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イランのタンカー沈没に伴う日本海岸への影響懸念

イランのタンカーが東シナ海に沈没
日本の新聞やテレビでは大きくは報道していないが、海外や一部のSNSで日本の海岸への影響が深刻な可能性があるとして大きく報道されている。いろいろ調べると、やはりWikiの更新が最もよくまとまっていた。下の図は、イランのタンカー「サーンチー号」と香港籍の貨物船「長峰水晶号」が本年1月6日に衝突したポイントと、そのあと、1月14日にサーンチー号は沈没した場所を示している。
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(出典:Wiki、参考1)

石油タンカー「サーンチー号」の衝突事故
発生日:2017年1月6日
発生場所:東シナ海(上海市から東160 nmi (300 km)地点)
乗員:53名(サーンチーに32人、長峰水晶に21人)
死者:32名 (全員サーンチー乗員)
事故内容:石油タンカー・サーンチーの衝突事故は、2018年1月6日に東シナ海の上海沖で発生した。サーンチー号は、パナマ船籍、イラン政府所有の石油タンカーである。天然ガスコンデンセート 136,000 トン(960,000 バレル)を満載にしてイランから韓国に向けて航海していたところ、上海市から沖へ 160海里 (300 km) の地点で香港船籍の貨物船、長峰水晶号と衝突した。
(出典:WIki、参考1)

石油タンカー「サーンチー号」が日本の排他的経済水域に移動
移動日時:1月10日正午時点で日本の排他的経済水域に入った。
発表:日本の海上保安庁の第十管区(鹿児島)は1月12日に発表。
(出典:WIki、参考1)

石油タンカー「サーンチー号」の沈没
沈没日時:1月14日午後4時45分
死者:32名(イラン国籍30名、バングラデシュ国籍2名)
中国の発表:サーンチー号は衝突直後に出火し、1週間、燃えながら漂流して1月14日に沈没した。サーンチー号の乗組員32人全員が助からなかった。長峰水晶号の乗組員は全員救助され、船は中国に入港した。中国運輸省は1月17日にサーンチー号は海中 115メートルのところに沈んでいると発表した。イラン国営石油会社の試算によると、サーンチー号の沈没によりもたらされた経済的損失は、積荷の喪失により6千万ドル、船自体の喪失により5千万ドル、合わせて約1億1千万ドルと見られる。
(出典:WIki、参考1)

日本への影響
イギリスの国立海洋センター(NOC:National Oceanography Center)は、イギリスのサウサンプトン大学と協力して、海洋循環が汚染物質の拡散に及ぼす潜在的影響を評価した。その結果、被災したタンカーは、東シナ海に接近する黒潮の流れの西側の境界線に向かった。3ヶ月以内に韓国沿岸に到達する可能性があり、汚染した黒潮が九州、四国、本州の島々に沿って流れ、2ヶ月以内に東京圏に到達する可能性があることを示唆した。 この研究をリードするNOCのKatya Popova博士は「油流出は、海洋環境と沿岸地域に甚大な影響を与える可能性がある。」と述べている。下の左の図は、周辺の海洋循環である。明るい色は早い流れを示し、矢印は現在の方向を示す。注目すべきは黒潮が左から右に斜めに流れていることだ。右の図は、汚染リスクを示す。より赤い色は汚染の危険性が高いことを示す。サーンチー号からのオイルの流出は、東シナ海および日本海で大きいが北部沿岸地域を含む他の地域にも影響を与える可能性がある。
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(出典:Wiki、参考2)

まとめ
日本の新聞やテレビでもっと大きく報道すべき重大な事件ではないだろうか。タンカーの衝突とその後の沈没がなぜ起こったかの原因究明も必要だが、流出した原油による影響を予見し、そのリスクを最小限に留めるための対策を至急実施すべきだ。関係省庁は対策に奔走しているのかもしれないが、その状況を国民にも開示してほしい。ニューヨークタイムズは、漁業の被害だけでなく、浜辺の汚染を含む環境被害が深刻であるという。CNNの報道によると、1月19日までに100平方キロメートルを超える規模になったという。Natureの報告書によれば、今回の流出の重要な側面は、海洋の住人に対する直接的な毒性だという。2018年はタンカーの衝突と沈没という大変な事故で始まったが、日本の新聞での報道はわずかだ。今日のテレビのニュースを見ても、海外の自動車事故は報道されても、日本及び日本人に大きな影響を与える可能性のあるこのタンカーの沈没とオイル流出の報道がないのはどうしたことなんだろう。個人的には悲観的に考えることは好きではないが、水産物への影響を考えると、2018年は厳しい経済事情に陥るのではないかと心配する。
以上

参考1:https://ja.wikipedia.org/wiki/石油タンカー・サーンチーの衝突事故
参考2:http://noc.ac.uk/news/sanchi-oil-spill-contamination-could-reach-japan-within-month-update