LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

データ・ドリブンマーケティング#4を受講して

はじめに
土曜日に3科目履修している。夜は松田ゼミ生との飲み会だ。平日の夜の科目なら、帰りの電車の中でブログの骨子を書いて、寝る前に清書できるが、土曜日の科目のレビューを書くかどうかは時間との戦いだ。つまり、3科目も履修すると、宿題を複数出される可能性が高い。二日酔いでもある。眠い。やることは色々ある。まあ、なんとかなるか。

コンジョイント分析
明らかにしたいのは因果関係だ。つまり、原因と結果の関係を調べたい。話題のAIで実現できていることは、相関関係の明確化だ。ある事象Xとある事象Yの間には相関関係があるのかどうか。ある写真(=X)は猫(=Y)と言えるか。その確率は何%か。そんなことだ。このコンジョイント分析(conjoint analysis)は、特にマーケティングにおいて活用されている。例えば、車を買おうとした時には、めちゃ悩むだろう。燃費はどうか、価格はどうか、デザインはどうか、安全性はどうか。そして、その中には決定的に重要な項目もあれば、そうでもない項目がある。これを寄与度と呼ぶ。このコンジョイント分析を用いると、どの属性の寄与率が高いかがわかる。下の例で言えば、価格の寄与率が30%と高い。次に高いのはスライドドアだった。きっとこのアンケートの回答者は小さな子供とか、お年寄りのいる家族なのかもしれない。燃費の寄与率も20%と高い。サンルーフへの監視度は低いので、女性かもしれない(笑)。アンケートで難しいのは、回答する個人個人で回答が違うことだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190630161936p:plain
 出典:第18回「最適スペックの決定 コンジョイント分析」 | JMA

階層クラスター分析
(1) 散布図

分析すべき属性が2つであれば、行と列でスケールすれば、下のような散布図が出来上がる。例えば、価格の属性への寄与度をX軸、燃費の属性への寄与度をY軸とするとどうなるのだろう。一般には、価格に敏感な人は燃費に敏感だ。しかし、燃費を重視するために、価格は多少の高くても良いと考える人もいるかもしれない。散布図というと、相関係数を計算したくなるが、下のずでは、いくつかのバラツキのあるものをグループに分けて考えている。
f:id:hiroshi-kizaki:20190630163046p:plain
 出典:https://www.trunktools.jp/services/analysis/cluster.html

(2) デンドログラム
分析すべき属性が3つとか、4つかとある場合はどうすれば良いのだろう。支配的な属性や特に重要な属性を2つ選んでも分析するのも効果的かもしれない。しかし、どれが支配的かを選ばないといけない。最近は、属性がよく似たものを樹形図で並び替えてくれる方式がある。これがデンドログラムだ。デンドロビウムユリ科の植物だ。ツリー構造になったものを言う。昔はエクセルのマクロを組んで頑張って分析しないといけなかったけど、最近ならRを使えば簡単なコマンド操作でチャチャっとできる。すごい。
f:id:hiroshi-kizaki:20190630164133p:plain
 出典:https://www.trunktools.jp/services/analysis/cluster.html

Rの基本操作
Rとは、GNU Rとか、R言語と呼ぶべきだけど、一般にはシンプルに「R」と呼ぶ。Rは、統計解析のためのオープンソースだ。元々はベル研が開発したS言語を参考にして、オークランド大学のRoss IhakaとRobert Clifford Gentlemanにより作られた。開発者のイニシャルがともにRだったからRなのだろうか。Rは、ベクトル処理で実行される。ベクトルといっても物理学的なベクトルではない。構造を持ったデータ集合という意味だ。行列計算でも、複素数計算でも自由なデータ構造を宣言することなく自由に変数として扱うことができる。
f:id:hiroshi-kizaki:20190630164624p:plain
 出典:統計ソフト「R」ならデータ分析が可能

Rスタジオ
Rの画面でも、例えば「1+1」と入力してエンターを押すと、「2」と表示される。SIN計算でも簡単だ。これはこれで面白い。でも、Rスタジオを使えば、もっと使い勝手がよくなる。下の写真は、自分のMacにインストールしたRスタジオの画面例だ。4つに分割されていて、左上がソースエディター、左下がコンソール、右上が履歴など、右下はヘルプなどだ。このRスタジオやRを使えば、あなたもデータサイエンティス。年収うん千万円も夢ではないかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190630165610p:plain
 出典:R/RStudio入門

経験と発想力
小学校でもプログラミング教育が始まる。詳細は知らないけど、このRとかRスタジオを教えるようになれば、日本の社会は明るい。でも、うん千万円の年収を稼げるデータサイエンティストを講師に呼ぶ予算は学校にはないかもしれない。金がないなら知恵を出せ。NPO団体でも立ち上げて、クラブ活動の顧問でもするか(笑)。データサイエンティストとしては、このような統計分析ツールを使いこなせることは必須条件だ。しかし、十分条件ではない。アンケートで何を聞くか。何を調べるか。何を明らかにするか。そんなことを想像する発想力が重要だ。

卒業プロジェクトの構想
2年次になったらプロジェクトと呼ぶ卒業研究をする必要がある。しかし、ちょっとまとまったことをするには金がいる。予算を確保するには、構想をぶち上げる必要がある。現状は、2年次になってから構想をまとめるが、予算を確保するにはそれでは遅い。2年の年末になってから焦っても何もできないだろう。個人的には、まだ迷いはあるけど、できれば、やはりベーシックインカム関係の調査と分析をしたい。先週、駒澤大学井上智洋准教授と出会えたのも縁だ。例えば、この夏に試験的なアンケートをとって、その結果を踏まえて、今年の秋に予備調査を日本国内で行う。そして、1年後の秋に海外を含めて本格的な調査を行う。それらの結果を分析して、ベーシックインカムの功罪モデルとその国際比較ができれば最高だ。

まとめ
データ・ドリブンマーケティングの担当教授は豊田准教授だ。丁寧な説明をしてくれる。落ちこぼれがないようによく目を配ってくれる。素晴らしい。このRをマスターできれば、それだけでMBAコースに通った価値はあるような気がする。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございます。

イノベーションの歴史:落合准教授の講義

はじめに
昨日(25日)は30分ほど遅れてしまった。お客様との打ち合わせの開始が17時だったので悪い予感はあった。それでも、1時間ぐらいで終わるかと思ったら、もうノンストップ会議の勢いだった。流石に時間は区切ったけど、それでも打ち合わせが終わったのが19時少し前。講義は18時35分開始。完全に遅刻だ。幸い、場所はそれほど離れていなかったので、タクシーで飛ばした。財布に小銭が1050円あった。もうすぐというところで1050円だった。止まってくださいと言ったら、降りる瞬間にメータがガチャンと回った(涙)。結局、お釣りをもらうのに時間を食ってしまった。お金より時間が惜しい。

