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今回のバルト三国の旅行の目的とその振り返り

長いようで短かった私のバカンスも明日のフライトで終わります。貪欲にバルト三国を旅しましたが、当初の目的をどの程度果たせたのか、少しレビューしてみたいと思います。

1. 目的
以前(7/22)のブログに書いたように今回の旅の目的は次の3つだ。
1)IT先進国と言われるエストニアで見識を広める。
2)デジタル志向の国とアナログ志向の国を比較して幸福度を考える。
3)会社生活の区切りとなる自分へのご褒美とする。

2. 達成状況
それぞれの達成状況を振り返ってみたい。
1)IT先進国と言われるエストニアで見識を広める。
日本のマイナンバーはエストニアの仕組みを参考したと言われる。人口130万人ほどのエストニアがなぜIT立国を目指しているのかを知りたいと思った。見識も少しは深まったと思う。特に次の3点である。

① 独立の復活(Restoration of Indepence)
② 秀逸な社会システムの整備
電子政府を目指す政府の効率性

① 独立の復活(Restoration of Indepence)
エストニアの各都市(タリン、ハープサル、パルヌそしてタルトゥ)を旅行していて感じることは、エストニア人が非常に勤勉で、穏やかで、でも芯の強さを持っているということだ。特に、1987年から1991年にかけての歌う革命、そして、1989年8月23日の人間の鎖リトアニアのヴィリニュス、ラトヴィアのリーガ、そしてエストニアのタリンまでの約600kmを200万人の人々が手をつないで世界に独立をアピールした)、そして各国のテレビ塔へのソ連軍の攻撃とそれへの抵抗の話は何度も目にした。謙虚な彼らはそれらのことを声高くいうことはないが、独立の喜びに浸るだけではなく、自分たちで自分たちの国をもっと良くしていくという気概を感じる。

② 秀逸な社会システムの整備
そのための戦略としてエストニア政府はIT立国を掲げている。街の交通機関の仕組みなどもITをうまく活用している。利用する人の目線で丁寧に、端正に社会システムを整備している。感心するするのは、街が綺麗なことだ。過去の中世の時代にペストが大流行したという痛い教訓に端を発するのかもしれないが、ゴミやタバコが落ちているのを見たことがない。街には、バス停など要所要所にゴミ箱があり、それらがきちんと回収されている。カラスがゴミを荒らすこともない。旧市街地の街並みを大切に保存するだけではなく、積極的にそれを活用する。新市街地では新しいビルも建設し、業務の効率性を高める。市民に低廉な住宅を供給できるようにマンションを計画的に開発するとともに、高級住宅地国は一軒家も整備する。そのような都市計画が非常によく考えられている。

電子政府を目指す政府の効率性
政府は電子政府を目指して、効率性を高めている。日本では常識となっている縦割り組織による弊害を感じられない。何よりも素晴らしいと思うのは、エストニアの消費税が年々軽減していることだ。2005年の所得税は26%だったが、2005年にはこれを21%に軽減している(参考1)。電子政府により効率性を高めることで税金が年々減るのだとすればこれは素晴らしいことだ。
参考1:https://en.wikipedia.org/wiki/Economy_of_Estonia

2)デジタル志向の国とアナログ志向の国を比較して幸福度を考える。
バルト三国の比較は、8月10日のブログ(参考2)でまとめているが、次の3点についてもう一度考えてみたい。

バルト三国の国民性の比較
バルト三国の国民の幸福感の比較
③ 個人的感想
参考2:http://hiroshi-kizaki.hatenablog.com/entry/2017/08/10/150539

バルト三国の国民性の比較
エストニア人:勤勉だ。仕事の仕方が端正で丁寧だ。センスがある。穏やかだ。忍耐深い。IT系に対する特性がある。経済的には最も成功している。一人当たりGDPは三国の中で最も高い。フィンランド近いせいか、北欧を呼ばれるのを好む。

ラトヴィア人:物静かだ。でも一旦心を開くと親しくなる。リーガはバルト三国の中でも最も古い都市だ。スマホ大好きだ。活気はあるが、エストニアに比べると年長者が多い。自国民の比率が6割強に留まっていて、バルト三国の中では最も低い。

リトアニア人:国民の平均年齢は三国の中では最も多く、かつ最も若い。GDPエストニアの倍近くある。地政学的にEC中核都市との窓口になる。個人的には、杉原千畝で有名なカウナスが好きだ。旧市街も新市街も直線的な特徴的な通りを中心に人が優しく、陽気だ。自国民の比率が8割以上と高い。

バルト三国の国民の幸福感の比較
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上の表は、8月10日のブログ(先の参考2)からの引用だが、生活への満足度はエストニアが44位とバルト三国の中では最上位だ。国連が2017年3月に発表したWorld Happiness Indexのレポート(参考3)では全く逆に結果(リトアニアが52位、ラトヴィアが54位、エストニアが66位)。これらの結果だけからはなんとも言えない。

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参考3:http://news.err.ee/585061/estonia-jumps-six-spots-in-un-s-world-happiness-index

③ 個人的感想
バルト三国の国民性は①に述べた通りだが、一言で言えば、エストニア人はクール!、ラトヴィア人はおとなしい、リトアニア人は陽気。そんな印象を持つ。各国ともITには力を入れているし、同じような社会システムを導入しているが、国民性の違いから運用の実態は異なる。例えば、エストニアではバスやトラムの到着時間を画面で確認できるし、利用者もタッチ式のカードを使って不正も見たことがない。リトアニアでも同様の仕組みだが、ダイヤの遅れは許容されているようだし、画面の表示も見たことがないが、公衆電話は唯一残っている(使われているわけではない)。限られた紙面の中でどの国民が最も幸せかは論じることは厳しいと実感した。この問題は、日本の幸福感を高めるにはどうするべきかがそもそものきっかけであり、継続調査&研究が必要だ。

3)会社生活の区切りとなる自分へのご褒美とする。
今回は、フィンランドヘルシンキを含めると、4カ国9都市を訪問した。いずれの国・都市もはじめて訪問する場所であり、それぞれの場所でいろんな地元の人と触れ合ったり、Airbnbでお世話になったりした。数十年前にヨーロッパを旅行した時には、スマホはなかったので、アナログな旅だったが、今回はもうスマホなしでは成り立たない旅であることを再度痛感した。

3. 最後に
どの都市でもスマホは普及していた。若い幼児からおじいちゃん、おばあちゃんまでスマホが使われているのを痛感した。それによって、お互いのことをより知れて、理解できて、仲良くなれるのだとすれば、それは使う人が幸せになっていることだ。しかし、注意すべき点もある。Airbnbでお世話になった人と話をしていても、若いお母さんが子供にスマホを使わせていることを良しとは思っていなかった。この構造は世界共通なのだろう。今後、AIやITや自動運転者がさらに進歩し、普及したらどうなるのだろう。30年後は厳しいかもしれないが、10年後や20年後にはまた世界を旅したいと思ったが、この夢は叶うだろうか。

以上