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LINEについて考える

はじめに
ソフトバンクLINEモバイルの51%の株式を取得することに合意しているが、これはどういう意味なのだろうか。一般の人は、LINEとLINEモバイルの関係をあまり考えないし、知らないので、LINEがソフトバンクの傘下になるように考えている人もいるかもしれない。しかし、LINEは韓国のIT企業NAVERの子会社であり、そんな話ではない。では、どういう話なのかを少し紐解いてみた。

1. LINEとは
LINE株式会社は、先述の通り韓国NAVERの100%子会社として設立した。日本で法人登記をしているが、その最高意思決定を行う株主は韓国人役員だ。日本語のWikiで見ると沿革が記載されていた。要旨は次の通りだが、いわゆるSNSのLINEを提供したのが、2011年6月だ。2011年3月11日の東日本大震災を受けて、日本人のために何かできないかと考えて開発されたのがLINEだという。そして、それに先立って買収したライブドアの戦力も統合して、LINEの快進撃が始まった。LINEは、株式上場に伴いNAVERの出資比率は80%まで低下(2016年12月末)し、その資本金は923億円、従業員は1716人(2016年12月末)に増大した。
 2000年10月 - ハンゲームジャパン株式会社として設立。
 2003年 8月 - NHN Japan 株式会社に商号変更。
 2007年10月 - 9日付けで代表取締役社長の交代。千良鉉から森川亮へ。
 2010年 5月 - ポータルサイト運営の株式会社ライブドアを完全子会社化。
 2012年 1月 - NHN Japan株式会社、ネイバージャパン株式会社、株式会社ライブドア経営統合
 2012年10月 - 本社を渋谷ヒカリエに移転。
 2013年 4月 - LINE株式会社に商号変更
 2016年 7月 - ニューヨーク証券取引所ティッカーシンボル:LN)に上場。
 2016年 7月 - 東京証券取引所1部(証券コード:3938)に上場。
 2016年 9月 -「LINEモバイル」を提供開始した。
 2017年 1月 - オフィスを新宿区新宿のJR新宿ミライナタワーへ移転。
 2018年 1月 - 仮想通貨の取引業に参入
(出典:LINEの有価証券報告書、参考1)

2. LINEとNAVERの関係
NAVERは韓国の検索ポータルサイトを提供する会社だ。日本では、NAVERまとめの方が有名かもしれない。NAVERがサービスを提供したのが1999年6月、そして翌年2000年10月に日本子会社を設立した。日本企業が空白の20年間に苦しんでいる間に、NAVERは売上も業容も急速に拡大した。そして、下の図は、NAVERとLINEを中心とした資本関係を図示したものだ。ここで注意が必要なのがLINE Plusだ。これは日本企業であるLINEの子会社となっているが、NAVERも40%出資している韓国法人だ。そして、海外展開はこのLINE Plusが主導していて、スペインや台湾、タイ、米国などのオペレーティング会社を統括している。つまり、いわばLINEの司令塔だ。そして、LINE株式会社はLINE Plusの親会社であるが、実質的には日本でのビジネスのオペレーティング会社として子会社であるLINE Plusに統括されている。さらにこのLINE Plusはデータセンターの運用やデータの統括をしているとも聞いている。
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(出典:hack letter、参考2)

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日本人の起源:Corded Ware Cultureと縄文文化

はじめに
Corded Ware Cultureという英語をご存知でしょうか?Wikiで見ると、縄目文(なわめもん)土器文化とある。一方、縄文文化を調べると英語では、Jomon Pottery Cultureというらしい。これって、まるでJapanは日本国だけど、日本はNipponと言うのと同じに聞こえる。日本の縄文土器文化と海外の縄目文土器文化について少し調べてみた。

1. 縄文土器文化(Jomon Pottery Culture)
1.1 Wikiの定義

大好きなWikiで見ると、縄文土器とは日本列島で縄文時代に作られた土器であるという。年代は次のように定義している。
 草創期:約16,000年前〜
 早期 :約11,000年前〜
 前期 :約7,200年前〜
 中期 :約5,500年前〜
 後期 :約4,700年前〜
 晩期 :約3,400年前〜
下の写真は英語のWikiに掲載されていた図だ。草創期と、中期と晩期が対比されていてわかりやすい。
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(出典:Wiki、参考1)

