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いじめと相撲と北朝鮮:司令塔は誰だろう。

いじめと相撲と北朝鮮
 なんだか意味不明なタイトルで恐縮だ。いじめは子供の世界のトラブル。相撲は今騒ぎになっている事件。そして北朝鮮は盛んに周辺国を挑発する行為を続けている。これらの3つに何の関係があるのだろう。ミルグラムの実験でその原因を理解できるかもしれない。順番に紐解きたい。

いじめの構図
 なぜいじめが起きるのか。奈良教育大学のいじめ問題プロジェクトでは、いじめの構造を4層で考えている。被害者と加害者と観衆と傍観者だ(参考1)。下の図はそれに対してさらに、加害者に指令を出す司令塔の存在を指摘したものだ。

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(出典:大阪市KOKOROネット、参考2)

スクールカースト
 最近の学校は階層があり、それをスクールカーストと呼ぶという。下の図は、中学生の不登校をなくそうという団体のホームページからの引用だ。母親の階層が子供の階層に影響を与えている。子供の社会は大人の社会の縮図だというが、本当にこんな階層が学校内にあるのだろうか。
 司令塔がカーストの上位で成績も優秀だとすると学校の先生も父兄もまさかその子が司令塔とは思わない。また、明確に指令しないケースの方が多いだろう。トップの人間が「最後まで言わせるな」という構図に似ているのかもしれない。

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(出典:中学生の不登校・登校拒否悩みを解消、参考3)

ドラえもんの司令塔は誰か
 ドラえもんは、「ジャイアンのび太をいじめる」のが定番だ。つまり、いじめっ子はジャイアンであり、いじめられっ子はのび太だ。しかし、本当にそうだろうか。子供たちの間では、ジャイアンは体力は会っても人望も頭脳もないのでいじめっ子にはなれないという。せいぜいパシリだという。
 では、本当のいじめっ子(=司令塔)は誰かというと静香ちゃんだという。「だって、静香ちゃんには女の友達がいない。性格悪いのよ」という。しかし、学校では実行犯を見つけて指導するし、被害者を救出しようとする。しかし、司令塔は特定しにくいので放置される。そして、司令塔は別のパシリに「あの子生意気」等、いじめをほのめかす。パシリはその空気を忖度していじめに走る。そんな悲しい構図をどうすればなくせるのだろう。

相撲のトラブルの構図
 白鵬が貴乃岩を説教している時に、貴乃岩がスマホを見たと言って、日馬富士が貴乃岩を注意した。貴乃岩は謝ったつもりだが、日馬富士はその態度にさらに激怒して殴りつける。さすがにシャンパンボトルでは殴らなかったが、リモコンで殴る。そのあと白鵬が仲裁する。ニュースで聞く限りはそんな感じだ。リモコンは実は危険で、割れやすいシャンパンボトルの方が派手で実害が少なかったという意見もあるようだが、それは本質ではない。
 ここで感じるのは、トラブルの構図が子供のいじめに類似している点だ。つまり、白鵬司令塔実行犯日馬富士被害者が貴乃岩という構図だ。同席した他の力士も傍観者となっている。難しいのは、司令塔が明確な指示を出していたらそれは実行犯と同罪だが、その空気を忖度して、実行犯が暴力を振るった可能性もある。その場合の司令塔の罪をどう判断するかは微妙だ。相撲界は未知の世界なので、想像でしか言えないが、いじめの構図と近いものを感じるというと言い過ぎだろうか。

