LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

本年最初はジパングと黄金のお話

新年明けましておめでとうございます
2018年をどんな1年にするかと、いろいろと考えたり、期待したり、不安になったりとされているのかもしれません。せっかくの新年なので、少し日本や日本人が海外からどのように見られていたのかを振り返ってみたいと思います。とは言っても、専門家ではないので、ネットで少し調べて理解したことを6つほど列挙したい。

1. ペルシャから見ると日本はワクワクの国?
9世紀に描かれたアラビア語最古の地誌「諸道と諸国の書(Book of Roads and Kingdoms)によると、日本は支那(現在の中国)の東にあるワクワクの国と呼ばれていた。日本の古名の倭国は、このワクワクに由来しているという。これによると、ワクワクの国は、黄金に富み、犬の鎖や猿の首輪まで黄金でできているという。また、銘木であり、現在は非常に貴重な黒檀(こくたん)を産したという。下は1154年の世界地図で南が上、東が左となっている。今、問題になっているエルサレムを中心に北から南を向いた時の世界のイメージだ。日本は支那のさらに東の列島で赤の矢印で示したところだ。幼稚園児でももう少しマシな日本列島を書きそうな感じだ(笑)。
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(出典:Wiki、参考1)

2. 千夜一夜物語と羽衣伝説
アラビアンナイトで有名な千夜一夜物語の「ハサン・アル・バスリの冒険(第576夜 - 第615夜)」には、ワーク(ワクワクと同義)の島々が登場する。ワークの王女が金細工師の息子ハサンに衣を隠されて帰れなくなり、ハサンの妻となる。なんとなく羽衣伝説によく似た物語だ(参考2)。そして、ワークは7つの島からなるという。日本からペルシャまで天女が飛んで行くとはまさに神話の世界だ。

3. マルコ・ポーロの伝えたジパング
下の図は、1544年に書かれたドイツ人セバスチャン・ミュンスターの著書「Cosmographia」に掲載された世界地図だ。上が北で左が西だ。東アジアのさらに東の島が日本だという(赤い矢印)。マルコ・ポーロの東方見聞録では、ジパングは、中国の東方1500マイルに位置する独立した島国とされている。ここでも、莫大な金を産出し、王の宮殿は金で出来ているとある。変な習慣もあったが、人々は穏やかで礼儀正しいとあるのは日本人として嬉しい。f:id:hiroshi-kizaki:20180101135400p:plain
(出典:Wiki、参考3)

4. ジパングのモデルになったのは平泉の中尊寺金色堂
日本での金の産出を調べると、奈良時代までは朝鮮半島新羅高句麗からの輸入に頼っていたが、749年に奥州(現在の東北)で砂金を発見した。今も、宮城県の雄鹿半島にある小島には黄金山神社(涌谷町)では日本で初めて金を産出したところと鎮座されている。この黄金を発見したのは百済王敬福だ。百済は、白村江の戦いで敗れ660年に滅び、百済の民族は大量に日本(現在の滋賀県)に亡命した。この敬福はその最後の31代百済義慈王の孫となる。この金の発見で奈良の大仏が無事完成し、敬福は当時の従五位上から従三位へ七階級特進している(参考4)。金山を見つける技術は特定のグループがそのノウハウを継承していて、佐渡島の金山もそのグループによるものと聞いたことがあるが、もしかすると百済王の末裔のグループなのだろうか。平泉の中尊寺金色堂は1124年の完成だ。1962年の解体修理では、約3万枚の金箔(15kg)が使われた。創建時には150kgの金と、70kgの銀、2トンの漆が使われたと推定されている。大変な量の金銀が使われていた。
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(出典:平泉紀行、参考5)

5. 三浦按針と徳川家康
1600年春に三浦按針ことウイリアム・アダムズを含む14名が豊後(現在の大分)に漂着した。ポルトガルから来たイエズス会の宣教師たちは即刻処刑するように要求したというが、当時の実力者である徳川家康が身柄を預かる。ウイリアム・アダムズは、ヤン・ヨースティンとともに、能力と見識を評価された。1600年9月の関ヶ原の戦いにおいてアダムズの船に搭載されていた大砲や鉄砲の玉をはじく南蛮鎧が使われて威力を発揮した。1607年には120トンの船舶を完成させた功績から250石の旗本となった。同時に三浦按針と名乗り武士として生きた。下の図(左)は1707年の海航海からの地図であり、下の図(右)は徳川家康からの御朱印だ。北海道が大陸のように広く、九州四国が小さいなどいびつだが、日本の地図らしくなっている(笑)。f:id:hiroshi-kizaki:20180101143040p:plain
(出典:Wiki、参考6)

6. ローマ帝国とソリドウス金貨
黄金の話に戻すと、世界最古の金貨はローマ帝国で使われていたと言う。下の図は、コンスタンティヌス1世を描いたソリドゥス金貨(左)と、レオーン3世とコンスタンティノス5世を描いたノミスマ(右) だ。このソリドゥス金貨のために戦うので兵士(Soldier)となった。ドルのマーク($)もこのソリドゥスが語源だ。通貨が流通し始めた3世紀には純度95.8%、4.48gだったが、ローマ帝国の衰退とともに、金貨の純度も低下し、1071年にセルジューク朝に敗退した時には金貨の純度が50%を切っていたという。体制の衰退と通貨の衰退には相関関係があるようだ。

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(出典:Wiki、参考7)

まとめ
新春ということで海外から見た日本のイメージと金についての豆知識を少し整理してみた。ビットコインを筆頭に仮想通貨は急騰の後に急落したが、今後国の通貨と連動した仮想通貨が登場すると、現在の中央銀行市中銀行による通貨発行の仕組みも見直しになるのだろうか。現在の資本主義の原動力は、結局は金本位制の通貨を保有する資本家と、それを市場に流通させて金利で儲けるという構造だ。しかし、金利で景気を制御することは難しい世の中になった。ベーシックマネーの議論も少しずつ進んでいる。今後、例えば日本政府が円と連動するビット円(仮称)の仮想通貨を発行して、それを市場に展開するとどういうことになるのだろう。まだまだ、わからないことが多い。また、横道にそれるが関ヶ原の戦い徳川家康が勝利した背景に三浦按針の功績があったというのも面白い。