1.2 タミル語
Wikiでは、日本語や英語以外にも多言語で記述している。縄文土器を記述している言語を見ると、見たことのない文字があり、調べてみるとタミル語だった。そして、タミル語南インドスリランカシンガポールなどで使われている言語だった。そして、日本語との類似性も多い。例えば、疑問文は日本語だと語尾に「か?」をつけるがタミル語は語尾に「アー?」をつけるという。また、日本語と同じようにSOVの文章構成の語順、主語をしばしば省略、擬音語・擬態語の表現が似ていたり、基本母音(a, i, u, e, o)が同じだという。また、似ている言葉も多く、カーラと言うと辛いになるらしい。さらに、サンガムという詩歌があり、これは五七五七五七……七、五七五七七、五七七の音節を持つものもある。日本の古語に多く見られるような係り結びもある。これは興味深いがここに行数を割くと本題にたどり着かない恐れもあるのでこの程度にしておく。しかし、スリランカに行きたくなった(笑)。
(出典:Wiki、参考2)

2. 縄目文土器文化(Corded Ware Culture)
2.1 縄目文土器
縄目文土器は、紀元前6000-2200年にかけて現在のヨーロッパに広まった土器だ。写真下左を見るとこれは日本の縄文土器との類似性が非常に高いと考えるのが自然だろう。一方、写真下右の戦斧は日本にはないものだ。しかし、これって武器なのだろうか。いろいろ調べても詳しいことがよくわからない。しかし、なぜ、日本の縄文土器と非常によく似た縄目文土器が、日本の縄文晩期の時代にヨーロッパに出てくるのだろう。これはミステリーなのか。少し、ヨーロッパの歴史を古代から紐解く必要がありそうだ。
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(出典:wiki、参考3)

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裁量労働制を考える

はじめに
最近、裁量労働制の是非が国会でも議論され、今回の国会での審議を諦め、裁量労働制の対象拡大を含む労働基準法改正案に関しては、厚生労働省労働政策審議会でも再度議論するような報道があった。そんな話題の裁量労働制関連を少し調べてみた。労働時間の短縮は必要だが、それだけでは十分ではない。やはり、やる気や達成感、仕事の満足度を高めることが重要だ。そして、その意味では、高度プロフェショナルの基準を1075万円とするのは理解できるが、裁量労働制をさらに低い賃金の業務に拡張するのは危険だ。適用対象の業務の最低賃金を高めることが条件となるのではないか。

1. モティベーションと仕事の満足度
下の図は、全国就業実態パネル調査(2016年)に基づいて、リクルートワークスの久米さんがわかりやすくまとめた図だ。これによると、45の職種区分に対して、やる気(Motivation Performance Score)と仕事の満足度での分布具合をプロットしたものだ。これによると、相関係数(R2)が0.7165であり、相関関係は高いと言える。やる気も満足度も最高に高いのは経営関連専門職、つまり社長業だ。社長業の人はやればやるほど成果に直結するので大変なことも多いが、その環境で実績をあげられる人は幸せといえるだろう。一方、MPSは高いがそれ以上に仕事への満足度が高いのはコンサルタント業やゲーム関連専門職だ。一方、MPSは高いが仕事への満足度がそれほど高くないのは会社の管理職や法務関連の専門職だ。あなたの周りの人をイメージして当たっているかどうかを検証してみてほしい。一方、やる気も満足度も低いのは、OAオペレータや製造作業者だ。今後のコンピュータの性能がさらに向上した場合には、このようなやる気も満足度も低いような業務をターゲットにすべきではないだろうか。
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(出典:リクルートワークス、参考1)

2. 年収と生活の満足度
年収と生活の満足度には、正の相関関係があるだろう。しかし、色々調べてもなかなか情報がない。やっと見つけたのが、下の図で、これは米国の2010年の統計情報だ。これによると年収が100万円(分かりやすくするため、$1=100円とする)から年収1000万円あたりまでの勾配と、年収1000万円から2000万円あたりまでの勾配は明らかに異なる。仮に前者を馬車馬ゾーン、後者をセレブゾーンと呼ぶ。馬車馬ゾーンは貧困から脱出するために、より豊かになるため必死で働く労働者ゾーンと言えるのではないか。一方のセレブゾーンは、前項でいう高度な専門職で十分な収入を持ち、高いモチベーションを維持し、結果としてライフ満足度が高い。
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(出典:80000 HOURS、参考2)

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電子地域通貨は生き延びるのだろうか?

はじめに
カミオカンデといえば、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊を思い出す。そんなカミオカンデ岐阜県神岡鉱山地下1000mにあるニュートリノの観測装置だ。そんな有名な施設のある神岡を訪問した。幸い天気も良く暖かかったけど、周辺は1-2mの雪が積もっている秘境だ。飲食店もあるが、ほぼお休みだった(涙)。時間調整をする場所がないので、メインストリートを散歩していたら飛騨信用金庫の店舗があり、「さるぼぼ」のポスターがあちこちに貼っている。なんだろうかと思ったら、「さるぼぼコイン」だった。帰りのバスは1時間後なので、試しに作ってみた。