1. ファミリービジネス
講師は静岡県立大学の落合康裕准教授によるアドホック講義だ。内容はファミリービジネスと渋沢栄一の二本立てだ。最初は日本的な同族経営の歴史や特徴、また後継者育成の工夫などについて話を伺った。

1.1 日本におけるファミリービジネス
1) 世界最古の企業=金剛組

金剛(こんごう)組とは西暦578年創業の宗教建築を生業とする建設会社だ。現存する世界最古の企業だ。その最初は、聖徳太子の命を受けて、官寺の設立に関わった工匠だ。初代の組長は金剛重光で、百済の国から日本に招かれた。
f:id:hiroshi-kizaki:20190625223838p:plain
 出典:社寺建築の金剛組

2) 日本の長寿会社
金剛組だけではない。日本には1000年以上の企業が21社ある。これは世界でも類を見ないレベルだ。そして、その多くは西暦718年創立の法師といった旅館、西暦1000年創立の一文字屋和輔(一和)といった和菓子屋、西暦1141年創立の須藤本屋といった酒造などが多い。下の写真は炙りや一和だ。一和で提供される商品は、あぶり餅ただ一つだ。割り切りが素晴らしい。
f:id:hiroshi-kizaki:20190625224911p:plain
 出典:https://www.smartmagazine.jp/kansai/article/meal/2235/

3) 宗竺遺書
三井財閥の起源は、三井家だ。そして、三井家は藤原道長の五代孫右馬之介信生が近江国に土着し、武士になったのが三井家の始まりだ。近江国といえば、近江商人の三方良しが有名だ。大津のプリンスホテルのバックヤードにはこの近江商人の教えが今も掲載されている。堤家も近江商人だ。そして、この三井家が発達した礎となるルールが宗竺遺書(そうじくいしょ)だ。これは、1722年に家訓としてまとめられたものだ。6本家3連家制が定められ、同族の11家が一体となって三井家を盛りたてた。なぜこれが実現したかといえば、家の資産は全て長子が相続する。しかし、長子以外の家族も家業に貢献したらその貢献度に応じて利益を分配する。だから三井家のための三井家が頑張る。そして、その思想の背景には近江商人の三方良しがある。下の文献に詳しい。
f:id:hiroshi-kizaki:20190625225843p:plain
 出典:三井家の家憲「宗竺遺書」 | 三井広報委員会

1.2 ファミリービジネスのジレンマ
1) 自律と制約

創業者はゼロからの出発で苦労も多い。でも、苦労を苦労とも思わないほど頑張ったのだろう。問題はその後継者だ。創業者の息子が優秀とは限らない。だいたい2代目は苦しい立場だ。三代目で盛り返すことも多い。なぜだろう。それは、創業者は自律が中心だ。しかし、2代目には周辺の期待や先代の期待といった制約に囲まれている。

2) 獲得的地位と生得的地位
創業者は、自律的な努力を120%する。そして、これを落合准教授は獲得的な地位と呼ぶ。逆に、二代目や三代目は生まれながらにして後継者となる。これを生得的地位という。しかし、問題は、このバランスだ。自他共に後継者と認められたら、それは正統性を獲得したことになる。こうなれば企業は成長する。
f:id:hiroshi-kizaki:20190625230512p:plain
 出典:https://gentosha-go.com/articles/-/8181

3) 後継者の育成プラン
後継者をいかに育てるのか。ファミリービジネスで二代目や三代目のキャリアプランを落合准教授が分析した結果、やはりまず武者修行から始めることが多いようだ。先の三井家の宗竺遺書には、後継者はまず丁稚奉公から始めるべきと説かれている。そして、徐々に本丸に戻して、実績をあげたら、中枢に引っ張り上げる。そんなプランが見えてくるという。

1.3 ファミリービジネスではイノベーションが起きやすい
1) 2代目は外の意見をよく聞く

経営者は孤独なものだ。2代目でも、やはり先代の意見も聞くし、従業員や番頭レベルの意見も聞く。でも、そこには遠慮があったり、距離感があったり、打算があったりする。しかし、外部の団体の仲間とはそんなことを気にせずに付き合える。外部のコンサルタントの意見をよく聞くのも2代目の特徴だ。経営コンサルタントを目指すのであれば、そういう2代目経営者の孤独と悩みを理解し、コーチングするスキルが必要かもしれない。

2) 武者修行の成果
2代目を最初から自社で勤務させると、ろくなことはない。それよりも、同業他社で実力を磨かせるとか、銀行系に就職させるとか得意先(下流)や仕入れ元(上流)で鍛えてもらうことが有効だ。そして、それは遠慮なく鍛えてくれるだけでなく、それが人脈となって後から活きていくことだ。そんなところからも事業が発展したり、イノベーションが生まれたりすることはあるだろう。

3) イノベーションのDNA
これは自分の勝手な理解だけど、創業者の背中を見た2代目には、やはり程度の差があれ、イノベーションのDNAは引き継がれている。浜松のイノベーターのことを調べた時にはびっくりした。現代を代表する大企業は19世紀から20世紀にかけて相次いで生まれている。これは地域的な特徴もあるのかもしれないけど、やはり父親の背中を見て育った面もあると思う。
f:id:hiroshi-kizaki:20190625234106p:plain

2. 渋沢栄一の想い
2024年度を目途に1万円、5千円、1,000円の各紙幣のモチーフが刷新される。一万円冊は20年ぶりに福沢諭吉から渋沢栄一に変わる。渋沢栄一に関する話も興味深かった。

2.1 功績
1) 500社の設立に関与

渋沢栄一は日本資本主義の父と呼ばれている。 1840年(天保11年)2月13日から1931年(昭和6年)11月11日と、江戸時代、明治時代、大正時代、そして昭和時代を駆け抜けた日本を代表する実業家だ。渋沢栄一が手がけた会社は500社を超える。後半には、渋沢栄一が名前を連ねるだけで素晴らしい企業という評価を得るぐらいのブランドになったのではないか。

2) 経営者を育成
渋沢栄一は投資家ではない。実業家だ。もっと言えば、西洋の盛況ぶりを見て、日本を変えねばと商業面から革新を続けたイノベータだったと思う。したがって、単に出資するだけではなく、社外取締役になったり、経営者の指導をしたりした。渋沢栄一は、儲けることを否定していない。しかし、利益は独占するのではなく、社会に還元すべきという考え方だ。この辺りはいわゆる当時の三菱などの財閥と大きく異なる点だ。公益を追求するために、資本と人材を集め、登用し、任せていく。そんな理念に共感する人が日本を近代化に導いてくれたことに感謝したい。
 出典:会社は一体誰のものか!?ーー 渋沢栄一vs岩崎弥太郎の対立 | 【隔週火曜日更新】あの名言の裏側

