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意識調査:内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査で感じること

内閣府が発行している「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度)」はウェブで公開されている。ご覧になった人もいかもしれない。

恥ずかしながら私は今日初めて知った。そして、日本の若者と海外の若者の意識の違いに驚くとともに、その原因が日本社会に根ざしているのではないかと考えた。子供の社会は大人の社会の縮図だと言う。子供は親の影響を受けて育つ。若者が見る将来は日本の将来を冷静に見ているのだろう。

結局、子供たちを救うには、若者を救うには日本社会を元気にして、将来の日本に希望を持てるようにするしかないのではないか。そのように感じた。

私が紹介するのは、気になった部分のみだ。このレポートはよくまとまっている。もしご興味があるようなら、次のURLで閲覧できるので、是非一度目を通して欲しい。
 URL : http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/pdf_index.html

1. 調査対象
日本、韓国、アメリカ、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンの7ヶ国で、それぞれの国の13歳から29歳の若者を対象としている。
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2. 自己肯定
(1) 自分の親から愛されている(大切にされている)と思うか?(単位:%、以下同様)
日本においても肯定的な意見(84%)が否定的な意見(16%)を大きく上まっているので、問題ないのかもしれない。ただ、諸外国では素直に「そう思う」と回答するのが最大なのに、日本では、「そう思う(4¥35%)」よりも「どちらかと言えばそう思う(49%)」が多い。日本では親が子供に愛しているよとは言わないことが原因なのだろうか。大切にされているという実感がないのか。

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(2) 自分自身に満足しているか?
日本の若者は自分自身に対する自信というか、満足感が低いことに驚いた。これは(1)の結果とも関連するのかもしれない。素直に「そう思う」と回答したのが7.5%というのは、諸外国に比べても低い。また、肯定的な回答(46%)より否定的な回答(54%)の方が多いのは、日本のみだ。日本の若者は自信を喪失しているのだろうか。

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(3) 自分の意見をはっきりと相手に伝えられるか?
これも日本は諸外国と比べて著しく「そう思う」という回答が少ない(9%)。日本人は空気を読むことに神経を使い過ぎていて、相手に自分の思いを伝えることに臆病になっているのだろうか。

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(4) 憂鬱だと感じたことは?
逆に日本の若者が肯定するのは、悲しいと感じたことはあるか?という問いと、この憂鬱だと感じたことはあるか?という質問だ。どちらも同じような傾向だったので、後者のグラフを掲載するが、あったという回答が44%もある。否定的な意見は22%にとどまっている。どんだけ憂鬱なことや悲しいことがあったというのだろう?

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3. 将来性
(1) 将来への希望はあるか?
日本の若者で希望があると素直に回答したのはわずか12%である。どちらかと言えばあるが多い(49%)ので、肯定的な意見(62%)が否定的な意見(38%)を上回っているが、これも自分自身への自信の少なさと関係するのかもしれない。

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(2) 将来は、世界で活躍しているか?
北欧と英米は高いが、これに比べるとドイツ・フランスはやや少ない。しかし、それ以上に「そう思う」という回答が少ないのが日本(3%)だ。肯定的な意見はわずが15%で否定的な意見が85%をしめている。英語の壁、文化の壁が日本の若者を縮み志向にしているのだろうか。スポーツの世界では、世界の選手と互角に戦っている日本人がいるが、ビジネスの世界では日本企業は苦境に立たされていることが多いためなのだろうか?

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(3) 社会に出て成功するには何が最も大事だと思いますか?
これは興味深い質問だ。日本を含めて、本人の努力と答えている国が多い。しかし、その一方で、韓国は身分や家柄がダントツに多い。この辺りに韓国の問題があるのだろう。英米でも身分や家柄と回答する若者が2割以上ある。日本は、身分や家柄と答えたのはわずか7%であり、意外と格差が少ない社会なのだろうか?

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4. 社会への満足度
(1) 自国の社会に満足していますか?
この質問で「満足している」と答えたのが最も多かったのが英国だったのは正直意外だった。一方、最も少ないのが日本(3%)と次がフランス(4%)。「わからない」と答えたのも日本が最大というのも日本らしい。

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(2) 社会の景気動向はどうか?
社会の景気に不安だと回答したのが最も多いのが日本(26%)だ。どちらかと言えばも含めると、74%が不安に感じている。景気に不安感がないと回答したのが最も多いのがスウェーデンだ。やはり福祉国家としての社会システムが安定していることに加えて、企業の業績も好調なことが後押ししているのだろうか?

