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デフレは悪か?実質賃金が低下し、貯蓄率がマイナスに転じるが実質GDPは好調だ。

実質賃金
実質賃金とは名目賃金➗物価指数である。従って、デフレになると物価指数が低下するので緩和される。つまり、名目賃金は100から90に下がっても、物価が100から90に下がれば、実質賃金は100のままである。では、その実質賃金はどのように推移しているのだろうか?

厚生労働省が発表する実質賃金の推移
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上の図は、murrielzブログに掲載された図表だ。出典は総務省消費者物価指数厚生労働相の毎月勤労統計とある。2000年を100とした指数の数を示している。2000年を起点にすると2012年の名目賃金は10ポイント近く減少しているが、物価指数も7ポイント近く減少しているので、実質賃金も7ポイントほどの減少にとどまっている。

デフレは悪か?
デフレは不況の代名詞のように語られることがあるが、名目賃金が低下する経済環境の中でインフレが起きたら、実質賃金はさらに低下してします。平均賃金が低下したので、デフレが起こり、デフレ環境の中でさらに賃金が低下するという悪循環をいかに断ち切れるのかが問題だ。

平均貯蓄率の低下
実質賃金が低下した家計は、それまで頑張って続けてきた貯金をやめてしまった。貯金しても得られる金利がわずかだということも貯蓄を嫌気した原因かもしれない。参考1に分かりやすいグラフがあったので、引用する。出典はOECDデータとあり、編集したのは経済産業省だ。家計貯蓄率は、1970年代では20%近くあったものが、1990年代は15%を切り、2001年には5%に低下し、2013年度はマイナス1.3%まで低下している。他の先進国と比べてもその低下傾向は著しいことがわかる。
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 参考1:http://rionaoki.net/2010/03/3448 

 失業率の増加
実質賃金が低下し、貯蓄率が低下しているが、失業率はどうだろうか?
経済産業省のレポートを見ると、完全失業率は5-7%を前後しているが、潜在的な失業者数が急増していることが見て取れる。潜在的な失業者数とは、完全失業者数と雇用保蔵者数の合計である。雇用保蔵者とは、適正な労働をしていない雇用者のことであり、英語ではピッタリの英語はない。
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 出典:経済産業省「日本の産業をめぐる現状と課題」(平成22年2月)

日本の実質GDP
このように見ると日本の経済は大丈夫かと心配になり、GDPの推移を調べてみたら、堅調だった。1986年の256兆円から、2000年度に460兆円を超え、2016年度には521兆円を超えた。今後も順調に推移する見込みだ。

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 出典:世界経済のネタ帳(http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html)

日本では人手不足を自動化で吸収する方針
潜在的な失業者数が急増する一方で、約6000人の労働者が不足するとも言われている。しかし、参考2によれば、まずはロボット等の自動化により対応し、実際に不足するのはその11%程度だという。

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  出典:オンライン日経ビジネス(2017/8/28)
 参考2:http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278202/051600032/

 

まとめ
日本での実質GDPは堅調に推移しているが、潜在的失業率は急増し、平均賃金が低下し、その結果として貯蓄率はマイナスに転じている。さらに、人手不足はロボット等の自動化で対応する方針だ。これらを総合すると、日本こそ、自動化で獲得したメリットの一部をベーシックインカム(UBI)として国民に還元すべきかもしれないという気がする。

以上