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高齢化を考える。

はじめに
少子高齢化と言われて久しい。1980年代にイギリスに出張した時に、なんというか年寄りが多いなあという感想を持った。でも、日本全国の学校を行脚して感じるのはやはり日本も年寄りが多いなあという感想だ。年寄りが多いことが問題ではない。要はお年寄りの方々が幸せかどうか。安心・安全に暮らせる日本なのかどうかだ。昨年、バルト三国を訪問した。バルト三国はまだまだ伸び代があり、若い人が多い。フィンランドはもう少し落ち着いているけど、昼間っからワインを楽しんでいて、幸せ度は日本よりも高そうに感じた。

1. 世界の高齢化率の推移
 1950年から2060年までの実績値と推定値だ。日本は2005年ごろからトップランナーだ。やはり1980年代のヨーロッパは日本よりも高齢化率が高かったが、今は日本の方が高齢化率が高い。これはやはり団塊世代が一気に高齢化したためだろう。
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出典:内閣府(参考1)

2. 高齢者の就業率の国際比較
 下のグラフは、横軸が高齢者比率、縦軸が高齢者の就業率だ。日本は高齢者の比率が高いが、同時に高齢者の就業率も25%程度と高い。65歳以上の四人に一人は就業しているのだろうか。親戚のおじさんでもうすぐ100歳なのに、まだ現役の農業をやっている人がいる。流石にその息子も会社を引退したので引き継いでいるようだが、日本の高齢者が元気に働けるのは良いことだ。
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 出典:データえっせい(参考2)

3. 高齢者の健康度や幸福度の国際比較
 日本の高齢者は幸せを実感できているのだろうか?下の表でみると、健康度と満足度と幸福度がスウェーデンやスイス、カナダでは5・5・5に対して、日本は3・3・4だ。日本の高齢者の幸福度や満足度は中の上というところか。今後、日本が北欧諸国のように高齢者が安心して暮らせるようになるにはどうすれば良いのだろう。
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 出展:データえっせい(参考2)

4. 日本における一人暮らし高齢者の動向
 高齢化とともに進んでいるのが一人暮らしの高齢者だ。2000年当時は300万人ほどだったが、2015年には600万人を越し、2025年には700万人を超える見込みだ。
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 出典:内閣府(参考3)

5. 有料老人ホームの定員数の推移
 一人暮らしの高齢者の増加に合わせて有料老人ホームの定員数も増加している。有料老人ホームにも色々な種類がある。ここに入ることが幸せなのかどうかは、よく分からないけど、定員数を合計しても200−300万人なので、とても足らない。不足しているオーダーからいうと保育所よりもこちらの方が深刻なのかもしれない。もっとも定員数の多いのは特別養護老人ホームだ。急増しているのは有料老人ホームだ。
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 出典:みんなの介護(参考4)

6. 老人ホーム・介護施設の種類
 まず公共型と民間型がある。もっとも数の多い特別養護老人ホームはこの公共型だ。費用も月額6-15万円程度だが、介護が必要な方や終のすみかとするケースだ。一方、急増している有料老人ホームは民間型だ。初期費用が2千万円、月額が20万円が多いらしい。自立している高齢者も入居するケースがあるし、最近ではシニア向けマンションもできているという。
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 出典:シニアの安心相談室(参考5)

7. 有料老人ホームの面積基準
 入居費用と面積基準はダイレクトにリンクする。狭いところだと、個室といっても7.43平米だ。有料老人ホームでも18平米が基準だ。しかし、それは部屋面積であって、床面積では13平米だ。「寝て一畳座って半畳」とはいうものの、人生のラストはゆったりとしたところで過ごしたいと思うのが正直なところではないだろうか。海外の事情までは分からないが、日本の高齢者の満足度や幸福度が中の上なのはこの辺りの影響もあるように感じる。本当は家族に囲まれて永眠するのが幸せだろうと思う。
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 出典:老人ホームマップ(参考6)

8.高齢者の見守りサービス
 タグを入れた専用シューズで高齢者の居場所をモニターするようなサービスは現在のIT技術を使えば可能だ。家族で住んでいるケースで特に有効だと思うけど、一人暮らしの高齢者を心配する家族にとっても有効かもしれない。
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 出典:ALSOC(参考7)

9. 介護サービスで働く人たちの平均月収
 下の表はそんな介護の職場で働く人たちの平均月収だ。2010年から2011年に向けて増額はしているが、現時点でどこまで改善したのだろう。入居者者の月額料金よりも低いのはなぜだろう。隴人ホームのビジネスモデルも厳しいとは聞くが、人件費を抑えるのではなく、もっとITの力を借りて、活用して、少ない人で、多くの高齢者に対するサービス向上を目指し、働く人もハッピーにならなければ、そのサービスを頼りにする高齢者が幸せになれるとは思えない。
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 出典:日本介護クラフトユニオン(参考8)

まとめ
 自分の母親はもう90歳だ。幸い兄夫婦と同居していて、たまにいわゆるデーサービスに通っている。幸いまだ元気だ。自分自身は、シンギュラリティと言われる2045年まで生き延びることを目標の一つとしている。その意味では生きているだけで素晴らしいことだ。でも、高齢者の方々が本当に幸せだと満足しているのかというとなかなか現状は厳しいのではないだろうか。現在の高齢者はキャッシュを持っている人も多いが、有料老人ホームビジネスがそのような金目的ではなく、高齢者の立場に立って、高齢者に寄り添ってビジネスをしてくれることを願う。そのためにはITを活用する余地はまだまだあるのではないだろうか。現実は色々な制約条件や苦労があり、大変だと思う。少しでも改善することに貢献できれば嬉しい。

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

(引用)
参考1:https://thepage.jp/detail/20170203-00000005-wordleaf
参考2:データえっせい: 高齢者の国際比較
参考3:https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no38/
参考4:https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no38/
参考5:https://www.senior-anshin.com/guide/basic/type/kaigo/cost.html
参考6:https://www.roumap.com/info/1736.html
参考7:https://www.alsok.co.jp/company/news/news_details.htm?cat=2&id2=825
参考8:http://rhhc.sakura.ne.jp/04-3.html