以上

参考1:https://ja.wikipedia.org/wiki/ワクワク 
参考2:https://www.weblio.jp/wkpja/content/千夜一夜物語のあらすじ_ハサン・アル・バスリの冒険
参考3:https://www.pinterest.es/pin/695172892453687543/
参考4:https://ja.wikipedia.org/wiki/#金鉱山
参考5:http://www.el-saito.co.jp/cafe/cafe.cgi?mode=res&one=2&no=2972 
参考6:https://en.wikipedia.org/wiki/William_Adams_(sailor)
参考7:https://ja.wikipedia.org/wiki/ソリドゥス金貨

1867年の大政奉還の遠因は1857年の米国金融恐慌か

ペリー来航165年
米国海軍東インド艦隊の提督のペリーが鎖国時代の日本にやってきたのが1853年なので、約165年前のことになる。工学系なので歴史の勉強を疎かにしていたが、大人になってから色々な書物を読むと興味がどんどん湧いてくる。最近、読んだのは下のペーリ提督日本遠征記(上下版)だ。図書で買うと置き場所に困るが、Kindle版が出ていたので、購入した。上下それぞれ578円だった。さっきAmazonのサイトを見たら上下合体版が1038円で売っていて、ちょっと後悔した。今後、購入する人はこの上下合体版がお得だろう。内容が非常に充実した一次資料をこんな廉価な値段で手元におけるとは良い時代になったものだ。

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(出典:Amazon
8つな疑問点
幕末のことはロマンに満ちている。鎖国時代から黒船来航、大政奉還と本当に激動の時代だ。そんな時代をこじ開けたマシュー・ペリーが残した日本遠征記を読んでいるといろんな疑問を感じる。そして調べると今まで知らなかったことや誤解していたことが色々とあることに気づく。その中から8つをピックアップして解説したい。ただし、これは単に自分が知らなかったことであり、読者の皆様はとっくの昔に知っていることばかりかもしれない。その場合はご容赦願いたい。

1) 幕末の両替による金の大量流出
明治維新南北戦争に関係があるとは学校の教科書からは読み取れなかった。でも、調べるとアメリカの歴史と日本の歴史は密接にリンクしていた。当然だろう。その中でも特にショックだったのは、幕末の金の大量流出だ。当時の江戸で流通していた1分銀の銀保有量はドル銀の銀保有量の3分の1だった。ハリスは同種・同量交換を要求し、紛糾したが、最終的に合意された。したがって、メキシコドル4枚を1分銀12枚に交換し、これを小判3枚に両替する。この金貨を香港に持っていくと、メキシコ銀12枚に交換できた。よって、江戸と香港を往復することで巨額の富を得られる。 当時の日本は、世界の金の3分の1に相当する金を保有していた。どの程度大量流出かは諸説あるようだ。

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(出典:wiki、参考1)

2) 江戸の物価の急騰
この結果、当時の江戸の両替所から金がなくなる事態となり、江戸の市場は大混乱した。下の表は、当時の江戸の諸物価の対前年上昇率だ。1858年には米が31%秩父絹が56%も急騰した。そのあと沈静化したが、1865年には米が72%も急騰した。これの原因は、先の両替による金の大量流出が契機だという。
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(出典:貨幣の歴史学、参考2)

3) 当時の江戸幕府はなぜ不利な条約に合意したのか
当時の江戸幕府は、通貨を海外に持ち出すことを禁止していた。また、金と銀の交換の交渉も難航した。しかし、ハリスは清国と戦争中のイギリスやフランスが日本を侵略するのを防ぐには日本と米国でアヘンの輸入を禁止する通商条約を締結するほかないと幕府を押し切った。その結果、日米修好通商条約の第5条において、「外国通貨日本通貨は同種・同量で通用する。すなわち、金は金と、銀は銀と交換できる。取引は日本通貨外国通貨どちらでも行うことができる。日本人が外国通貨になれていないため、開港後1年の間は原則として日本の通貨で取引を行う。日本貨幣は銅銭を除き輸出することができる。外国の通貨も輸出可能である。」を認めてしまい、その結果前述の金の大量流出が起きた。そして経済が大混乱し、幕府への信用が崩壊したという。
(出典:ねずさんのふたりごと、参考3)

4) 南北戦争と金の大量流出
次の年表を見ると、米国が新興国として勢力を高め、1853年に金本位制を確立する。そして、同じ年にペリーが来航し、1958年には貨幣の同種・同量交換を迫り、1959年に金貨の大量流出が起きる。そして、1961年に始まった南北戦争はわずか4年で北軍の勝利となった。当時の米国は綿花を栽培する南部が圧倒的に経済を支配していた。そして南部には人口の3分の1に相当する黒人奴隷がいた。一方、北部は工業化を急いでいたが、1857年には大恐慌が発生し、経済力は大混乱していた。経済の安定している南部は独立して連合国を形成し、北部はそれを阻止しようとする。そんな苦境の中で北部がなぜ勝利できたのだろう。一説には、その軍資金は日本から流出した大量の金だという。本当なのだろうか。
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(出典:貨幣の歴史学、参考2)

5)セントラルアメリカ号の沈没と世界規模の大恐慌(1857年)
ペリーが来航した1853年の4年後の1857年9月にニューヨーク銀行の金塊約10トンを載せたセントラルアメリカ号が沈没した。原因は、ノースキャロライナ州周辺で発生したハリケーンだ。そして、これをきっかけに米国通貨の金本位制が崩壊し、初めての世界規模の経済恐慌が同年(1857年)に発生した。そしてその翌年の1858年に同種・同量交換を江戸幕府にハリスが強硬に主張し、1859年に日本からの金の大量流出が発生する。そして、この金融恐慌は同年(1859年)までに収斂した。どうも一連の出来事が繋がっているのではないかと思うのは私だけだろうか。なお、多大な財宝を載せたまま海中に沈んでいたセントラルアメリカ号は1988年に発見された。発掘グループがベイズ主義理論に基づいた統計学と遠隔操作技術を駆使して特定したという。しかし、その発掘費用は金銀の価値よりも高いという(涙)。
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(出典:トカナ、参考6)