3) 近代日本の父
KDDIの前身の一つである国際電信電話株式会社渋沢栄一の薫陶を受けた会社の一つだ。日米間の通信状態を改善するために、渋沢栄一らは1919年に日米電信株式会社を設立した。その後渋沢栄一を設立委員長として、1925年に日本無線電信株式会社が設立した。そのあと紆余曲折の末に1953年に国際電信電話株式会社が設立した。初代社長は、渋沢栄一の孫である渋沢敬三(1896年8月25日から1963年10月25日)だ。渋沢敬三は第16代の日本銀行総裁を務めている。
f:id:hiroshi-kizaki:20190626000248p:plain
 出典:通信|渋沢栄一関連会社名・団体名変遷図|渋沢栄一|公益財団法人渋沢栄一記念財団

2.2 ルーツ
1) 1840年生まれ

渋沢栄一は、1840年(天保11年)年2月13日に現在の埼玉県深谷市血洗島で生まれた。血洗島の由来を聞かれることも多かったようで、「赤城の山霊が他の山霊と戦って片腕をひしがれ、その傷口をこの地で洗ったという」などと説明したらしい。渋沢家は藍玉を生業としていたが、父には商業的な才覚があったようだ。渋沢栄一自身も14歳の時からは藍葉の仕入れを行ったという。

2) 一橋家の幕臣
父は教育家でもあり、渋沢栄一は5歳の頃から読書に励み、7歳の時には四書五経日本外史を学んだ。21歳の時に、江戸に出て北辰一刀流の千葉栄次郎の道場に入門し、剣術修行を行った。長州と連携して幕府を倒すという計画をたてるなどやんちゃな時代もあった。縁あって一橋慶喜に仕える。主君の慶喜が将軍となった1866年(慶応2年)12月から1867年(慶応3年)12月までの1年間は、将軍の名代として万博に出席する徳川昭武随行した。岩倉具視使節団が海外視察する4年も前のことだ。若い渋沢栄一がどれほどのカルチャーショックを受けたかは想像に難くない
f:id:hiroshi-kizaki:20190625235236p:plain
 出典:http://www.education.fukaya.saitama.jp/shibusawa/shibusawa.htm

2.3 渋沢栄一の苦悩
渋沢栄一について語り出すとキリがない。落合准教授もぜひ渋沢栄一について研究すると面白いと勧められる。なぜかと言えば、文献が豊富なことだ。また、携わった500社の企業の多くは今も活躍しており、それらの企業の伝記などから渋沢栄一をみるのも勉強になるという。そして、大変だけど、出来るだけ原点を見るべきだという。あえて、ここでは渋沢栄一の苦悩を想像してみたい。

1) 国立第一銀行と日本銀行
渋沢栄一は欧州の視察から帰国すると、静岡藩に出仕する。そして、フランスで学んだ株式会社制度を実践するために、1869年(明治2年)1月に商法会所を設立した。この商法会所は日本初の株式会社だ。その後大隈重信に説得されて大蔵省に入省して官僚となる。当時の民部省改正掛として、度量衡の制定、国立銀行条例の制定に参画した。退官したのち、1873年(明治6年)日本最古の銀行である第一国立銀行の初代頭取に就任して、実業界を牽引する。日本銀行を設立したのは1882年(明治15年)10月10日だ。第一銀行は、合併等をへて現在のみずほ銀行だが、都銀を設立するために退官した訳ではない。日本に銀行システムを導入して、産業を興すインフラとして第一銀行を設立したのだと思う。しかし、なぜ中央銀行の座を後発の日本銀行に奪われてしまったのか。この辺りは、落合准教授も明言は避けられたが、色々とドラマがあったのだと思う。この辺りを研究するのは興味深いかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190626002519p:plain
 出典:慶応4年5月30日 大阪府に商法会所を設置 | MBC NEWS TOPICS

2) 株主の2つの無責任
渋沢栄一は理念を持った実業家だった。単に儲ければよいというような考え方ではない。現在の日本の商法では企業は株主のものとされている。しかし、渋沢栄一は株主の無責任として、次の2つのを指摘していた。一つは、投資家は、事業を育てる側面はあるが、利益を得るために事業を売却することがある。そして、株主は有限の責任しか持たない。つまり、渋沢栄一は、事業に投資するなら、それが成功するように、事業をしっかりと育て、応援し、協力するのが投資家だと考えていたのではないだろうか。

3) コーチン
これは苦悩ではなくなく、渋沢栄一の楽しみだったのかもしれないが、500社の経営者のよき相談役になっていた。朝の6時には渋沢栄一の自宅の前に行列ができたという。そんな時も、課題に対する答えを示すのではなく、その経営者に考えさせるために、とことん話し相手になってあげたようだ。人脈や経験も豊富なためアドバイスもしたとは思うが、渋沢栄一は経営者を育てることを主眼としていたので、今でいうコーチングに徹していたのではないかと思う。落合准教授も同じ意見のように感じた。

3. 手法的教育と理念的教育
落合准教授は、例えばMBA教育でも手法的な教育と理念的教育がある。両者がバランスされているのが、望ましいが、現状は前者偏重の傾向があるのではないかと指摘される。なぜ、そうなるのかと言えば、手法的な教育はしやすい面がある。ハーバードビジネススクールでも最近は理念的教育が見直されている。ハーバード大学で教鞭したければ理念的教育を研究すべきだ。日本人が優秀だったのは、この理念教育を重視していたからだと思う。逆に、近年日本の国力が低下しているのもこの理念教育が足らないのではないか。愛国心とか愛社精神と言うと時代錯誤のように言われるかもしれないけど、自分自身や自分の家族、社会、会社、そして国を愛することが悪いはずがない。日本では1000年の昔から寺子屋では実語教を習ってきた。実語教については、これまでも何度かこのブログで書いてきたが、知らない人が多いと言う状況は全く変わっていない。渋沢栄一が幼少の頃に寺子屋に通っていたのか、そこで何を学んだのか?実語教も習っていたのか、そんなことを確認したいと思った。
 出典:hiroshi-kizaki.hatenablog.com

まとめ
イノベーションの歴史ということで、今回は米倉先生ではなく、アドホックな話題だったが、予想以上に面白かった。遅刻したのが、本当に申し訳ない。もう一つ気になる点は宿題だ。どうも3Mのケーススタディについてまとめるように宿題が出たようだ。論文の資料ももらった。でも、どのような切り口で、どの程度まとめれば良いのだろう。もう少し情報を集めてから宿題に取り掛かろう。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

