、断定的なことは言えないが、まだまだ課題が多いことがわかった。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

追加
トランス脂肪酸を多く含む食品の代表はショートニングだ。これは食用油脂だがパンや製菓に用いるとさっくり感やパリッという食感が高まるが、要注意だ。最大値で注意すべきはスナック菓子やクリーム類だ。そのようなお菓子ばかり食べていると、トランス脂肪酸を過量に摂取することになるので危険だ。自分の好きなアイスクリームは比較的低いけど注意は必要だろう。
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出典:食品安全委員会


参考1:パンを焼こう
参考2:https://food.uchida-it.co.jp/seminarreport/20170413/
参考3:http://www.pnas.org/content/early/2018/07/10/1801071115
参考4:酒船石遺跡 - Wikipedia
参考5:http://www.pasonisan.com/sitemap/yamazakipan.html
参考6:トランス脂肪酸 - Wikipedia
参考7:http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2015/191/doc/20150519_shiryou6.pdf
参考8:http://biron.jp/2014/04/30/additive/
参考9:http://www.fsc.go.jp/koukan/risk-workshop_ooita_211201/risk-workshop_ooita-seido2.pdf
参考10:https://matome.naver.jp/odai/2150202286876449401/2150202818279961603