6) 南北戦争(1861-1865)と戊辰戦争(1868-1869)
戊辰戦争は、明治政府を樹立した薩摩藩長州藩土佐藩を中核中核とした新政府軍と、現在の東北と新潟を拠点にする、奥州、羽州越州で構成される奥羽越列藩同盟である旧幕府軍の内戦だ。旧幕府軍は、東日本として独立することが同盟の目的だったとあり、最悪は日本が東西に分裂していたリスクもある。なぜそんな内紛が起きたのだろう。気になるのは、新政府軍も旧幕府軍南北戦争で使われた「ガトリング機関銃」等の最新兵器を使用していたことだ。つまり、南北戦争で不要となった最新兵器を当時の北部が南部からキャッシュで買取った。そして、日本に対しては直接販売するのではなく、清国と戦っていたイギリスとフランスに売却する。そして、イギリス勢は新政府軍、フランス勢は旧幕府軍にすり寄った。フランス勢は、旧幕府軍に兵器を売りつけるだけでなく、フランス軍事顧問軍は会津戦争・北海道箱館戦争まで一緒に戦ったという。しかも、江戸時代までの日本では武士が戦っていたが、この戊辰戦争では市民も巻き込み、新政府軍3,550人、旧幕府軍4,690人が亡くなるという悲惨な戦いだった。残念ながら戦争をすると儲ける人がいることを理解して、愚かなことを繰り返さないと反省することが必要ではないだろうか。f:id:hiroshi-kizaki:20171229145206p:plain
(出典:ねずさんのふたりごと、参考3)

7) 南北戦争の目的
南北戦争は、黒人の奴隷解放の為に北部が立ち上がったように思っていた。調べるとそんな単純な構造ではなかった。つまり、南軍の目的は綿花産業による経済と奴隷制度を維持する為に連合国としての独立を維持することであり、北軍の目的は連合国を合衆国に戻すことだった。その意味では内紛ではない。共和党エイブラハム・リンカーンは、奴隷制の拡大に反対していたが奴隷制の廃止を宣言して選挙を戦ったわけではない。なぜなら北部には奴隷制の維持を主張する州もあったためだ。なお、奴隷解放は、奴隷の売買を禁止するものであって、黒人に人権が与えられるのは1962年南北戦争の100年後だった。
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(出典:Wiki、参考5)

8) 年季奉公とからゆきさん
米国で奴隷制度が始まる前には4年から7年の年季奉公という契約に基づく黒人の労働力活用が広がり、そのあと、1662年までには奴隷制度が法整備されたという。そして17世紀から19世紀にかけて1200万人の黒人が米国に渡り、1860年の米国の国勢調査では上の表のように約400万人の奴隷がいた。日本でも年季奉公では悲しい歴史がある。いわゆるからゆきさんだ。明治時代に、人身売買禁止法が制定されたが、そのあとも、女衒(ぜげん)による売買が続行したという。1925年(大正15年)には、国際連盟の「婦人及児童ノ売買ニ関スル国際条約」を批准し、1959( 昭和34年)に「売春防止法」が施行されて、女衒も自然消滅したようだ。下の図は、「からゆきさんの小部屋」に掲載されているからゆきさんの世界の分布図だという。その数は20万人とも30万人とも言われている。多くは消息も不明なままだが、この分布に重なるように日本人墓地があるという。女衒は渡航費用として当時の金で500円(現在では500万円ほど)を借金とし、それを返済させるために働かせた。そんな悲劇が日本でも起きていたことを忘れてはいけない。ねずさんのふたりごとでは、火薬の1樽と女性50人を交換した時代もあったという(参考8)。本当なのだろうか。f:id:hiroshi-kizaki:20171229161649p:plain
(出典:からゆきさんの小部屋、参考7)

まとめ
今回はペリー提督の日本遠征記を読んで、気になることを調べて、びっくりしたことをまとめてみた。日本遠征記もまだ全部は読んでいないが、日本の歴史観や宗教観、文化などが淡々とかかれていて大変勉強になる。歴史を勉強する目的は、その歴史が生じた原因を調べ、同じ過ちを回避することだと思う。北朝鮮の動きがきな臭いが、その裏で誰かがシナリオを書いていないだろうか。世情の表面だけではなく、人間の心理や行動の必然性まで落とし込んで理解しないと真実を見ることはできない。日本史も世界史も得意ではなかったが、人類の行動パターンを分析し、その心理や背景・原因を追求し、対策を講じるというのは、最近の日本企業の不祥事の再発防止にもつながる観点だと思う。表面的な犯人を見つけて社会的に処罰するのではなく、社会の構造的な問題を理解して、それを是正することにつなげることが重要だと思う。それにしても、戊辰戦争で日本を東西に分割するのではなく、単一国家としてサバイバルした先人の知恵と勇気と行動力に敬意を表したい。また、米国の金塊を載せたセントラルアメリカ号が沈没しなければ、1857年の恐慌も起きず、日本からの金の流出もなく、日本の鎖国はもう少し続くか、ソフトランディングでの開国に成功していたのかもしれない。歴史のミステリーは面白い。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

参考1:https://ja.wikipedia.org/wiki/幕末の通貨問題 
参考2:https://www.boj.or.jp/announcements/koho_nichigin/backnumber/data/nichigin18-7.pdf
参考3:https://ameblo.jp/2828waka/entry-11666657585.html
参考4:https://ja.wikipedia.org/wiki/戊辰戦争
参考5:https://ja.wikipedia.org/wiki/南北戦争
参考6:http://tocana.jp/2015/03/post_6002_entry.html 
参考7:http://www.karayukisan.jp/index.html 

参考8:南蛮貿易と日本人奴隷 〜日本人女性50人で火薬1樽〜【CGS ねずさん ...