井上智洋准教授による講演と座談会

はじめに
FBを見ていたら、「ベーシックインカム」と「井上智洋」というキーワードが目に入った。調べると、6月23日の15時から文京シビックホールで開催されるというので、FBで参加表明したら、すぐにOKが返ってきた。参加すると、ほぼ満員と盛況だった。参加費用は1000円。井上智洋准教授の著書は何冊も拝読しているが、実際に聞いてみると、解説が非常にわかりやすかった。

日本経済復活の会
2003年1月に発足したらしい。小野会長が論者だ。ちょっとクセがあるように感じた。ナウル共和国ではリン鉱石の輸出で巨額の外貨を稼いだので、その収益を国民に配られた。年間2万ドル相当だったらしい。ナウルの生活水準を考えるとToo Muchだったのかもしれない。国民は働かず、肥満になり、失敗事例とされている。ナウルで年間2万ドルは多すぎだろう。反面教師としては有効だけど、日本がベーシックインカム(BI)を検討する上での参考になる点は少ない気がする。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623170014p:plain
 出典:日本経済復活の会

井上智洋准教授のプロフィール
BIの論者だ。普段は駒澤大学経済学部の准教授で、専門はマクロ経済学だ。著書には、ヘリコプターマネー、人工知能は資本主義を終焉させるか、AI時代の新・ベーシックインカム論などが有名だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623171359p:plain
 出典:https://aigakko2019spring.peatix.com

演題:ベーシックインカムの財源をどうするか?
財源の問題
ベーシックインカムの議論の入り口は常に財源論だ。例えば、一人に月7万円を支給するには100兆円の財源が必要となる。これは無理だろうという論者がいる。しかし、児童手当とか、雇用保険等で36兆円の支出を抑制できれば64兆円となり、このレベルなら最高税率を45%から70%に引き上げて消費税を25%にすれば補償できるという。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623172104p:plain
 出典:https://okiku001.com/bi-resources/

諸外国の動向
1) フィンランド

 実験ベースで進めていたが残念ながら2018年度で終了している。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623194008p:plain
 出典:What is There to Learn From Finland’s Basic Income Experiment? Did It Succeed or Fail?
2) インド
 検討が進んでいる。2020年度内にはいくつかの州で始まるだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623193834p:plain
 出典:Explained: How Rahul Gandhi's minimum income guarantee is different from universal basic income - FYI News
3) イタリア
 2019年4月から貧困層限定で始まっている。年収が110万円相当に届かない場合に、月9万4千円ほどを支給しているという。ユニークなのは、ユーロベースのミニBOTという方式を採用している。これは無利子の永久国債だという。再建ではあるが、ユーロの通貨と同様の機能を持つのでユーロから非難されている。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623193642p:plain
 出典:Meet 'Mini-BOT': Italy's New Parallel Currency Plan | Zero Hedge


マイナス所得税
井上准教授は、財源の問題は富の再配分の問題だという。つまり、先の前提に立てば年収336万円の人がイーブンで、それ以上の人はBI以上の税金を支払い、それ以下の人は税金以上のBIを受け取る。例えて言えば、300円の牛丼を食べるときに、1000円払って、700円のお釣りを貰うのと、300円を払うだけの違いだという。つまりマイナス所得税が可能ならBIも可能だと言う。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623173012p:plain
 出典:https://kotobank.jp/word/負の所得税-620067

税金と貨幣発行益
財源になるのは、税金だけではない。一万円札を発行する原価は20円ほどだ。この差分を貨幣発行益(シニョリッジ)という。しかし、貨幣発行益に依存するのも危険だ。懸念されるのはハイバーインフラだ。なので、井上准教授も、ハイパーインフレにならない限りと前提条件をつけている。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623173344p:plain
 出典:http://f.hatena.ne.jp/shavetail1/20150831204327

固定BIと変動BI
毎月同じ金額を国民に支給するのが固定BIだ。BIの基本はこちらだ。今日の話では、これ以外に変動BIというのもあるようだ。つまり、景気の変動とか、財政の変動に応じて、国民に追加のBIを支払う考え方のようだ。そんなことも議論されているとは知らなかった。そして、固定BIは固定なので税金を財源とするべきだけど、変動BIは貨幣発行益を活用すべきという。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623174018p:plain
 出典:https://blogs.yahoo.co.jp/metamorphoseofcapitalism/36567057.html

MMT
最近話題になっているのが、現代貨幣理論(Modern Monetary Theory:MMT)だ。MMTではマネーサプライが増加すると先述のハイパーインフレの懸念があり、そこに注意すべきだが、財政赤字拡大が景気悪化を招くものではないという。このような理論は、つまるところ、マネーは使われるかどうか=信用されるかどうか。お金は作れるが、大切なことは信用の維持だ。ハイパーインフレとは、ある意味その通貨の信用度が落ちたということと考えられる。仮想通貨(最近は暗号資産という)の世界の側からの財政論がMMTなのかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623174607p:plain
 出典:https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190625/se1/00m/020/047000c

第二部の討論会
参加者は、「井上智洋」駒澤大学経済学部准教授と「田中潤」Shannon lab株式会社代表取締役社長と「小野盛司」日本経済復活の会会長だ。ベーシックインカムに関するテーマについてそれぞれの参加者から意見が出された。気になったのは次の点の議論だろうか。

仮想通貨(暗号資産)との関係
今後のベーシックインカムの支給方法については、既存のマネーを前提とするだけではなく、仮想通貨で支給もあり得るだろうという意見が田中社長から出されて。井上准教授からもスウェーデンではそのようなトライアルをしていると説明があった。休憩時間に私が質問した内容だ。

スウェーデンのトライアル
フィンランドベーシックインカムのトライアルは、政権の変更とともに残念ながら終了した。しかし、同じ北欧のスウェーデンでは、国会が仮想通貨としての「e-クローナ」を導入する計画が進められている。この通貨は2019年にパイロットテストを実施し、大きな問題がなければ、2021年にも本格利用に移行する計画だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190623175550p:plain
 出典:スウェーデンの国家仮想通貨「e-クローナ」:2019年中の運用テストを計画

まとめ
ベーシックインカムの世界の最前線の会議体に参加できたのはラッキーだった。最後にGAFAの是非が議論された。国有化は現実的ではなく、やはり独占禁止法を適用すべきだろう。しかし、現在の独占禁止法は収益に対して適用されるが、現在Googleが独占しているのはネット検索だ。収益は独占ではない。GAFAだけではないが、税金は利益に対して課税されるが、利益を上げようとしない企業がいる。要は富の集中と格差拡大が根本的な問題かもしれない。それを井上准教授は労働市場の逆流にもフォーカスされていた。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