北朝鮮の狙いと立場
 世界情勢の話に転じると、イスラエルの首都問題が表面化しているが、北朝鮮の度重なる挑発行為も問題だ。そして、よく分からないのは北挑戦の狙いだ。何が目的なのだろう。北朝鮮と韓国の統合が目的なのだろうか。それとも、北朝鮮の国力を高めたいのだろうか。北朝鮮の意思が見えない。
 子供のいじめの構図に合わせて考えると、誰か司令塔がいて、その意思を忖度して、パシリとしての北朝鮮が米国に向けてミサイルを発射できることを誇示する。しかし、本当に米国の領域に発射すると米国が本気になるので、歯向かってこない国(=日本)の領域に何度もミサイルを発射する。そんな構図のように見える。
 では、司令塔は誰なのか。ロシアなのか。中国なのか。世界の経済は米国がリードしていたが、中国が急速に勢力を伸ばしている。朝鮮はそもそも中国の属国としての歴史が長かった。中国の勢力拡大のパワーを傘にして、北朝鮮としての国力を高めようとしているのであれば、北朝鮮の軽はずみな行動も理解できる。
 問題は米中首脳会談だ。中国が演出した2500億ドルの商談というお土産でトランプ大統領はすっかり懐柔されてしまい、中国が悪いのではなく、米国の前政権が悪いとまで言わされてしまった。これでは、中国の勢力をかさにきた北朝鮮の暴挙を抑制することは難しいのではないだろうか。

ミルグラムの実験
 なぜいじめが起きるのか。悲惨な事件が起きるのか。非情になれるのか。悲惨な事件が報道されるたびに信じられない!理解できない!といった非難の報道が溢れる。しかし、止むをえない環境においては、誰でも加害者(=実行者)になりうるという事実を真摯に理解する必要がある。それを検証したのがミルグラムの実験だ。これは、米イエール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムが人間の心理を実験した。登場人物は3人で、司令塔のEさんと加害者のTさんと被害者のLさんだ。Tさんからの質問に対して、Lさんが回答を間違えると、TさんはLさんに対して電気ショックを与える操作を行う。Lさんは迫真の演技で苦しむ。Tさんがその操作に抵抗すると、Eさんは権威を持ってTさんに実行を指示する。EさんからTさんへの4度目の通告の後も、Tさんが実験の中止を希望した場合に実験は中止される。もしくは、死にいたる最大の450ボルト(V)が3回続くと実験が終了する。なお、EさんとLさんは演技であり、Tさんが被験者だ。電気ショックの電圧は最初は15Vだが、最大の450Vまで9段階で増大する。特に300V超は著しく激しい衝撃だ。どのような結果になったと思いますか?
 被験者40人の何名かは実験の中止を申し出たがEさんからの4回の指示を受けても中止を希望する人はいなかった。そして全員が300V超まで進み、約65%が致死レベルの450Vまで続けたという信じたくない悲惨な結果だ。つまり、人間は誰かの指示により止むを得ない状況になれば悪になりうるということだ。
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(出典:Wiki、参考4)

まとめ
 今回は技術的な問題というよりは、社会的な問題にトライした。子供の世界は大人の世界の縮図だ。子供の世界の問題を解決するには、大人の世界の問題を解決する必要があるということを最近強く感じる。
 UNICEFの調査によると日本の子供は「寂しく孤独と感じる」比率と「優しい労働に従事したい(向上心がない)」比率が2位を引き離して圧倒的に高いという。学力は高くても、そんな覇気のない子供たちにしてしまった責任は間違いなく我々大人だということを認め、将来の子供たちが元気で希望を持って生きていける社会を作っていく方法を考えていく必要があるだろう。
 また、最後のミルグラムの実験を初めて聞いた人はショックだったかもしれない。しかし、いじめも、紛争も、戦争も、そんな人間の精神構造が背景にあることを理解しなければ、本当の理由を見つけることができず、本当に必要な解決策を見つけることができず、何度も同じことを繰り返してしまう。悲しいけど人間にはそんな遺伝子が機能しうるということを理解しておくべきだと思う。

以上

参考1:http://www.nara-edu.ac.jp/CERT/April07/html/chapter1/02.html
参考2:http://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000359494.html

参考3:http://futoukou.byoukinavi.net/gakkou/
参考4:https://ja.wikipedia.org/wiki/ミルグラム実験