さるぼぼ
飛騨では赤ん坊のことを「ぼぼ」と呼ぶ。なので、さるぼぼとは猿の赤ちゃんの意味だ。飛騨の地方ではおばあさんが子供や孫に手作りで作った人形だ。顔が描かれていないために手に取った人の心が写されるとも言う。もともとは安産祈願の赤さるぼぼのみだったが、現在では様々な色のさるぼぼが売られている。例えば、青さるぼぼは出世と合格、黄色はギャンブル運、ピンクは出会い、紫は長生き、銀は友情、黄金は金運に御利益があるという。試してみてはいかがだろう?
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(出典:飛騨物産館、参考1)

電子地域通貨
さるぼぼコインは、飛騨地区のみで使える電子地域通貨だ。電子地域通貨をざっと調べると、沖縄、長崎、飛騨の事例が見つかった。

(1) 沖縄の「琉球コイン」
沖縄銀行は、2017年6月15日に琉球コインの実験を開始すると発表した。これは、日本IBMと連携し、ブロックチェーン技術を用いた仕組みだ。3ヶ月程度の実験をする。将来は健康保険組合とも連動するという。市町村の地域通貨の電子化なども視野に入れている。しかし、ビットコインの急騰と暴落という荒波を経て、今はどうなっているのだろうか。沖縄銀行の行員食堂で使うだけで終わってしまうのだろうか。
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(出典:沖縄タイムス、参考2)

(2) 長崎の「しまとく通貨」
しまとく通貨とは、長崎県壱岐市五島市小値賀町新上五島町佐世保市宇久町などで使える電子通貨だ。2013年から3年間で約104億円を発売したしまとく通貨をスマホなどで2016年10月から電子的に使えるようにする。1セット5000円で発売され、6000円分の買い物ができるという。長濱ねるが3歳から7歳育った五島列島では使えるようだ。しまとく通貨は、そもそもは島外からの観光客をターゲットとし、島の登録店舗で支える仕組みだ。電子化により、25%程度のコスト削減を見込む。現在は、期間限定(2017年10月〜2018年3月)で発売している。プレミアム率が20%とお得だ。
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(出典:長崎県壱岐市、参考3)

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白川郷:合掌造りの特徴と課題

はじめに
冬の白川郷は素晴らしい。運良く飛騨高山に出張する機会があったので、プライベートな時間も頑張って確保して白川郷を訪問した。昨年初めて訪問した時は観光コースだったが、今回は完全フリーコースだ。飛騨高山駅のバスセンターを尋ねると、ほぼ満員だったが、一人なら乗れるという。ラッキー!今回は、展望台、神田家、長瀬家、明善寺庫裡郷土館を中心にじっくりとお観光した。その中で合掌造りの巧みさを再認識した。今回は、そのような合掌造りの構造と特徴と課題について考えてみたい。

2. 合掌造りの構造
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(1) 周辺の水路
雪の白川郷を訪問すると、家屋の周辺に配置された水路が素晴らしい。その役割は一つではない。合掌造りは燃えやすいので防火が重要だが、水路はその大きな水源となる。また、田植えの時期には田んぼに水を供給する水路だ。日常的には生活用水でもある。そして、冬場になると屋根から下ろした雪を溶かして流す水路として活躍する。白川郷というと合掌造りが代名詞だが、それを裏から支えている水路にも注目すべきではないだろうか。
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(2) 大黒柱と根曲りの木
合掌造りを支える技術が幾つかある。まずその柔構造だ。木材と木材を繋ぐのに釘は使わない。飛騨の大工の巧みの技を使っている。また、縄が非常に効果的に使われている。合掌造りを作る第一弾は1階部分の建造だ。ここまでは普通の平屋の建造と大差はないかもしれない。しかし、屋根に積もる雪の荷重に耐える必要がある。仮に20mx10mx1mの雪が積もり、雪の比重を0.5g/cm3とすると100トンにも達する。これを支えるのが家屋を東西に渡す根曲りの木だ。根曲りの木とは雪の荷重によって木がまっすぐ上に伸びずに谷側に伸び、そのあと上に向く木だ。雪の荷重に耐えたため非常に強度がある。そしてその木をおおよそ3m間隔で東西に配置する。しかし、家屋に使うには左右(東西)で対称である必要がある。そこで使われるのが飛騨の匠の技だ。2つの根曲がりの木を接合して、一本の木のようにして使っている。
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安心安全:いじめ問題について考える

はじめに
現在は、年間200講座ペースで全国の学校等を行脚してお話をしている。技術士の仲間からは、どんだけ稼いでいるのかと言われることがある。講座一回の収入が20万円だとしたら、4000万円の収入のはずだ。しかし、自分はサラリーマンなので、そんな収入にはならない。しかし、そんな直接的な収入にはならなくても、日々子供たちや先生や保護者や教育関係者の人と話をすると、多くの気づきがある。そちらの収穫の方が断然に貴重だ。今回は、そんな日々の活動の中で感じたことをベースとして、いじめの本質とその課題、そしてその課題の解決法について思いつくままに記載したい。

