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景気政策としてのベーシックインカムの側面と実語教の意味

ベーシックインカム(以下はBI)の経済政策としての側面
BIは一般には貧困対策などの福利厚生政策として論じられることが多い。しかし、BIを導入しても、一定の金額があまねく支払われるだけであって貧富の解消にはならない。しかし、その一方で今後、ロボットやAIの技術が進歩して、ほとんどの仕事を自動化できるような時代には仕事をしたくても、希望する仕事につけなかったり、そもそのその仕事がなくなり、収入を得られない人口比率が増大すると懸念される。商品を供給するシーズとしてのメーカ側の機能は充実し、それを消費したいというニーズも高いのに、消費すべき人に収入がないために消費できないというジレンマに陥る危険がある。

BIはデフレ対策として有効か
ニーズはあるが、収入がないもしくは収入が低下するとどうなるか。人々はより安いものを志向するようになる。多少ニーズと違っても、必要十分な商品が100円ショップで購入できるのであれば、高価な店では購入しなくなるだろう。飲食にしても、同じようなものなら安い店にニーズがシフトするだろう。結果として、デフレは加速するかもしれない。しかし、生きるために必要な衣食住を賄うための必要最小限の収入をBIとして確保できるのであれば、その収入の範囲内で少しでも美味しいもの、少しでもおしゃれなものを嗜好するようになるのではないだろうか。

BIはインフレ政策として有効か
BIの財源問題があるので、例えば最初から月額7万円を支給するのではなく、数万円から初めて効果を見極めながら徐々に増額するのが現実的だろうという意見がある。それは一理ある。支給金額が増えすぎるとインフレが懸念されるため、適正な金額に抑えるべきともいう。それはその通りだ。

BIの増額を抑制できるのか?
しかし、仮にBIを開始し、効果を確認できたので、金額を増額する。きっと国民は喜ぶだろう。もっと増額してほしいという希望が増えるだろう。そんな国民のニーズを組んで増額を宣言する政治家が当選するようになると、まさにポピュリズムの結果として、政治家は増額を推進しようとする。多少インフレ懸念があったとしても、国民が望む増額をやるのだから国民が反対することはない。

インフレ政策が引き起こすこと
一旦、インフレが発生するとどうなるのだろう。政治家は国民の人気を得るためにBIの増額を宣言して、国民もこれを歓迎する。しかし、過剰なBIの増額がもたらすものはインフレであり、通貨価値の減少だ。その結果として、タンス預金としてせっせと貯蓄した資産は目減りして国民は損害を受ける。一方、政府は多額の負債が実質的に目減りして、政府は利益を得る

BIの制限とフェイルセーフ

予算の制約もあるため無制限にBIを増額することはできない。しかし、政府は、国民を煽ってさらにBIの増額とそれに伴うインフレをさらに加速しようとするかもしれない。したがって、BIを導入するときには、段階的な増額は実行可能なプランであるが、上限の宣言をするべきだ。また、一旦インフレが加速したときには、BIを減額して、インフレを鎮静する市場メカニズムをあらかじめフェイルセーフの仕組みとして盛り込んでおくべきだ。

BIバブルの懸念
これをBIバブルのリスクと定義したい。人間の叡智でこれを未然に防ぐことが可能と信じたい。しかし、人間は体制に流されやすい側面もある。冷静な判断が出来ないという愚かな性癖を持っているので、BIバブルの発生とBIバブルの崩壊は不可避なのかもしれない。願わくは最初のBIバブルの崩壊からの教訓を得て、それ以降は適切なBI支給額に設定ルールを社会が受け入れることを望みたい。

実語教が教える意味
BIのもう一つの課題は人は何のために生きるのかという精神的な支柱だ。子供からなぜ勉強するべきなのかを問われたときにあなたは何と答えるのだろうか。良い学校には入れても、良い会社に入れる人は少ないだろう。また、その会社で活躍出来る人も少ないだろう。自分で起業する方法もある。でも、起業に成功する人も少ないだろう。大多数の人はどうすれば良いのだろうか?私は、千年に渡って日本人の心を育てた実語教が大きなヒントになると考えている。実語教に関しては別に投稿したものを引用しておきたい。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com

まとめ
大切なことはお金ではなく知恵だ。自分を磨き、その知恵を次代に引き継ぐ。そんな社会は前向きで健全で活気に溢れているのではないかと期待したい。BIの目的は格差是正や貧困対策がメインかもしれない。しかし、インフレを誘起することによる景気対策の側面もあることを忘れてはいけない。20年後、40年後の世界がユートピアになるのか、ディストピアになるのかは、今後の技術開発や技術研究だけではなく、社会面での仕組みの検討が重要だし、その中でもBIの是非は最重要なキーワードだろう。しかし、本当にユートピアにするには、一人一人の人間が生きがいを持って、やりがいを持って、目的を持って自らを研鑽する。成長を実感する。そういったことが重要だ。そのための方法論はここでは割愛するが、少なくとも日本で一千年に渡って語り継がれた実語教の存在ぐらいは知っておくべきだと思う。

以上