フィンテックと企業経営#2を受講

はじめに
受講生は6名だった。今回は、前半で5つのトピックについて解説を受けて、後半は受講生のレポートに基づいて受講生が発表する予定だ。

5つのトピック

1. ソーシャルレンディング
1) 貸出金額は3年で10倍

金融機関を通さずに貸し手と借り手が直接ネットで取引する。2014年に143億円規模だったものが、2017年には1316億円と3年で約10倍に増大している。米国では、2010年からの5年間で年平均151%の伸びだったが、日本はそれ以上。もっとも貸出類型の大きいのは、2008年8月に日本初で開始したmaneoで2019年6月時点で1628億円だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622170154p:plain
 出典:https://www.crowdport.jp/news/3278/

2) maneoの仕組み
借り手がまずmaneoに有志の申し込みをする。maneoは審査して、募集開始する。投資家はそれを見て投資する。借り手と投資家のニーズがマッチングするとローンファンドが成立として、募集を終了し、maneoは貸付を実施する。そんな仕組みだ。貸し手は30台から40台が7割で、平均の融資額は200万円。金利は5-8%。一方、借り手は中小企業の事業者が多く、9-15%の金利で借りているようだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622170904p:plain
 出典:ソーシャルレンディング | maneo(マネオ) | マネオのしくみ

3) ソーシャルレンディングの留意事項
・金融証券取引法の制約
 日本では借り手は複数でないと認められない。ただし、構成比の規制はない。

貸金業法の制約
 借り手が特定できるような情報を開示できない。このため、借り手の覆面化の問題が指摘されている。
 
・貸し倒れのリスク
 前述の借り手覆面化を悪用した資金流用案件が発生している。2018年3月のLuckyBankも問題を起こしているが、自分とは全く関係はない(笑)。

2. クラウドファンディング
1) Cloudとcrowd

コンピュータの世界でクラウドといえば、雲(Cloud)だ。しかし、このクラウドファンディングは群衆(Crowd)だ。つまり、不特定多数の人が、ネットを経由して、他の人々や組織に資金を提供する仕組みだ。先のソーシャルファンディングは、融資型のクラウドファンディングと言える。クラウドファンディングは融資型に加えて、基本的に対価を求めない寄付型や、成果物を提供する事前購入型、株式を受け取る株式型などがある。もっとも市場規模が大きいのは融資型の1534億円、ついで事前購入型の100億円、そして投資型の50億円と続く。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622172035p:plain
 出典:https://www.crowdport.jp/news/3567/

2) 寄付型クラウドファンディング
社会貢献をしたい出資者が寄付をするものだ。有名なのは、ジャパンギビングだろうか。2019年1月には、名称を「LIFULLソーシャルファンディング」に変更した。これまでに、NPO自治体など約3000団体に登録し、累計の掲載実績が約12,000件、約21億円の寄付を集めた。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622172957p:plain
 出典:https://topcourt-law.com/finance/crowdfounding_law_control

3) 事前購入型クラウドファンディング
事前購入型には、All or Nothing方式とAll in方式がある。前者は、募集期間内に目標以上の賛同があった場合にのみ資金を受けられる。後者は、目標金額の達成の可否に関わらず賛同した人は資金を提供できる。何れにせよ、全くの白紙ではなく、Facebook等のネット友達に事前に情報を流しておくなどの準備をしておくことが成功の秘密らしい。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622173544p:plain
 出典:購入型クラウドファンディングについて - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

4) 株式型クラウドファンディング
2015年4月より解禁となった。もっとも先行しているのがFUNDINNOで2017年4月より業務を開始し、累計19.3億円だ。すでに53件が成立しているが、一方で不成立も15件だ。色々と制約が厳しい。投資家からの投資は一人50万円以下、ある発行企業への投資は年間1億円未満だ。また、勧誘はWEB閲覧と電子メールのみに制限されている。人間対人間の勧誘や電話での勧誘は違法らしい。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622174155p:plain
 出典:https://dime.jp/genre/557963/

3. オンラインレンディング
融資をネット経由で行う方法だ。例えば、Amazonは、2014年2月から最大5千万円の融資を始めている。楽天は、最長三年を売り物として2015年11月より最大500万円の融資を開始した。日本で初のAIを活用した融資をJ.Scoreは、みずほ銀行ソフトバンクによって設立した会社だ。Amazonはや楽天も始めている。また、LINEもLINE Pocket Moneyを2018年11月に発表した。LINEは独自に収集できるデータを用いて信用力を分析し、その結果にもとづいて融資する仕組みだ。ちょっとやばい感じがするが大丈夫だろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622174816p:plain
 出典:https://www.sbbit.jp/article/cont1/35659

4. FinTechビジョン(経済産業省)
FinTechの先進国はやはり米国だ。これに続くのがイギリスとドイツだ。フランスはどうなんだろう。下の図によれば、日本を含めて、シンガポールフィンランドはこれから急伸が期待されている。経済産業省がFinTechビジョンをまとめたのが2017年5月だが、そこからはキャッシュレスビジョンなどが取り上げられた。消費税の増税の緩和策とキャッシュレスの推進策を一緒に進めるのは、ちょっと奇策のように感じるのは自分だけだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622180157p:plain
 出典:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20170508001_1.pdf

5. SCCCの改善
SCCCとは、サプライチェーン・キャッシュ・コンバージョン・サイクルのことで、サプライチェーンとCCCの造語だ。CCCはTカードを経営する企業を連想しそうだが、残念ながらそっちではない。CCCは、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash Conversion Cycle)の略であり、CCC=棚卸資産回転期間売上債権回転期間-支払債務回転期間だ。つまり、このCCCが短いということは経営資源が有効に活用(回転)していることを示す。それを特にサプライチェーンに適用したものがSCCCとなる。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622181544p:plain
 出典:https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/itakuhoukoku/03.pdf

まとめ
今回もいろんなお話を聞けたが、ちょっと消化不良の部分もありそうだ。来週はマネーフォワードのゲスト講師だ。どんな話が聞けるのだろうい。また、7月20日にはみずほ銀行のゲスト講師だ。多様な人の話を聞けるのは楽しみだ。楽しみといえば、来週の月曜日にMBA甲子園の予選突破の通知が来るらしい。予選を突破できないと悲しいけど、もし決勝に行くとしても結構大変だ。どちらにしても、ちょっと楽しみでもあり、恐怖でもある。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

データ・ドリブンマーケティング#3

はじめに
本日の講義のメインはコンジョイント分析だ。理論を学ぶだけではなく、実際に演習をしながら理解を深めることができるのが良い。演習も2回ほどやるとなんとなく自然にできるようになる。聞いただけとか、演習を1回だけではなく、2回やるのがミソな気がする

コンジョイント分析
1980年代にアメリカで開発され、急速に発展したマーケティング手法だ。直交計画法を活用して、お客様にニーズを統計的に分析する手法だ。お客様のニーズには、非補償型と補償型がある。非補償型とは、必須の条件で他の要素では保証できないもの。補償型とは、それがダメでも他の要素があれば満足するもの。でも、どの要素が非補償型なのか、どの要素とどの要素がどの程度補償されるのかを調べるのは簡単ではない。しかし、このコンジョイント分析を行うと明確になる。すごい。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622124544p:plain
 出典:コンジョイント分析とは | データ分析基礎知識