SNSのトラブルと4コマ漫画

子供達が直面するSNSのトラブル
子供達に対するスマホ利用の波は2つあるという。一つは低年齢化の波であり、もう一つはスマホネイティブの波だ。そして、子供達は2つの波に翻弄されながらも必死でスマホを使いこなしている。

 

低年齢化の波
これは分かりやすいだろう。特に兄弟がいて、お兄ちゃんやお姉ちゃんがスマホを使っていると、その妹や弟は興味を持つだろう。そして、妹が使い始めるとその友達も興味を持つ。そして、その友達の妹や弟が興味を持つ。そんな風にして、一気に低年齢化が進んでいく。下の図は、平成28年度の「子供・若者白書」の図表にコメントを追記したものだ。どんどんと低年齢化が進んでいる。

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スマホネイティブの波
もう一つの波は、生まれた時から身近にスマホがあるというスマホネイティブの波だ。下の図はMMD総研による調査結果だ。なんと2歳児の約半分はスマホスマートデバイスを一人で操作するという。これは1−2歳児の子供や孫のいる人は実感として感じるのではないでしょうか?そんな子供達はスマホ歴3−4年の小学生1年生になる。

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子供達が作文の代わりに描きたかったこと
現在は、年間200回ペースで全国の学校を回り、子供達にいろんな話をしている。ある中学校でお話をしたら、担当の先生が生徒に感想文を書かせるという。ここまでならよくある話だ。しかし、ここの中学生が「作文ではなく、4コマ漫画でもいいですか?」と先生に質問した。そして、その先生がまたかっこいい!「いいよ♪」と回答した。そして、生徒たちは4コマ漫画を描いてくれた。その一部を以下に示す。どれも素晴らしいものばかりだ。学校名や個人名は全て削除した。

 

4コマ漫画シリーズ(その1)
まずは最初の5つ。左から順番にテーマのみを説明すると、つながらない編、サイバー攻撃編、吸い取られる編、私のテキ(パケット上限)、びっくり編。特に、4番目はありがちかも。YouTubeを見まくって、気がついたらデータ利用量が上限に達して途端にデータ通信速度が制限されて「ハイ、死んだ。」本当に上手ですね。

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4コマ漫画シリーズ(その2)
次の5つ。また、左から順にタイトルのみを列挙すると、チェーンメール編、本当かな編、だれだろう編、チェーンメール編、電源編。1番目と4番目はともにチェーンメールに関する4コマ漫画。子供達にLINEのバトンを受け取ったことがありますか?と聞くと大体1割はいないけど、5%以上は小さく手を上げてくれる。最近は質問を隠したシークレットバトンが流行っているという。時代は繰り返す。。

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4コマ漫画シリーズ(その3)
さらに次の5つ。左から順に「知らない友達」、「おどろき」、「ケンカにて」、「文字の読み違い」、「重かっただけ」だ。1番目も3番目も4番目はLINEだ。小学生1年生でもLINEは知っている。使ったことがある?と聞くと半分ぐらいは手を挙げる。でもまだ自分のスマホを持っていないようなので聞いてみると、ママのスマホで使っているとのこと。結局、母親から見ると、子供スマホを買ってやるのか、自分のスマホを使わせるのかという二者択一を迫られているということだ。自分のスマホを使わせるのが嫌だと思ったら、子供にスマホを買うことになる。この前も小学生1年生でスマホを持っているという子がいた。機種を聞いたら最新のiPhoneだった。オーマイゴッシュ!

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4コマ漫画シリーズ(その4)
最後の5つだ。タイトルのみを左から列挙すると、「え!やばい」、「お母さんのスマホ」、「こしょう」、「ケータイが・・・」、そして「だれ?」だ。以前、離島の中学校でお話をした。全校生徒27名という小さな学校だった。そして、お話をした後に「何か質問ありますか?」と聞くと一番前の生徒が手を挙げた。なんだろうと思ったら、「昨日の晩、100万円請求された。40分おきに電話があって寝れなかった。」という。いわゆるワンクリック詐欺だ。同じようにワンクリック詐欺の被害を受けた人、受けそうになった人はいますかと聞くと6名いた。うち男子が2名で女子が4名だった。「なぜ女の子が多いの?」と聞くと、男子は「ヤバイ!」と隠すのだけど、女子は「ヤバイ!」といって友達に転送するからだという。男子と女子で違う行動をするというのを勉強した(涙)。

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まとめ
子供たちはスマホを使いこなしている。でも、時には「ドキッ」とすることに直面している。問題は、その実態を大人が理解していないことだ。そして大変な問題が発生すると、大人同士で議論して、子供にスマホを持たせるのが悪いという結論になり、スマホの利用が禁止される。もしくは、LINEが悪いといってLINEの利用を禁止する。それで問題は解決するのだろうか?本来学校というのは、軽い失敗を経験して、良く生きる術をマスターするための施設ではないのだろうか。これからの情報化社会でスマホもコンピュータも利用できない子供を育てるのが良い教育であるわけがない。それよりは、大問題が生じる前に、軽微な問題が生じる前に、生徒がドキッとしたり、ヤバイ!と感じるようなことを共有することではないだろうか。
自分が失敗した時に反省するのは当然だ。そうではなく友達や知り合いが直面した失敗を自分ごととして反省して、同じような失敗を犯さないようにする。それが教育ではないのだろうか。その意味では、このような4コマ漫画を描かせた先生は素晴らしいと思う。生徒同士で読みあって、「これってあるある!」とか言って、盛り上がる。そんな楽しい教育の方が子供達を育てるより望ましい方法ではないだろうか。今回は4コマ漫画だったけど、例えば、国語の授業の中で「57577の短歌でスマホのしくじり体験を読みなさい!」なんていう取り組みも面白いかもしれない。テーマと秒数を決めて、グループで動画を作らせて、文化祭などで発表させ、優秀な作品を表彰するような取り組みも面白いかもしれない。
大切なことは子供達に寄り添い、子供達の目線で、子供達が成長できるような仕組みと環境を作ることではないだろうか。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

ジュゴンと野口啄木鳥(ノグチゲラ)

