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引っ越しについて考える

1. はじめに
 2年半を過ごした名古屋から東京の自宅に帰任した。初めての単身赴任であり、初めての単身赴任からの帰任だ。これまでも10回ほど引っ越しをしてきた。少し引っ越しについて考えてみたい。

2. 引っ越しとは
2-1 これまでの引っ越しの振り返り

 生まれてから今日まで何回の引っ越しをしたのだろう。個人情報満載だが、差し障りのない範疇で少し振り返ってみたい。
1) 生まれた京都市から奈良の大和郡山市に初めての引っ越し
2) 大和郡山市から実家(京都から近江八幡市に移動)を経由して東京に引っ越し
3) 東京都練馬区の独身寮から埼玉県の研修センターに引っ越し
4) 埼玉の研修センターから東京都世田谷区の独身寮に引っ越し
5) 中野のマンスリーマンションを経由して、練馬区の世帯社宅に引っ越し
6) 練馬区の世帯社宅から沖縄に世帯で赴任。
7) 沖縄から香港に世帯で赴任。
8) 沖縄から東京都世田谷区に引っ越し
9) 東京から名古屋市に単身赴任
10) 名古屋市から東京都世田谷区に帰任。

2-2 今回の引っ越し
 これまでと異なる点は、単純な移動ではなく、合流という点だ。最初の引っ越しはほとんど布団のみで学生寮に引っ越しした気がする。学生寮から実家に戻るときも軽トラのレンタカーを借りて自力で引っ越しした。そのあとも、荷物は徐々に増えるが、引っ越し先のスペースも幸い増えてきたので、どこに何を置くかはほぼ事前に計画して、その手順通りに実施できた。ただ、今回は妻子が住む自宅に私が帰任する。単身赴任先で購入した電化製品や家具や図書など荷物が多い。自分なりには整理したつもりだが、やはり入りきらなかった。不要なものを選別して、結局はゴミ回収業者を手配して、処分した。まあ仕方ない。

3. 引っ越しニーズの状況
3-1 全国の移動者数の推移

 下の図は、1958年から2012年までの都道府県内及び都道府県間の移動者数の推移だ。黄色が女性で、ピンクが男性、青が合計だ。高度成長期の1973年の853万人がピークでそれからは漸減傾向だ。私が初めて引っ越ししたのは1972年だ。2012年の実績では約500万人なので、ピークの41%減と成る。
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(出典:参考1)

3-2 年齢別移動車数
 どの年齢で移動するケースが多いのだろう。下の図は総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告を社会実情データ図録が集計したものだ。これによると、22歳での移動がもっとも多く12万人超だ。やはり就職を機に故郷から都会に旅立つケースが多いのだろう。2つ目のピークは18歳だ。高校を卒業して、大学に入学する時に故郷から旅たつケースだ。18歳ではほぼ8万人弱だ。3つ目のピークは意外にも0歳だ。うちの息子も6け月で沖縄に赴任したが、子供が小さい時には家族で引っ越しすることに障壁がないからだろう。小中高と子供が大きくなるにつれて、移動する人が減少するのはその分、単身赴任が増えていることなのだろう。そして4つ目のピークはなんと60歳だった。60で定年する時に田舎に戻るようなケースもあるのだろう。年齢別のプロファイルを見るだけで、日本人のライフスタイルが見えてくるようだ。海外ではどうかと気になるところだ。
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(出典:社会実情データ実録、参考2)

3-3 世帯数と人員の推移
 下の図は、平成27年度の国勢調査結果をアップル引っ越しセンターがまとめたものだ。これによると、一世帯あたりの人員は3.5名から2.5名に減少しているが、それと反比例して世帯数は増加している。1970年には3千万世帯だったがが、2015年には5340万世帯まで増加している。約1.8倍の増加だ。少子高齢化という言葉からは世帯数が増加していることを連想しにくいが、少数の世帯が増加しているのが現状だ。そして、2013年では、年間で200万世帯が移動している。つまり、全世帯の4-5%が移動していることになる。これは海外とくればると高いのかどうか気になるところだ。
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(出典:アップル引っ越しセンター、参考3)

4. 引っ越し業界の状況
4-1 引っ越し業者のランキング
(1) 売上

下の図は、アップル引っ越しセンターが集計した引っ越し専業社の売上ランキングだ。業界一位のサカイ引越センターの年間売上はやく700億円だ。二位がアートコーポレーションだ。
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(出典:アップル引っ越しセンター、参考4)

(2) 顧客満足度
今回は、名古屋への赴任も、名古屋からの帰任もアート引越しセンターにお願いした。さすがにお客様満足度一位を誇るだけあって全ての点において丁寧だった。特に感心したのは、作業の開始には必ず挨拶をしっかりとすること、そして作業の終了時には作業内容を拠点に報告し、その拠点の人と電話で話をすること、さらにアンケート用紙を渡されることだ。自分も業務でクライアントからアンケートで評価される立場だったが、このようにアンケート用意を渡すとやはり品質を向上させようというインセンティブにつながる。良い取り組みだと思った。
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(出典:オリコン顧客満足度、参考5)