直交計画法
例えば、2択の設問を4個しようとする。16回の質問が必要だ。2択が5個だと32回と指数関数的に増大する。聞く方も聞かれる方も疲れる。それを合理的な簡素化する方法が直交計画法だ。豊田先生は、この部分の説明を省略したが、技術士を目指す人なら理解しておいてほしい。ただ、ちょっと難解だ。これを分かりやすく説明するのはちょっと厳しい。Wikiを見ると、次のような解説がなされていた。これでもなかなか理解が難しい。

一般的な多元配置の実験では、一つの因子のみを変化させた条件で行うため、膨大な数の実験を行わなければならない。直交表で割り付けた実験は、複数の因子を変化させるが、どの因子・水準の組み合わせも同回数だけ実験するようにし、その因子の主効果を求められる。最小限の実験数に抑えられるという利点がある。 直交表を用いる実験は、交互作用に重きをおかず、主効果のみの実験を行う目的の場合に適する。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622124804p:plain
 出典:Rで実験計画法 後編

マーケティング戦略
この授業は、データ・ドリブンマーケティングだ。つまり、どのようなマーケット戦略をとるかをデータに語ってもらおうという意味だ。そのためには、データを適切に取得して、そのデータから何かを読み解く必要がある。基本はSTPだろう。つまり、マーケットの多種多様なデータを分類して、セグメントに分ける。そして、ターゲットとするべきセグメントを明確にした上で、ポジショニングを決める。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622130453p:plain
 出典:https://cyber-synapse.com/dictionary/en-all/stp.html

1) オンリーワン戦略
マーケティング戦略でベストなのは、オンリーワン戦略だろう。つまり、世の中にこれしかない。この製品だけにしかない特徴を有しているとしたら、これは強いだろう。

2) 差別化戦略
オンリーワンではないけど、他者に抜きん出た特徴があるとすれば、それはそれで生き抜くことができるだろう。最近の流行り言葉でいえば、コアコンピテンシーを有するものか。

3) 低価格戦略
これはレッドオーシャンで差別化できず、価格を下げる方法だ。価格を下げてシェアをとって、粗利が出れば良いけど、ずるずると赤字の垂れ流しになると最悪だ。

Qustant
ネットのアンケートといえばマクロミルが有名だ。そのマクロミルが提供するアンケートサービスがQuestantだ。イタリア語で質問者という意味らしい。無料の体験版から、1回ずつのアドホック版、年間5万円払って使いたい放題の通常プランとか、さらに上位のプランとかがある。
f:id:hiroshi-kizaki:20190622145318p:plain
 出典:無料セルフアンケートASP『Questant(クエスタント)』 -MACROMILL-

まとめ
だんだん宿題がそれぞれの科目から出されるようになり、自由になる時間が減ってきた。データ・ドリブンマーケティングではもっと色々学んだけど、ちょっとこれぐらいにしておきたい。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

消費者行動論#3

はじめに
坂本和子教授による消費者行動論の授業は、早くも3回目になる。坂本先生は明日も豊橋での授業があるため、今日中に豊橋に移動しないといけないらしい。自分が名古屋に単身赴任している時に何度も豊橋市の学校を訪問した。例えば、豊橋市立天伯小学校にも行った。すぐ近くに豊橋技術科学大学があり、早めにバスで行って、お昼を学食で頂いたりした。まあ、そんなことはどうでも良い。今日も盛りだくさんな内容を一気に受講した。エビングハウス忘却曲線よりも高い確率で忘却する自信があるので、忘れても思い出せるようにブログに習ったことを少しまとめておきたい(笑)。

世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか
最初の話題はこれだった。授業の中で参考図書を紹介してくれるのは嬉しい。この本は、従来の分析とか、論理に加えて、感性が重要だという論点だ。下の写真の右は新書版で、左はKINDLE版だ。授業中にKINDLE版を購入して、斜めに読んでみた。結構面白いし、読みやすい。
f:id:hiroshi-kizaki:20190620222642p:plain
 出典:Amazon

エビングハウス忘却曲線
忘却曲線は、ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウス(1850年1月から1909年2月)が記憶に関する研究で発見した理論だ。ランダムな情報だと、20分後には42%を忘れる。1時間後には56%忘れる。1日後には66%忘れる。しかし、その後に適切な復習をすると記憶は定着する。しかも、徐々にその復習の努力は少なくて済む。記憶したいことは一度忘れるのがコツかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190620224036p:plain
 出典:理論に基づいた学習 | エビングハウス忘却曲線

最後通牒ゲーム
最後通牒(つうちょう)とは外交用語だ。英語だと「Ultimatum」だろうか。国際交渉において最終的な要求を文書で提示して、それを相手が受け入れなければ交渉を打ち切る。外交の世界の常套手段だ。そして、これをゲームとして研究した人がいる。例えば1000円をAさんとBさんで分ける。分け方はAさんが決める。Bさんはそれを受け入れるか、拒否するかできる。しかし、拒否するとAさんもBさんも取り分はゼロだ。良心的には5:5だ。これならBさんは拒否しない。Bさんが拒否するレベルは国民によって異なる。ある実験では、日本人はBさんの取り分が35.3%が限界、中国人は32.5%、米国人は16.7%が限界という。日本人はやはり公平を重んじるし、誰かが富を独占するなら、そんな交渉は受けられないと拒否する文化があるのかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190620225402p:plain
 出典:「最後通牒ゲーム」~誠実な人が成功する理由~ : 玉井史隆の備忘録

購買事後行動モデル
ITの世界はカタカナにあふれているが、消費者行動論では漢字が続く。読んで字のごとぐだが、購買した後に、どのように行動するかを示すモデルだ。本来の目的で使うのがベストだが、場合によっては別の目的で使ったりすることもあるかもしれない。若い女性で絆創膏が売れているという。その理由は?靴づれではなかった。二重まぶたにするのに若い女性が使っているらしい。開発した人は製品への思い入れが強い。消費者との意識のギャップは生じる。少なくともギャップがあることは謙虚に理解すべきだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190620225650p:plain
 出典:https://slidesplayer.net/slide/11028481/

期待一致モデル
ある商品を販売しようとすると、少し背伸びする。良いことを一杯アピールする。もしくは、消費者の気持ちをつかむようなキャッチーな広告をする。しかし、大切なことは、期待値を上げることよりも、期待値を超える満足を与えることだ。もし、あまり品質に自信がなければ、ハードルを下げておいたほうが賢明だろう。満足した場合には、消費者は5名に伝えるが、不満足な場合には15名から30名に伝えるという。信頼を形成するのは大変だけど、信頼を失うのは一瞬だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190620230135p:plain
 出典:https://www.glad-cube.com/blog/?p=5109

