LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

SNSの3つの課題と対策案

先のブログではSNSを振り返ってみた。今回は、SNSの3つの課題とこれへの対応について記述したい。

SNSの課題
課題1) SNS依存への対応

課題:深刻化するネット依存
今や2歳児の半分がスマートデバイスを使う時代だ。小学生1年生に入学する頃にはスマホ歴3年-4年のつわものだ。女子高校生の平均利用時間は7時間で、そのうち1割は15時間以上使っている。寝る時間以外は全てスマホの利用時間だ。まあ、私もそうだ。しかも、スマホ2台、タブレット1台、パソコン1台を同時に使ったりしているので、延べ利用時間は24時間以上だろう(笑)。そんなに使っていると、やはりネット依存症が問題だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180220185035p:plain
(出典:MMD研究所、参考1)

対策:リアルな体験の充実
中高生のネット依存を治す有効な方法はリアルな活動だという。缶けりとか、トランプとか、キャンプファイアーとか、そんなリアルな遊びを体験すると、ネット利用よりも面白いので、スマホを使わなくてもいいんだということに気づくという。個人的にもFBを見ないようになってから自由時間が増えた。SNSの問題を解決するには、リアルな世界での目標とか、志とか、趣味とか、活動を充実させることだという。逆に言えば、そう言うリアルが充実していない人はネットに嵌ってしまうのかもしれない。つまり、ネットの問題はリアルの問題の裏返しであり、ネットの問題を改善する方法はリアルを充実する(リア充)というリアルの世界の問題に帰結するということだ。リア充の人がネット依存にならないとも言えないが、リア充を目指すことが本質のような気がする。
課題2) いじめとSNS
課題:いじめは統治の失敗か
学校の先生や保護者は子どもがSNSのいじめにあわないかを心配する。これは大きな問題だ。平成25年に施行されたいじめ防止対策推進法ではいじめの定義を「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とある。被害児童が心身の苦痛を感じたと宣言すれば、それがいじめになる。被害者の立場に立った定義だが、他方で誰かに虐められたと証言すればその人が加害者となって罰せられる。このような冤罪や逆いじめが心配だ。脳科学者の中の信子さんによると、いじめとは統治の失敗の結果だという。つまり、ある組織のルールに従えない人を組織から除外する行為だ。かつての村八分だ。このような社会的排除は、人類が生き残るために身につけた機能だという。したがって、いじめを定義して、いじめはダメと統治を強化すればするほど、そのルールに従えない人が出てきて、それはルールから外れた行為とその人を組織から除外しようとして、いじめが発生する。同時に、子供の社会は大人の社会の縮図だ。マスメディアが、社会的な正義を盾にターゲットとなる人物が攻撃する。本人が反省しない場合には、情動的に民衆を煽って、社会的に抹殺するまで攻撃する。それはまさに子供達が真似をしている「いじめ」ではないのだろうか。

対策:価値観の多様性理解と温故知新
いじめをなくすには、多様性を理解することではないのだろうか。自分と価値観の違う人を理解して、許容する。何かに劣っているからそのひとが劣るわけではない。人はそれぞれだ。他人を尊重し、むやみに他人を非難しない、糾弾しない。緩やかなルールの中で、人とひとが仲良くする。他人の欠点ではなく、他人の長所を見る。そんなことが本当に大事だ。実語教をご存知でしょうか?平安時代に作られ、江戸時代末期まで寺子屋での教材となったものだ。漢字5文字が2セットで文となり、それが48ある。48のありがたい教えだ。例えば、下の図の上左と下右には、子供に大切な倫理観を教えている。具体的には、次のような内容だ。こんな古来からの教えを活用して、物心つく頃からこれを写経し、暗唱し、子供達の価値観のベースとすることができないものだろうか。
 父母には朝から晩まで孝行せよ。
 師には一日中仕えよ。
 友とは仲良くし、喧嘩するな。
 自分より年長の者には礼儀正しく敬い、自分より年下の者は可愛がれ。
 智恵の持たない人は、木や石と同じだ。
 孝の心を持たない人は、動物と同じだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180220193430p:plain
(出典:問道、参考2)

課題3) 個人情報の保護
課題:膨大な個人情報を一部企業が囲い込み
子供達には説明しないが、最も深刻なことは個人情報は誰のものかという問題ではないだろうか。子供達が使うSNSを例えば市区町村や学校が提供していれば、子供達の書いている内容は全て把握できる。トラブルが発生しても、何が起きたかを全てトレースできる。もしくは、トラブルが発生しそうな局面を検知して、注意することもできるかもしれない。そんな取り組みも海外では始まっている。しかし、現状では、実在するLINE等のSNSに対抗できる実力はない。何か問題があって、LINEに情報開示を求めても、個人情報保護の観点から簡単には開示できない。そして、真実の究明は非常な困難を伴う。LINEには限らないが、FacebookGoogleAmazonも数十億単位の個人情報を囲い込んでいる。そして、これら個人情報を活用したビジネスモデルが成功したら、これに対抗することは簡単ではない。一部の企業や組織が個人情報という宝の山を独占したとしてもその是正は可能だろうか。話は変わるが、仮想通貨の取り扱い業者であるコインチェックから580億円相当のネムが盗まれたことが問題となっている。仮想通貨では2回目の事件だ。しかし、これで仮想通貨がなくなることはないだろう。BISの資料を見ても、今後は国や中央銀行法定通貨をベースにした仮想通貨を提供することの可能性を示唆している。三菱東京UFG銀行がMUFJコインを提供することにチャレンジしている。

対策:分散型SNSの活用
ただほど怖いものはない。我々が小さい時には親からそのように教わったものだ。しかし、現在は無料のSNSをなんの抵抗もなく使っている人が多いのではないだろうか。しかし、LINEもGoogleAmazonも慈善団体ではない。社会に奉仕するためにサービスを提供しているわけではない。そんな当たり前のことを理解すべきだ。そして、きちんと予算をとって、体制を整備して、子供達が安心して使えるSNSサービスを提供すべきではないだろうか。それ以外に個人情報を守る方法はないと思う。また、仮想通貨に対しては、私は推進論者だが、仮想通貨の利用が進展すると、誰がいつ、何にいくら使ったかという個人情報をすべて管理可能だ。それを一部の私企業が独占することを許すべきではない。これを阻止するには、通貨と同様に国家が仮想通貨を提供した方がまだましではないだろうか。ベーシックインカムの議論が少しずつ進展しているが、個人的には、これを政府発行の仮想通貨として提供し、その利用データを匿名化して、オープン情報をとして、民間企業に公開する。そのような方向性に対して猛反発する論者もいるだろう。しかし、一部の私企業が独占する状態よりも健全ではないだろうか。問題の根は深い。

以上


参考1:https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1544.html
参考2:http://mondou.hateblo.jp/entry/2015/05/08/021102