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ベーシックインカムで支給されたお金の利用状況をビッグデータとして分析・活用できるのか?

景気対策手法としてのUBI
好景気か不景気かといった状況に応じて、政府や日銀は金融政策や財政政策、公共投資を行って物価上昇率や為替レートを調整している。しかし、不景気だからと金利を下げても、マネタリーベースを増大してもその効果は限定的だったり、即効性がなかったりする。なぜならお金を使うのは消費者であり、その消費者が自由に使えるお金が増えない限り、消費は増大しないからだ。では、どうすれば良いのか?文字通り、自由に消費者が使えるお金を供給すれば解決になるのだろうか。ベーシックインカムとして、無条件に全ての国民に一定の収入を担保し、提供すれば、消費は上回るのであろうか?

金利政策やマネタリーベースの政策、インフラ投資の政策よりは、ベーシックインカムの施策の方が即効性はあるだろう。ただし、どのようにベーシックインカムを国民に支給するのか、どのように管理するのか、また、その利用用途に制限を加えるのかが問題である。

UBIの提供に関して工夫すべき点
個人的には、次の3点について入念に工夫する必要があると考える。

 1) どのように支給するのか?
 2) 利用状況をどのように管理するのか?
 3) 不正な利用を規制するのか?

それぞれについて、私案を複数列挙してみる。

1) どのように支給するのか?
 案1:現金(キャッシュ)で支払う。
 案2:指定された銀行口座に振り込む。
 案3:電子マネーとして支給する。
 案4:その他の方法で支給する。

2) 利用状況をどのように管理するのか?
 案1:管理しない。無条件で支給する。
 案2:管理する。例えば、前項の案3であれば、登録IDで利用状況を管理する。

3) 不正な利用を規制するのか?
 案1:規制しない。無条件で支給する。どのように使うかは個人の判断とする。
 案2:規制する。利用の有効期限を設ける。利用の用途を定める。

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これを整理すると、上図のようになる。現金や指定された口座に振り込まれる方法は国民としては便利だけど、支払い〜受け取りまでの事務処理を考えると効率的ではない。UBIは短期的に終わるものではなく、今後何十年も長期的に継続して実施する制度である。IT技術を最大限に活用して、少ない工数で自動的に回る仕組みが望ましい。過剰な管理や規制は本末転倒であるが、やはり一定の管理や規制は必要だろう。

その意味では、案3の登録したIDに基づいて利用状況の管理や不適切な利用の規制を行う方法が望ましいのではないか。代案として、ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨とする案4も想定される。 

ベーシックインカムの支払い方法として、仮に政府系の電子マネーとして提供する方法を採用したとすると、その場合のメリットと問題点は次のようになる。
1. メリット
・政府が保証する電子マネーとして国内で広く活用される。
電子マネーのやり取りをすべて電子マネーのフローを管理できる。
・具体的には、個人と個人、個人と法人、法人と法人での処理が含まれる。

2. 問題点
電子マネーの仕組み作りが必要になる。
② 子供名義の電子マネーカードに対する親権のルール作りが必要になる。
電子マネーを使いこなせない高齢者の対応支援が必要になる。

3. 今後の検討課題
電子マネーの仕組み作り
・日本国民が広く国内で利用可能なインフラを整備する。
・国外での利用は原則不可とするべきかどうか。
・ここでは、政府から直接国民にUBIを電子マネーで支給する処理を想定する。
・つまり、政府から支給されたUBIを国民が使って、企業に回り、銀行に回る。
市中銀行を経由してUBIが中央銀行に回ってくる。
・政府は、中央銀行に対して国債を発行することでこれを精算する。

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② 未成年に対する考慮事項
・子供名義の電子マネーカードに対する親の権利をどのように定義するか。
・養育費相当を子供名義のカードから親名義のカードに移転可能とする等。
・現在の子ども手当は、親が受け取るが、UBIの受取人はあくまで本人である。

高齢者に対する考慮事項
高齢者が自立している場合は問題はない。
・家族や施設の支えが必要な場合にUBIをどのように受け取るべきなのだろう。
・UBIを第三者に代行受け取りさせる場合のルールを検討する必要がある。

以上