認知不協和理論
イソップ物語で狐が葡萄を取ろうとして、取れないと、あれは酸っぱい葡萄だ。だから取れなくてよかったと自分を誤魔化す。それがこの認知不協和理論だ。人間は、自分のことを正当化しようとする。これは本能的なものかもしれない。米国の心理学者レオン・フェスティンガー(1919年5月から1989年2月)が提唱された社会心理学用語だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190620230654p:plain
 出典:認知的不協和 | 綜合的な教育支援のひろば

態度の構造モデル
あの人は態度が良いとか、悪いとかいう。態度とはそもそもなんだろう。態度とは、「物事に対した時に感じたり考えたりしたことが、言葉・表情・動作などに現れたもの」だという。代表的な態度の構造モデルは、「三要素態度モデル」だ。その三要素とは、良い悪いを認識する認知成分、好き嫌いと言う情緒成分、そして行動や行為に傾斜する行動成分だ。そして、より単純化した二要素モデルや単一要素モデル、もしくはもっと精緻化した多属性態度モデルがある。

1) 古典的条件付け変容
もっとも単純なのは古典的な条件反射モデルだ。つまり、犬に餌を与える前にベルを鳴らす。これを繰り返すと、ベルを鳴らすだけでよだれが出る。人間でいえばルーチン化だろうか。何も買えなくても同じ行動をすることができる。ゴルフでは、このような無心で謙虚な動きが理想だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190620231321p:plain
 出典:091214心理学研究法:知能の研究法 - サイコロジスト101

2) 広告による態度変容
コマーシャルの効果は大きい。特に、先述の忘却曲線の理論から言っても、定期的に情報を展開しておくことで記憶に定着する。テレビのCMは30秒とか、15秒と言った短い時間にメッセージを凝縮する芸術的作品と言える。下は、15歳以上の男女3000人に調査した結果だが、若い人ほどCMに接すると好きになり、影響を受けている(=購入)している。また、高齢者でも、深夜などは正常な判断力が低下するので、テレビショッピングの番組は深夜が多い。深夜だと注文してしまう人が多いらしい。
f:id:hiroshi-kizaki:20190620235328p:plain
 出典:https://markezine.jp/article/detail/28179

3) 単純接触効果(ザイアンスの効果)
人は知ると親しくなる。親しくなると好きになる。初対面の人に急にデートを誘うのはだめ。何気ない接触を数多くすることでお互いが知り合いになる。顔見知りになると精神的なバリアが下がり、親しくなる。そして、親しくなると好きになる。こんな風に徐々に少しずつ接近して、親しくなるのが人間関係の基本だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190621000144p:plain
 出典:単純接触効果(ザイアンスの効果) | UX TIMES

バランス理論
人間関係の理論だ。米国の心理学者フリッツ・ハイダー(1896年から1988年)が提唱する人間の心理だ。つまり、例えば、自分が竹内結子を好きだとする。そして、竹内結子が猫を好きだとする。そうすると、自分は猫を好きだと思うようになる。好きな人の好きなことは好きなのだ。これは恋愛感情の基本だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190621000825p:plain
 出典:単純接触効果(ザイアンスの効果) | UX TIMES

自己知覚理論
人は楽しいから笑うのだろうか。それとも笑うから楽しいのだろうか。人は悲しいから涙を流すのか。涙を流すから悲しいのか。心理学者ダリル・ベムによると、自分の心理状況を内的な手掛かりよりも外的な手掛かりから認知することを発見した。これが自己知覚理論だ。自分自身が自分自身をごまかすこともできるのだから人間の心理は複雑なのか単純なのか(笑)。
f:id:hiroshi-kizaki:20190621001341p:plain
 出典:https://blogs.business.microsoft.com/ja-jp/2016/03/18/phycology17

宿題
これら以外にも色々と教わった。そして、来週はグループに分かれてテーマに基づいて発表する。発表時間が8分、質疑応答が5分だ。テーマは、2020年の東京オリンピックパラリンピックのために来日した海外からの旅行客を新幹線「のぞみ」が停車しない駅に途中下車させる方法と、そのような観光客に対して販売する商品のコンセプトを検討して提案する。これは大変だ。なんとかなるだろうか。

まとめ
自分の専門外の学問は面白い。特に心理学の世界は面白い。授業を聞くと体系化して説明してくれるので理解を深めるのに助かる。問題は、これらの理論を理解するだけではなく、そのような理論を実践に活用して効果を上げることだ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

イノベーションの歴史#3

はじめに
イギリスで始まった産業革命からアメリカの発展までのイノベーションの変遷を振り返った。米倉教授はマスクをしていて、本調子ではないようだが、その勢いは健在だ。やはり面白い。なぜ面白いのだろう。それは、きっと米倉先生の思いがビシビシと伝わるからだろう。

イギリスの発展とアメリカの独立
(1) 蒸気機関車の登場

世界で初めての蒸気機関車が制作されたのは1804年だ。1807年に旅客輸送を目的とした鉄道が開始したが、当時はまだ馬車だった。そして、1812年には、下の写真のサラマン号が開発され、鉄道を走るようになった。それでも1840年当時はまだイギリスの幹線のみを接続する程度だったが、1890年にはイギリスの国内には鉄道が張り巡らされるようになった。
f:id:hiroshi-kizaki:20190618220600p:plain
 出典:鉄道の歴史 - Wikiwand

(2) アメリカの独立
アメリカはイギリスの植民地だった。イギリスから独立したのは1776年7月4日だ。今でも、Fouth of July (7月4日)といえば、米国らしい派手な祝日となる。フランス革命は、これよりも13年後の1789年だ。アメリカの独立に触発された側面もあるようだ。

(3) アメリカの鉄道網
イギリスの成功体験をした人々はアメリカでも鉄道網を整備することで二匹目のドジョウを狙った。そして、実際に鉄道王と呼ばれるコーネリアス・ヴァンダービルト(1794年5月から1877年1月)は、大変な成功を勝ち取る。一隻のボートから身を起こし、鉄道王と呼ばれるまでにのし上がった。ニューヨーク・セントラル鉄道やニッケル・プレート鉄道を経営した。もし、彼が彼のビジネスを鉄道ではなく、運送業と考えていたら、アメリカの歴史は全く違ったものになったのではないかという。
f:id:hiroshi-kizaki:20190618223502p:plain
 出典:歴史上最も金持ちだった人物ベスト10 : Spookie's

