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睡眠の科学:年齢、年収、性別、通勤時間と睡眠時間の関係は?

昨日に続いて、睡眠についてもう少し考えてみたいと思う。


理想の睡眠時間と現実の睡眠時間
ナポレオンのように3時間の睡眠時間でも大丈夫な人もいれば、アインシュタインのように1日10時間寝るような人もいる(参考1)。問題は、それぞれが理想と思う睡眠時間と現実の睡眠時間の乖離ではないか。下図は2009年にマーケティングリサーチ会社がネットで5千人以上に調査した結果だ(参考2)。これによる理想は7.3時間だが、現実は5.6時間しか睡眠を取れていない。理想は8時間睡眠と回答した人が最も多い一方で、5-6時間というのが現実だ。4-5時間が現実という回答も4割近くあり、もっと睡眠時間を取りたいけど、なかなか取れないのという実情が見えてくる。

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年収と睡眠時間
Niftyニュースの「なんでも調査団」が2012年に376人への調査を行っていた(参考3)。これによると、睡眠時間が4-6時間の比率が最も多いのが750万円-1000万円のセグメントだ。このセグメントは、睡眠時間が6-8時間の人も非常に少ない。企業の中間管理者として奮闘している様子が目に浮かびそうだ。逆に、1500万円以上のセグメントは、6-8時間の比率がなんと100%だ。中間管理者を卒業し、部長や役員に上り詰めると逆に睡眠時間が増えて安定するのだろうか。この辺りは、サンプル数を増やして追い打ち調査する必要がある。一方、収入がないと回答したセグメントでは、4-6時間と6-8時間がでほぼ9割以上を占めているものの、睡眠時間が4時間未満と回答した人が他のセグメントに比べて最も多い。8-10時間と十分な睡眠時間を取っているのは、250万円未満のセグメントと250-500万円のセグメントだ。年収で睡眠時間のパターンが変わるのは興味深い。

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朝型と夜型のどちらが高収入?
よく似た調査をソニー生命が2016年に経営者500人と会社員500人を対象に実施していた(参考4)。上が経営者で、下が会社員だ。青色が朝型、黄色が夜型だ。経営者と会社員の差は多くなく、それよりも年収による差が興味深い。特に、年収が400万円未満でのみ、経営者も会社員も夜型が過半数を占めていて、収入が増えるほどに朝型にシフトする傾向にある。しかし、一般的に年齢ととものに収入も増えるとすれば、今後、年収に依存しているのか、年齢に依存しているのかを見極める必要がある。

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年齢と睡眠時間の関係(その1)
NHKが2000年に年齢と睡眠時間の関係について調査していた(参考5)。これによる、30代から40代を底としてU字型のカーブを示すことが確認された。

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年齢と睡眠時間(その2)
一方、年齢とともに必要な睡眠時間が減少するという指摘もある(参考6)。加齢ともに、睡眠に必要な時間は減少するが、他にやることもないので、ゆっくりと睡眠を楽しむことができるようになる。高齢者の場合には、仕事をしているかどうかとか、やる気とか、元気とか、健康度とかとも関係しそうな気がする。

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仕事の有無と睡眠時間
仕事をしているかどうかで睡眠時間が異なるような気がする。調べると、総務省が実施している「生活基本調査」をもとに、「ねむりくらし研究所」が次の図を解説していた(参考7)。昭和51年の頃に比べると、仕事をしていない人の睡眠時間はほぼ8時間ほどで安定しているが、仕事をしている人は年々減少していて、平成23年では7時間25分まで下がっている。

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通勤時間と睡眠時間
都心部では、片道1時間とか、2時間かけて通勤する例も珍しくない。そのような人は通勤電車の中で睡眠を補うのかもしれないが、睡眠時間との関係は強いだろう。調べてみると、総務省統計局が平成18年度に調査していた(参考8)。片道の通勤が15分以内の人の睡眠時間の平均が約7.5時間に対して、片道1時間だと約7時間、片道2時間だと約6.5時間と強い相関関係を示している。日本人の通勤時間を短縮できれば、日本人の睡眠時間の不足を解決できるのかもしれない。

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日本人の女性は世界的に睡眠時間が短い
日本はOECD加盟国の中でも睡眠時間が短く、特に日本女性が短いとレポートされている。男女の違いを調べていたら、染谷抗加齢研究所の染谷所長が下のようなわかり易い図を作成されていた。染谷所長は非常に幅広く健康や長寿の研究をされていて敬服する。この図を見ても、日本の徳の女性の睡眠時間が他国に比べても著しく少ないのがわかる。直線の上は女性の方が睡眠時間の長い国で、逆に直線の下は女性の方が睡眠時間が短い国だ。インド、メキシコ、日本などは後者だが、マイナーだ。

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まとめ
睡眠時間が国、年齢、職業の有無、性別、通勤時間などと密接な相関関係を持つことはわかった。また、理想の睡眠時間に比べると実際の睡眠時間は短いことも分かった。実際、私も30代から40代にかけては深夜まで残業し、ほぼ最終で帰宅して、朝は普通に出勤という生活をしていて慢性的な睡眠不足だった。でも、最近は割と自由に寝たいだけ寝る日が多いが、夜遅くても、結局朝は6時に目覚める。しかも、目覚ましがなる前に目覚めて、そろそろ鳴るかなと予想して、鳴ったら止めてから洗面所に行く生活だ。
睡眠時間の理想と現実も年代別に調査すると面白い結果が出るかもしれない。また、睡眠は単に体を休めるだけではなく、脳のデトックスも行っている。脳以外はリンパによって老廃物を取り除いているが、脳にはリンパがない。では、どうやって脳を再生させているかというと脳脊髄液がその役割を果たしている。睡眠時には脳は20%ほど萎縮し(参考9)、その隙間にこの脳脊髄液が巡回して、老廃物を排除する。したがって、適切な睡眠がないと、脳の老廃物を排除できずにアルツハイマーの原因になる(参考10)。かといって、睡眠時間が多すぎても頭がボーとする。これはなぜなんだろう?

 
参考1:https://magazine.gow.asia/life/column_details.php?column_uid=00000939 
参考2:http://www.garbagenews.net/archives/1015068.html 
参考3:http://chosa.nifty.com/medical/chosa_report_A20120406/2/  
参考4:http://news.mynavi.jp/news/2016/05/25/313/ 
参考5:http://www.kaimin.info/part/dictionary/di04.html 
参考6:https://ぐっすり.com/science/time.html 
参考7:http://nemuri-kurashi.jp/knowledge/725-2/  
参考8:http://www.stat.go.jp/data/shakai/2011/wakaru/ 
参考9:http://hibramer.com/when-you-sleeps-the-brain-shrink-is-that-bad-or-good/
参考10:http://diamond.jp/articles/-/34607