ジュゴンとは
沖縄諸島の綺麗な海にはかつて300頭以上のジュゴンが住んでいた。しかし、現在では水産庁レッドブックでも絶滅危惧種に指定されている。IUCNの調査では全世界で1940年には7万頭以上いたが、1990年には4220頭に激減した。自然の環境であれば50年から70年と長生きだが、個体の増加率は5%以下。種を維持するには捕獲率を2%以下にする必要がある。哺乳類としては象に近い。生きた海藻しか食べないので飼育が難しい。鳥羽水族館では2頭を飼育していたが、オスのじゅんいちは2011年2月10日に死亡して、現在はメスのセレナのみだ。このセレナは、同じアマモが大好きなオスのアオウミガメのカメ吉と仲良しで、水槽を分けると食欲が減るという。二頭の友情の物語は「ふたりはいつもともだち」(もいちくみこ作、つちだよしはる絵、金の星社)という絵本にもなっている。
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(出典:Wiki、参考1)

ニライカナイ
琉球では、はるか遠い東の彼方または海の底には理想郷があると伝えられている。生命の源であり、年初にニライカナイから神がやってきて、年末に帰るという。死者の魂は7代して親族の守護神になる。そんなニライカナイではジュゴンは神が現世に来る時の乗り物だったり、助けたジュゴン津波の襲来を教えてもらったという伝承がある。浦島太郎のような感じだろうか。

浦島太郎
auの三太郎の一人が浦島太郎だ。しかし、これは明治29年に発刊された絵本「日本昔噺」第18編「浦島太郎」という物語だ。江戸の御伽草子版の「浦島太郎」でも、浦島太郎が竜宮に行って乙姫から玉手箱をもらう。この原典は、伊預部馬養という文官の創作小説であり、日本書紀では浦嶋子が主人公だ。また、その浦嶋子を祀る京都の宇良神社の伝える「浦嶋神社縁起書」には、次のように記載されている。478年の7月7日に常世の国に行き、825年に帰ってきたとある。七夕の要素まで入っているが、これも偶然ではないらしい。
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(出典:民話想、参考2)

ジュゴン辺野古
日本語のWikiには辺野古という言葉は使っていない。まして、米軍という言葉もない。しかし、英語のWikiには「多くの国でジュゴンは法的に保護されているにもかかわらず、人口減少が続いている。日本政府は、辺野古珊瑚礁調査でジュゴンに対する影響を隠していたことが明らかになった。沖縄の辺野古岩礁近くに米国の軍事基地を建設する計画があり、騒音公害、化学的汚染、土壌浸食がジュゴンに脅威を与えている。また、米国の裁判所でも争われている。」とある。Wikiは言語によって、それを母国語とする国の事情や国民性が反映するので、同じWikiでも内容が微妙に異なるのが面白い。
(出典:英語のWiki、参考3)

米国連邦裁判所での要求
Biological Diversityを中心とする日米環境団体は2003年に米国防総省に対し、辺野古湾にアメリカ軍基地を建設することを訴えた。2004年には日米の政府に対して、同基地の建設計画を放棄するように要請した。2005年には連邦裁判官は米国と日本の基地建設計画を否定した。そして2008年には、連邦裁判所は米国国防総省に対してジュゴンに対する影響を検討するように要請した。  f:id:hiroshi-kizaki:20171222173821p:plain
(出典:Biological Diversity、参考4)

沖縄本島周辺の海草藻場と米軍基地
ジュゴンは繊細でグルメで、お気に入りの食事は美味しいアマモという海草だ。そして海草の藻場をプロットしたのが下(左)の図だ。これを見ると、200ヘクタール以上の藻場は辺野古沖とホワイトビーチ沖だ。そして、その両方ともに米軍基地がある。正確に言えば藻場のあるところに米軍基地があるというよりは、米軍基地の海域なので環境破壊が進まずに、藻場が残ったのかもしれない。しかし、ホワイトビーチから逃げて、さらにキャンプシュワッブからも追い出されたらジュゴンはどこで生き残るのだろうか。辺野古から北部に移動しても芳醇な海草藻場がない深刻さを見逃すべきではないだろう。
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(出典:左は沖縄県文化環境部/参考5、右はブログ/参考6)

辺野古の海
私が沖縄に赴任していたのは1996年から1999年の3年間だった。在沖米軍がお客様だったので、沖縄内の米軍基地にはほぼ通った。そしてキャンプシュワッブのある辺野古にも何度か行った。当時は平和だったので、キャンプシュワッブの米兵は綺麗な辺野古の海でダイビングをしていた。仕事だったのかもしれないが、楽しそうだったのをよく覚えている。そして、キャンプシュワッブの崖の上から眼下を見下ろすとマンタが悠々と泳いでいた。本当に綺麗だった。f:id:hiroshi-kizaki:20171222180051p:plain
(出典:ブログ、参考6)

辺野古と高江
ヘリポートの建設予定地は辺野古沖だ。しかし、これと並行して高江地区にヘリパッドを建設している。北部訓練所の一部を返却することは報道されていたが、新たにヘリパッドを建設することとセットだった。

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(出典:MDS、参考7)

ヘリパッドの建設とノグチゲラ
高江知区には小学校も中学校もある。そしてその周辺にはヘリパッドはなかったが、6個のヘリパッドが追加された。下(右)はヘリパッドの建設現場を上空から撮影したものだ。そして、この高江地区にはやはり絶滅危惧種に指定されているノグチゲラが生息している。ノグチゲラは、沖縄の県鳥だが、生息地の破壊により生息数は減少している。1972年には国の天然記念物、1977年には特別天然記念物、2010年には地元でノグチゲラ保護条例が制定され、無断立ち入りや騒音行為に対する罰則を条例化した。しかし、ヘリパッドの追加設置で環境は悪化している。
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(出典:左はWiki/参考8、右はAPJJF/参考9)

米国NHPA訴訟
本土ではあまり報道されないが、米国にはNHPA(国家歴史保存法)があり、絶滅危惧種に指定されているジュゴンの生態に影響を与えるような行為(つまり辺野古沖へのヘリポート建設)について影響度を調査するように指示が出ている。現在の焦点は3頭いたジュゴンのうちの2頭は生存が確認されているが残る1頭が行方不明な点だ。日本の防衛省は個体Aと個体Bがいるから工事の影響ではない。個体Cの行方不明の原因は検討すると回答している状態だという。国内でも環境省防衛省と戦う姿勢を示してほしいが、残念ながらそのような構図ではないようだ。日本の良心が機能しないため米国の良心(司法省)の判断に依存せざるをえないというのはちょっと悲しい。下の新聞は2008年1月27日の琉球新報と沖縄タイムズの記事だ。今後、米国の連邦裁判所がどのように判断するのかに注目が集まる。
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(出典:環境総合研究所、参考10)