(4) 石油王
アメリカの石油王は誰だ?といえば間違いなくジョン・デイヴィソン・ロックフェラー・シニア(1839年7月から1937年5月)だろう。スタンダード・オイル社を創業し、石油市場を独占し、石油業界を牛耳った。しかし、当時の石油の用途は何か?自動車はまだ普及していない。当時はランプの需要がメインだった。しかし、その用途が拡大し、自動車が本格的に普及するとともに、彼の資産はアメリカ人初の10億ドルを超えた。1937年に亡くなった時の遺産は14億ドルだったという。現在なら200倍近くなっている史上最大の富豪と言える。
f:id:hiroshi-kizaki:20190618223634p:plain
 出典:ジョン・ロックフェラー - Wikipedia

(5) 鉄鋼王
鉄鋼王といえばアンドリュー・カーネギー(1835年11月から1919年8月)だ。スコットランドの織機工の長男として生まれるが、織機の自動化の煽りで父親は職を失い、逃げるようにアメリカに移った。その後、織機工場の下働きから始まって、鉄道会社に移り、その後投資に成功して、自ら鉄鋼業を立ち上げる。学生時代にはカーネギーの本を良く読んだものだ。やはり成功する人は思想家なんだと感心したものだ。そして、最もカーネギーらしい名言は下のものだろう。カーネギーが設立したカーネギーホールや、カーネギーメロン大学は今もその価値を高めている。さすがだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190618223751p:plain
 出典:https://blogs.business.microsoft.com/ja-jp/2017/03/27/famousword19/

(6) 自動車王
自動車王といえば、やはりヘンリーフォード(1863年7月から1947年4月)だろう。フォードは、自動車を発明したわけではない。フォードの最大の功績は、自動車を購買する需要を作り出したことだ。どういうことかといえば、当時の最低日給が2.34ドルなのに、これを5ドルに引き上げたものだ。マスコミからは無謀な挑戦だと非難されたが、結果として、高給を得た従業員は、自分たちが作った自動車を喜んで購入して利用者となり、需要の起爆剤となった。そして、フォードの失敗は過去の成功に固執したことだろう。つまり、20世紀になり、アメリカが好景気に浮かれている時期にあっても、下の写真のようにT型フォードに黒以外の色を認めなかったことだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20190618233439p:plain
 出典:Henry Ford quote: Any customer can have a car painted any color that...

ルフレッドチャンドラー
崇拝する米倉教授が崇拝するのがアメリカの経営史学者であるアルフレッド・デュポン・チャンドラー(1918年9月から2007年5月)だ。ハーバード・ビジネス・スクールで米倉教授が若かりし学生の時に師事された。今、自分がMBAで米倉教授の薫陶を受けることができるのは本当に幸せだ。そんなチャンドラの名著は「The Visible Hand: The Managerial Revolution in American Business」だ。アダムスミスの国富論は有名だろう。この中で商品の価格は需要と供給によって、つまり市場によって決まる。これをアダムスミスは見えざる手(invisible hand)と読んだ。チャンドラのVisible handは、このアダムスミスの国富論に対抗したコンセプトだと、英語ではすぐわかる。しかし、日本語訳はなんだろう?と聞かれるがわからない。答えは、「経営者の時代」だった。つまり、市場のメカニズムで決まる時代から、経営者によって決まるというのがチャンドラの主張だ。そして、もう一つ有名な著書がStrategy and Structureだ。日本語は組織は戦略に従うだ。そして、米倉教授はこの図書が和訳された時に、メッセージを残されている。少しは恩師に恩返しができたらだろうかと言われる。
f:id:hiroshi-kizaki:20190618234125p:plain
 出典:アルフレッド・チャンドラー - Wikipedia

内部管理コストと外部取引コスト
チャンドラーは、この図書の中で、組織の大きさは、内部管理コストと外部取引コストの差分で決まるという。つまり、外部に頼らずに、内製しようとすると組織は肥大化していく。垂直統合水平統合の時代において、外部ではなく、内部に人材を取り込むことが効果的だった。しかし、現在は、インターネットの革新に伴って外部取引コストが低下している。限界費用ゼロ社会とも言われるほどコストが低減している。当然、内製化するよりも、外部のリソースを活用する方が経済的なことが増える。結果として、内製化率が低下している。いわゆるファブレス企業などもその動きの一つかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190618235838p:plain
 出典:取引コスト | Osamu Hasegawa Films

重要なコンセプト
ヘンリーフォードがT型フォードの大量生産のための工場を建設した。経営コンサルタントであるあなたがそれを視察した時に、ヘンリーに聞くべきことはどんなことだろう。あなたなら何を聞きますか?

(1)規模の経済と損益分岐点
米倉教授が指摘するのは、まず、この工場の損益分岐点となる生産量だという。現在の稼働台数が利益が出る損益分岐点を上回っているのかどうか。まだの場合には、いつ頃達成する見込みか。そんなことがまず聞くべきことの一つだという。

(2)シェア
次に聞くべきがシェアだ。これは勇気の要ることだけど、フォードが製造するT型の自動車が市場に受け入れられるのかどうか。これは重要な質問だろう。

(3)戦略
フォードは黒色のT型フォードに固執したためGMなどの他の自動車メーカーに市場を奪われてしまった。そして、その代表格がGMだ。廉価で入門タイプのシボレーをT型フォードの対抗製品として位置付け、それの上位となる車種を揃えていった。最後はキャデラックだ。トヨタでいえば、クラウンか。最近ならレクサスか。そんな商品ピラミッドを明確にした上で、各車種を事業部別の組織で統括した。そんな経営組織がGMの真骨頂だという。

企業の価値を高めるのは最後は人
企業経営の結果として得た利潤を元に自社株を購入することはファイナンスの観点から有効だ。しかし、米倉先生は馬鹿げた行為だと一刀両断だ。利潤を得たのであれば、それを社員に還元すれば、社員は奮起する。周りから優秀な社員が集まる。自由な風土が自由な発想を築く。社員を大切にして、想いを高めて、自由な発想で社会の課題を解決する。そんな企業が魅力的でないはずがない。

まとめ
米倉教授が3時間かけて熱弁を振るわれたことを全てメモすることはできない。明日の仕事もあるので、そろそろベッドで眠る時間も過ぎている。米倉教授の授業の魅力の10分の1ぐらいは記録できただろうか。イノベーションの歴史を振り返ることは手段であって目的ではない。目的は、過去に犯した失敗を二度と繰り返さないようにすることだ。しかし、これがなかなか難しい。難しくても、そのような意識を持って歴史を見ることで、少しずつでも前進することが大切だ。そんなことを教わったように思う。

おまけ
7月18日(木)に第14回一橋ビジネスレビュー・フォーラムが開催される。行きたいけど、時間が取れるかなあ。でも行きたいなあ。困ったなあ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190619185610p:plain
 出典:https://www.b-forum.net/file/JP1031_panf.pdf

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。