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5. 職場や学校への満足度
(1) 学校生活に満足していますか?
これも残念ながら満足と回答したのが最も少ないのが日本(18%)だ。肯定的な意見(70%)が否定的な意見(30%)を超えているものの、日本の若者は学校生活に満足していないのが見て取れる。

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(2) 学校に通う意義
どの質問に対しても、(1)と同様に日本の若者が「そう思う」と回答したのは少ないが、日本人の回答だけを集計したものを見ると、最も肯定的な意見が多かったのが「友達との友情を育む」であり、ついで「自由な時間を楽しむ」であった。自分の専門知識を深めたり、才能や技能を伸ばす場ではないということかなのか?

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(3) 将来の職場での人間関係はうまくいくか?
企業で勤務する上で、人間関係に不安を最も感じている国が日本(32%)だった。他の国でも不安を感じている人が多いが、明確に不安と答えた人が多すぎる。日本人はマイナスのマインドが強いことを再認識した。

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(4) いかなる理由があっても「いじめ」はいけないと思うか?
これは道徳教育が行き届いているかどうかだろう。そう思うと最も多く答えたのはスウェーデン(94%)だった。逆に最も少なかったのはフランス(28%)だった。日本は2番目に少なかった(50%)。日本でのいじめ問題が簡単には無くならない理由がこの辺りに現れているような気がする。

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6. 家庭への満足度
(1) 家庭生活に満足していますか?
満足と回答したのが最も少ないのが日本(16%)だ。肯定的な意見が多いものの不満と回答したのも日本が最も多い(9%)。日本人の若者が家庭生活を満足していないのは何故なんだろう?

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(2) 将来、自分の子供に老後の面倒を見てもらいたいですか?
「そう思う」と答えたのは、日本が5%と最も少なく、ついで韓国の6%だ。地方では親子三世代の家族が多く、そういう地域では子供も安定している。しかし、都心では親と子供の二世代家族が多く、子供は息苦しさを感じているのかもしれない。この調査では三世代家族かどうかの情報はないが、核家族の弊害が出ているのではないか?

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(3) 厚生労働白書より
核家族世帯の推移を調べたところ、1980年には20%弱だったものが、2000年には26.5%に達し、さらに増加する傾向と推計されている。三世帯への復帰が始まるのはいつだろう。それが日本の家族の復活、そして子供達の心の健康とやる気の復活につながり、それが将来の日本を明るくするエネルギーになるように考えるが、楽観的過ぎるだろうか?

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(参考:http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/01/1-2-3.html

7. IT環境
(1) デジタル機器の利用
日本でも携帯電話・スマホの利用は普及しているが、この調査を見る限り、諸外国よりも遅れている。ノートパソコンはなんとか中位だが、タブレットやデスクトップは諸外国に比べて周回遅れの状態だ。日本が諸外国よりも先行しているのは携帯ゲームだ。子供がスマホタブレットを欲しいと言われても与えないが、ゲーム機は与えてしまっているのが、日本の家庭の平均像なのかもしれない。

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(2) 日本のデジタル機器の利用
諸外国に比べると、携帯電話・スマートフォンの利用が87%と遅れている日本だが、それでも高校では90%、大学では98%とある。これは平成25年の調査だが、最近の調査であれば、スマホの利用率は高いだろう。ただ、パソコンの利用率が低いのは気になるところだ。スマホベースのSNSではどうしても短文の文化となる。論理をしっかり考えるには、PCベースのブログなどがお勧めだが、PCを使えない大学生も珍しくないという。この点も心配なところだ。

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8. まとめ
今回のレポートは正直ショックだった。親に愛されている実感が少なく、自分への自信が少なく、将来への希望も少ない。学校に通うのは友達との友情の為であり、学校への満足度も家庭生活への満足度も低い。世界で活躍するといった野心もない。このレポートを見て、専門家がいろいろと分析しているが、危機感を訴えているものは少ない。このレポートは、日本の将来への重大な警鐘を若者が必死にならしていると感じないのだろうか?

以上