スマホを活用したジュゴンの生態調査
ジュゴンの生態調査に向けて、沖縄防衛局は下の図のような調査を予算化し、企画している。予算は不明だが、工事前後や工事中の調査を予定している。しかし、その結果はオープンにされるのだろうか。
これとは全く別のアプローチだが、スマホを使ったアプリの開発をKii Cloud(参考11)が進めている。必要なアプリを搭載したスアホを地元の漁師に渡して、ジュゴンを見つけた時に撮影してもらう。アプリは撮影された位置情報や時刻情報とともに、撮影内容をクラウドに保存するので、低コストで正確にジュゴンの生息状況を把握できるという。

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(出典:沖縄防衛局、参考12)

まとめ
ジュゴンマナティの違いをご存知ですか?ジュゴンは暖流域の浅い海に生息し、アマモが食料だ。尾びれが三日月型なのが特徴だ。マナティは同じ海牛だが、川で生息するので、アマゾン川に生息するアマゾンマネティやカリブに生息するアメリカマナティ、西アフリカに生息するアフリカマナティなどがある。同じ仲間のステラカイギュウはベーリング島周辺で生息していたがすでに絶滅している。
ジュゴンは、辺野古へのヘリポート移設の時に問題になったが、本土の新聞やテレビではほとんど報道がない。なぜだろう。不思議に思ってネットで調べると、琉球新報や沖縄タイムズでは報道しているし、米国連邦裁判所でも国際事件として取り上げている。日本には言論の自由があると信じているが、メディアの報道が偏っているのは是正すべきではないだろうか。
自然保護や絶滅危惧種の保護は法律でも決まっている。国防は重要な問題だが、一度絶滅した種をもとに戻すことはできない。難しい判断を求められる問題だが、少なくとも情報だけはオープンかつ正確に共有できる世の中にしたいものだ。その意味からはスマホジュゴンの生態を確認するアプリを開発して多くの人に使ってもらうのは良い方法だろう。金も権力もないが、知恵を絞り出すことはできる。微力でも何か役に立ちたいものだ。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

参考1:https://ja.wikipedia.org/wiki/ジュゴン
参考2:http://suwa3.web.fc2.com/enkan/minwa/urasima/column.html
参考3:https://en.wikipedia.org/wiki/Dugong 
参考4:http://www.biologicaldiversity.org/species/mammals/Okinawa_dugong/
参考5:http://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/hogo/documents/the_story_of_the_dugong_.pdf
参考6:http://okinawa-labrador.seesaa.net/article/8660814.html
参考7:http://www.mdsweb.jp/doc/1438/1438_03n.html
参考8:https://ja.wikipedia.org/wiki/ノグチゲラ
参考9:http://apjjf.org/data/4991-04.jpg
参考10:http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col15568.htm
参考11:http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/chotatsu/hyoukasyo/127.pdf
参考12:https://jp.kii.com/news/company/news/sen.html

いじめと相撲と北朝鮮:司令塔は誰だろう。

いじめと相撲と北朝鮮
 なんだか意味不明なタイトルで恐縮だ。いじめは子供の世界のトラブル。相撲は今騒ぎになっている事件。そして北朝鮮は盛んに周辺国を挑発する行為を続けている。これらの3つに何の関係があるのだろう。ミルグラムの実験でその原因を理解できるかもしれない。順番に紐解きたい。

いじめの構図
 なぜいじめが起きるのか。奈良教育大学のいじめ問題プロジェクトでは、いじめの構造を4層で考えている。被害者と加害者と観衆と傍観者だ(参考1)。下の図はそれに対してさらに、加害者に指令を出す司令塔の存在を指摘したものだ。

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(出典:大阪市KOKOROネット、参考2)

スクールカースト
 最近の学校は階層があり、それをスクールカーストと呼ぶという。下の図は、中学生の不登校をなくそうという団体のホームページからの引用だ。母親の階層が子供の階層に影響を与えている。子供の社会は大人の社会の縮図だというが、本当にこんな階層が学校内にあるのだろうか。
 司令塔がカーストの上位で成績も優秀だとすると学校の先生も父兄もまさかその子が司令塔とは思わない。また、明確に指令しないケースの方が多いだろう。トップの人間が「最後まで言わせるな」という構図に似ているのかもしれない。

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(出典:中学生の不登校・登校拒否悩みを解消、参考3)

ドラえもんの司令塔は誰か
 ドラえもんは、「ジャイアンのび太をいじめる」のが定番だ。つまり、いじめっ子はジャイアンであり、いじめられっ子はのび太だ。しかし、本当にそうだろうか。子供たちの間では、ジャイアンは体力は会っても人望も頭脳もないのでいじめっ子にはなれないという。せいぜいパシリだという。
 では、本当のいじめっ子(=司令塔)は誰かというと静香ちゃんだという。「だって、静香ちゃんには女の友達がいない。性格悪いのよ」という。しかし、学校では実行犯を見つけて指導するし、被害者を救出しようとする。しかし、司令塔は特定しにくいので放置される。そして、司令塔は別のパシリに「あの子生意気」等、いじめをほのめかす。パシリはその空気を忖度していじめに走る。そんな悲しい構図をどうすればなくせるのだろう。

相撲のトラブルの構図
 白鵬が貴乃岩を説教している時に、貴乃岩がスマホを見たと言って、日馬富士が貴乃岩を注意した。貴乃岩は謝ったつもりだが、日馬富士はその態度にさらに激怒して殴りつける。さすがにシャンパンボトルでは殴らなかったが、リモコンで殴る。そのあと白鵬が仲裁する。ニュースで聞く限りはそんな感じだ。リモコンは実は危険で、割れやすいシャンパンボトルの方が派手で実害が少なかったという意見もあるようだが、それは本質ではない。
 ここで感じるのは、トラブルの構図が子供のいじめに類似している点だ。つまり、白鵬司令塔実行犯日馬富士被害者が貴乃岩という構図だ。同席した他の力士も傍観者となっている。難しいのは、司令塔が明確な指示を出していたらそれは実行犯と同罪だが、その空気を忖度して、実行犯が暴力を振るった可能性もある。その場合の司令塔の罪をどう判断するかは微妙だ。相撲界は未知の世界なので、想像でしか言えないが、いじめの構図と近いものを感じるというと言い過ぎだろうか。