(3) 実績
2010年度では日本通運が575億円の売り上げを計上してトップだった。しかし、2013年度には引越し専門業者のサカイ引越しセンターが648億円でトップに躍り出た。さらに、2014年度には同じく引越し専門業者のアート引越しセンターにも抜かれて、日本通運は三位に転落した。このように引越し専門業社の躍進が著しい。なお、宅配便大手のヤマトHDは引越し事業では四位を維持しているが、業容自体は2010年度の493億円から2014年には628億円と増加している。
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(出典:ビジネス+IT、参考6)

4-2 年間料金
 下の図は、月別の引越し件数とその引越し料金の相場だ。繁忙日は年度末の3月末だ。今回は人事異動に伴う移転なので引越し費用は会社持ちだが、相場を担当者に聞いてみた。すると、やはり3月末の特に最終週の後半はニーズが集中していて、個人からの申し込みだと40万円もらっても対応できないらしい。弊社とは年間契約なので、格安らしい。個人で引越しするなら3月は避けたいところだが、進学や就職などでどうしてもこのタイミングになるのが悩ましい。
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(出典:ズバッと引越し比較、参考7)

4-3 相談件数の推移
 引越しサービスにかかる相談件数(=クレーム)は2008年の2133件から2013年の2725件まで増加した。これは、ネットでの申し込みが浸透し、過当な料金競争が進み、その結果として品質の低下が発生したものと思われる。これに対応するために、公益社団法人全日本トラック協会は、2014年度に消費者が良い引越し業者を選ぶ判断材料として引越安心マーク制度を創設した。その効果からか2014年度には2151件とほぼ2008年度レベルに下がった。この引越し安心マークは、全日本トラック協会が安心で安全な引越しサービスを提供すると認めた引越し事業者を引越し優良事業者として認定するものだ。
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(出典:LIFULL HOMES、参考8)

5. 引っ越しの課題と対策
5-1 複数回の荷下ろしと再荷積み

 名古屋には2トントラックが来た。東京にも2トントラックが来た。しかし、この2つのトラックは同じトラックではない。名古屋の集配センターで大型トラックに詰め替え、さらに東京の集配センターで積み替えている。これは、名古屋と東京間の長距離ドライバーが不足していることと、長距離ドライブのコストを抑制するためだ。しかし、そのために2回の積み替え作業が発生している。今回は品質不良はなかったが、事故の原因となりうるし、積み替え作業は大変だろう。この改善の可能性はトラックの隊列走行だ。下の図は国土交通省が発行する「トラックの隊列走行について」からの抜粋だ。2020年度には新東名での実現を目指している。これが実現されれば、集配センターでは荷物の積み替えをせず、単純に隊列走行に組入れるだけだ。これなら、積み替え作業は不要だし、ドライバー不足にも対応できる。安全走行に向けての準備や検証など課題は多いが期待したい技術だ。
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(出典:国土交通省、参考9)

5-2 不用品のリサイクル
 今回、名古屋でも不要となったものは処分したつもりだが、東京で荷受けすると、東京のお家がゴミの家のようになった。仕方ないので、すぐには使わないタンスやベッドやテーブルなどを処分することにした。当初は3万円ぐらいと言われたが、最終的には4万2千円の費用となった。トラックに積み放題だったので、不要となっが古いゴルフクラブや雑誌や処分に困っていたものも便乗して処分したので、お家の中は引越し前よりもすっきりした。海外では、家具付きのマンションが一般的だが、日本では家具なしがほとんどだ。しかし、使うべき家具はそれほど大差ない。入居者が変わるたびに家具や電化製品を入れ替えるのは社会的な無駄としか思えない。ウィークリマンションなどでは家具付きもあった。なぜ、日本では家具付きがもっと普及しないのだろう。これは宿題だ。

5-3 ストレスの軽減
 下のシートに基づくと、最大のストレスは人生のパートナーの死別で、この指数を100としている。離婚なども大きなストレスだがその指数は73だ。引越しのストレスは甚大ではないが、指数は20だ。特に、職場や学校などの生活環境が変わるの点が大きい。今回のように単身赴任から戻ると、子供の成長を感じるし、お互いのライフスタイルができているので、そのすり合わせが必要だ。結婚時ほどではないが、ストレスは発生する。しかし、それ以上に一緒に生活出来る喜びの方が大きいので、これは大きな課題だはないだろう。
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(出典:Personal Stress Test、参考10)

6. まとめ
 単身赴任からの帰任のための引越しを経験した。引越しの現状や引越し業者の現状などを調べると興味深いデータが出てきた面白かった。また、同時に課題も見えてきた。最初の物流の問題は、隊列走行が実用化されれば大幅に改善される可能性がある。二つ目のリサイクルや資源の有効利用の問題は、メリカリなどのSNSの活用で解決(緩和)するのが現状的なのかもしれない。最後のストレスの問題は、やはり思いやりの心と感謝の気持ちが大切なのだろう。
以上

参考 1:http://hikkoshi100.net/entry27.html
参考 2:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7672.html
参考 3:https://www.apple-hikkoshi.co.jp/archives/390
参考 4:https://www.apple-hikkoshi.co.jp/archives/398
参考 5:https://life.oricon.co.jp/rank_move/special/analysis/reasons-chosen/
参考 6:https://www.sbbit.jp/article/cont1/30742
参考 7:https://www.zba.jp/hikkoshi/guide/single/
参考 8:https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00340/
参考 9:http://www.mlit.go.jp/common/001178890.pdf
参考10:https://web.archive.org/web/20091027100421/http://geocities.com/beyond_stretched/holmes.htm