1. いじめの本質
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(1) いじめの定義
いじめの定義は、悲惨な事件が発生するたびに改正されている。昭和61年度に定義された時には、自分より弱い者に対して一方的に、身体的心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実を確認しているものだった。しかし、現在の定義は、平成25年に施行されたいじめ防止対策推進法による。具体的には、「児童生徒に対して当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」だ。つまり、かつてはガキ大将のように力の強いものが、弱い生徒を継続的に攻撃し、相手が深刻な苦痛を感じ、かつ学校で確認したものだった。しかし、現在は、生徒がいじめられたと宣言したらそれがいじめだ。このような定義になったことには多くの理由があり、経緯があり、配慮がある。多くの悲劇を繰り返さないための悲痛な定義だと言える。しかし、このために、いじめの件数はノコギリ状に増減する。つまり、いじめ件数は時系列で減少するが、定義が変わるたびに非連続に増加し、また時系列的に減少する。過去の定義と現在の定義に互換性がないため、減少したのか増加したのかよくわからない。再定義するのではなく、定義を追加して、過去の調査値との相互互換性を確保して欲しかった。そうすれば、例えば深刻ないじめの減少傾向、軽微ないじめの減少傾向をそれぞれ確認できたはずだ。

(2) 脳科学者の中野信子先生によると「いじめとは統治の失敗」
いじめの定義を探していると面白い話を聞いた。脳科学者の中野信子さんはホンマでっか!とかのテレビでもよく登壇され、活躍されている。著書も多い。その中野先生によると、いじめとは「統治の失敗」の結果の現象だという。つまり、どの組織にもルールはある。そして、どの組織でもこのルールを守らないメンバーがいる。そのため、組織はそのメンバーにルールを守るように注意したり、指導したり、諭したりする。しかし、それでもそのメンバーがルールを守らない場合には組織から排除する。かつての村八分はこの典型例かもしれない。村八分とは、村の掟を守らない村民に対して、葬式と火事を除くすべての交流を絶つ行為だ。農耕民族では、仲間との協調が必須なので厳しい抑制力が生じる。そして、村八分ではルールを守らない村民の程度によって1年とか期限を設けて反省を求めたようだ。これの是非を判断することは難しいが、個人的には日本人らしい優しい行為の側面を感じる。もし、これが他の農耕民族の国だと制裁や処刑をするのではないだろうか。狩猟民族だと、そもそも個人勝負なので、制裁にならない。中野信子さんの定義に従うと、いじめは絶対ダメというルールを決めて、そのルールを守らせようとすると、そのルールを守らない人が出てきて、その人が新たにいじめの対象となる。そんな悪循環に陥るジレンマがあるということは賢明な我々は理解しておく必要がある。

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TPP11の影とリスク

はじめに
技術士は、技術に関する専門家を目指すべきだが、同時に日本国の公共の福祉に貢献することも求められている。そして、現在議論されているTPPも日本の国益に大きな影響を与える可能性がある。法律の専門家ではないが、技術士として最低限の理解は深めておく必要があるだろう。そんな気持ちから現状の理解にトライしてみた。

TPP条約とは
トランプ大統領がTPP条約から離脱する大統領令に署名したため、残る11ケ国でTPPを行うのか、それとも米国の参加を促すのかといった状況だ。つまり、米国政府はTPPに反対しているが、日本政府はTPPに賛成している状況のように見える。そもそもTPPとは、環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement またはTrans-Pacific Partnership)の略だ。2016年2月4日に署名されたが、米国が不参加のため、米国を除く11ヶ国で2017年11月に大筋合意が確認された。

正式署名はなされるのか?
2018年3月8日にチリで11ヶ国による署名式が行われる予定だと言う。11ヶ国による協定の名称は包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)だ。仮にTPP11としておく。冬季オリンピックの期間でもあるためか、TPP11の最終内容がどうなるのかといった報道は新聞やテレビではあまり報道されていない。大丈夫なのだろうか。

TPP11の合意内容
内閣官房TPP等政府対策本部は2017年11月11日にTPP11協定の合意内容を発表している(参考1)。基本的な内容に絞った合意内容だ。正式な言語が英、仏、西となっていて、公式な言語として日本語が追加されていない点が残念だ。英語が得意でない日本人は気がついたら不利な条約内容だったということにならないように細心の注意と公開が必要だ。特に、第2条の特定の規定の適用の停止に注目が必要だ。
 第1条 TPP協定の組込み(incorporation)
 第2条 特定の規定の適用の停止(凍結)
 第3条 効力発生(6か国の締結完了)
 第4条 脱退
 第5条 加入
 第6条 本協定の見直し(review)
 第7条 正文(英、仏、西)

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