北朝鮮の狙いと立場
 世界情勢の話に転じると、イスラエルの首都問題が表面化しているが、北朝鮮の度重なる挑発行為も問題だ。そして、よく分からないのは北挑戦の狙いだ。何が目的なのだろう。北朝鮮と韓国の統合が目的なのだろうか。それとも、北朝鮮の国力を高めたいのだろうか。北朝鮮の意思が見えない。
 子供のいじめの構図に合わせて考えると、誰か司令塔がいて、その意思を忖度して、パシリとしての北朝鮮が米国に向けてミサイルを発射できることを誇示する。しかし、本当に米国の領域に発射すると米国が本気になるので、歯向かってこない国(=日本)の領域に何度もミサイルを発射する。そんな構図のように見える。
 では、司令塔は誰なのか。ロシアなのか。中国なのか。世界の経済は米国がリードしていたが、中国が急速に勢力を伸ばしている。朝鮮はそもそも中国の属国としての歴史が長かった。中国の勢力拡大のパワーを傘にして、北朝鮮としての国力を高めようとしているのであれば、北朝鮮の軽はずみな行動も理解できる。
 問題は米中首脳会談だ。中国が演出した2500億ドルの商談というお土産でトランプ大統領はすっかり懐柔されてしまい、中国が悪いのではなく、米国の前政権が悪いとまで言わされてしまった。これでは、中国の勢力をかさにきた北朝鮮の暴挙を抑制することは難しいのではないだろうか。

ミルグラムの実験
 なぜいじめが起きるのか。悲惨な事件が起きるのか。非情になれるのか。悲惨な事件が報道されるたびに信じられない!理解できない!といった非難の報道が溢れる。しかし、止むをえない環境においては、誰でも加害者(=実行者)になりうるという事実を真摯に理解する必要がある。それを検証したのがミルグラムの実験だ。これは、米イエール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムが人間の心理を実験した。登場人物は3人で、司令塔のEさんと加害者のTさんと被害者のLさんだ。Tさんからの質問に対して、Lさんが回答を間違えると、TさんはLさんに対して電気ショックを与える操作を行う。Lさんは迫真の演技で苦しむ。Tさんがその操作に抵抗すると、Eさんは権威を持ってTさんに実行を指示する。EさんからTさんへの4度目の通告の後も、Tさんが実験の中止を希望した場合に実験は中止される。もしくは、死にいたる最大の450ボルト(V)が3回続くと実験が終了する。なお、EさんとLさんは演技であり、Tさんが被験者だ。電気ショックの電圧は最初は15Vだが、最大の450Vまで9段階で増大する。特に300V超は著しく激しい衝撃だ。どのような結果になったと思いますか?
 被験者40人の何名かは実験の中止を申し出たがEさんからの4回の指示を受けても中止を希望する人はいなかった。そして全員が300V超まで進み、約65%が致死レベルの450Vまで続けたという信じたくない悲惨な結果だ。つまり、人間は誰かの指示により止むを得ない状況になれば悪になりうるということだ。
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(出典:Wiki、参考4)

まとめ
 今回は技術的な問題というよりは、社会的な問題にトライした。子供の世界は大人の世界の縮図だ。子供の世界の問題を解決するには、大人の世界の問題を解決する必要があるということを最近強く感じる。
 UNICEFの調査によると日本の子供は「寂しく孤独と感じる」比率と「優しい労働に従事したい(向上心がない)」比率が2位を引き離して圧倒的に高いという。学力は高くても、そんな覇気のない子供たちにしてしまった責任は間違いなく我々大人だということを認め、将来の子供たちが元気で希望を持って生きていける社会を作っていく方法を考えていく必要があるだろう。
 また、最後のミルグラムの実験を初めて聞いた人はショックだったかもしれない。しかし、いじめも、紛争も、戦争も、そんな人間の精神構造が背景にあることを理解しなければ、本当の理由を見つけることができず、本当に必要な解決策を見つけることができず、何度も同じことを繰り返してしまう。悲しいけど人間にはそんな遺伝子が機能しうるということを理解しておくべきだと思う。

以上

参考1:http://www.nara-edu.ac.jp/CERT/April07/html/chapter1/02.html
参考2:http://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000359494.html

参考3:http://futoukou.byoukinavi.net/gakkou/
参考4:https://ja.wikipedia.org/wiki/ミルグラム実験

日本人の起源:日本酒の現状と将来への展望

はじめに
 寒い日にはおでんに熱燗が恋しくなる。先日訪問した高山では「夏子の酒」のモデルになったという蓬莱「亀の尾」をお土産に購入した。もったいなくてまだ頂いていない。お正月にでも家族で頂こう。自分が若かった頃の日本酒は飲みすぎると翌日は頭がズキズキしてもう大変だったけど、最近のお酒は本当に美味しい。二日酔いもない。何が変わったのか。そもそも日本酒はどのようにしてできたのだろう。日本酒の将来は明るいのだろうか。そんなことを調べてみた。また、今回も長文になってしまった。ご容赦ください。
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(出典:筆者が撮影)

目次
 1. アルコール飲料の需要動向
 2. 日本酒の定義と嗜好
 3. 日本酒の起源
 4. 日本酒の進化
 5. 日本酒の将来展望

1. アルコール飲料の需要動向
1.1 ビール好きの日本人
日本人が最も好きなアルコールはやはりビールだ。宴会でもビールでの乾杯が定番だ。しかし、二番手は微妙だ。かつては日本酒だったが、最近ではサワーなどのリキュール類も増加している。

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(出典:左はNIFTYニュース/参考1、右はSPEEDA/参考2)

1.2 ワインが日本酒を追い越すか
1995年の消費を100にするとビールよりも安い発泡酒がブレイクしたが、2003年ごろをピークに減少している。逆に2005年頃より増加しているのがリキュール類とスピリッツ系だ。右の図はワインとビールの消費数量の推移を対比したものだ。1990年当時には日本酒はワインよりも10倍程度多かったが、その後日本酒が減少する一方で、ワインが増加し、2015年には1.5倍程度まで減少している。日本酒は大丈夫か!

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(出典:左はSPEED/参考2、右はノムリエパパのワイン日記/参考3)

2. 日本酒の定義と嗜好
2.1 淘汰される製造酒造
下のグラフは日本における酒造数の推移だ。戦前の昭和15年には7000あった酒造が戦後の昭和20年には半分以下の3160に減少した。しかし、その後、戦後の復興とともに増加し、昭和30年には4021まで復活したが、平成22年には1600まで半減した。。日本酒離れが進み、製造量も昭和48年には971万石(約145億トン)から現在は3分の1以下に減少している。

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(出典:多酒創論、参考4)

2.2 ターゲットは20代女性
下の図は日本酒を飲むかどうかを1000人に質問し、飲まないと回答した人に、「飲んでみたい?」と聞いて、飲んでみたいと思うと回答した人の比率だ。男女別年代別に調査したものだが、20代の女性のうち約40%は飲んでみたいと回答している。日本酒がおしゃれでおいしいものと認知され始めているのかもしれない。これからのターゲットは20代の女性かもしれない。

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(出典:クロスマーケティング、参考5)

2.3 日本酒の定義
日本酒はその精米の歩合アルコールの添加具合清酒の種類が定義されている。つまり、簡単に言えば、アルコールが10%超添加されたものは普通酒、それ以外は精米歩合が高いと特別とか、吟醸酒とか、大吟醸と名乗れる。さらにアルコール添加がないと純米を加える。したがって、お米の中心のおいしいところのみを使い50%以上を精米してしまい、かつアルコールを添加していないのが純米大吟醸酒となる。高山でお土産に買った「亀の尾」は精米50%の純米大吟醸となる。平成15年までは単純な精米歩合と使用原料で組み合わせだったが、現在の純米酒精米歩合の規定が外されているので、下の図のようになる。また、特別純米酒特別本醸造酒というのは、無農薬米を使っているtか、山廃仕込みとか、木桶絞りとか特別な製造手法を採用したものだが、明確な規定はなく、各酒造の判断に依存している。
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(出典:SPEEDA総研、参考5)

2.4 糖度と酒度
日本酒は、酸度酒度の組み合わせで辛口とか、甘口を定義している。まず、日本酒度は糖分が多いほどマイナスの値を示し、辛口になるほどプラスの値を示す。これは糖分を比重計で測定するためだ。一方の酸度は、有機酸の量を示し、酸度が高いほど切れやコクが増す。先の亀の尾は酒度が+2で酸度が1.2だ。個人的には、この亀の尾のような淡麗辛口あたりが好きだ。どれを美味しいと思うかは個々人の嗜好だが、酒度の全国平均は高い数字に上振れしている傾向にある。
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(出典:化学工学会新潟大会、参考6)

2.5 増大する純米酒市場
同じ日本酒でもアルコールを添加しているお酒は減少傾向にある一方で、アルコールを展開しない純米酒は増加傾向にある。下の図によると平成16年度には約14%だった純米酒平成26年度には22%まで8ポイントも増加している。昔のべたっとしたお酒は飲みたくないけど、最近の美味しい純米酒は個人的にも本当に美味しいと思う。あと、ワインは価格と品質(=満足度)の相関関係が難しいが、日本酒の場合には高いお酒ほど満足度が高い。しかも、ワインほど投機的な高価ではなく、適正な価格なのが嬉しい。日本の品質管理の秀逸さを純米本醸造酒などでは本当に実感する。少し、脱線するが、長男が誕生した時に、渋谷のフーズショーという地下街に行って、花の舞という純米大吟醸酒を購入した。正確な値段は覚えていないが、一升瓶が4千円ほどなのに、4合瓶が1万円ほどだった。なぜかといえば、4合瓶の方はナンバリングが付与された限定品だった。義父と長男の誕生を祝って飲んだところどちらも美味しい。何が違うかというと4合瓶の方は雑味がないのだ。まったく音のない無音の状態で最上級のバイオリンの音色を聴くような感じだ。一方の一升瓶は音色は最高なのだが、何となく雑音を感じる。そんな違いだった。後で、酒屋さんに聞いたらその通りですよと教えてくれた。

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(出典:多酒創論、参考7)

2.6 好みはそれぞれ
酒には、甘・酸・辛・苦・渋の五味があるという。つまり、あまい、すっぱい、からい、にがい、しぶいの5つである。日本酒の味は微妙だが大雑把にいえば、この5つの味が混然一体となった調和こそ酒の醍醐味だろう。しかし、あえて香りの強さを縦軸、味の濃さを横軸にしたものが左の図だ。また、日本全国でお酒を醸造しているが、都道府県別酒度の平均値が右の図だ。これ以外にも酒の若さで味わいが変わる。ひやおろしや荒ばしり、生酒はフレッシュだ。無濾過や雫酒は濃厚な味わいだ。熟成タイプや生酛(きもと)系は落ち着いた風味になる。また、酒の肴との関係もある。懐石風の煮物や刺身類なら冷淡辛口がいいかもしれない。焼肉や煮魚なら芳醇辛口か芳醇甘口で対抗するのがいいかもしれない。どんな日本酒がいいか悩んだらお店の人や唎酒師などのプロに聞いてみるのも方法だろう。

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(出典:左はSAKE蔵/参考8、右は永井本屋/参考9)

3. 日本酒の起源
3.1 揚子江起源説
日本酒の起源を考えてみよう。中国の揚子江の流域では、紀元前4800年ごろから稲作が始まったという。そして、ここで造られた米酒が日本に輸出されたのが日本酒の起源とする説もあるが定かではない。

3.2 考古学的アプローチ
紀元前1000年前後の縄文式竪穴から酒坑(しゅこう)が発見されたという。この酒坑には、クワやキイチゴ、サルナシなどの果実の断片とともに、発酵したものに集まるショウジョウバエの仲間のサナギが見つかったという(参考10)。日本酒というよりは、ワインの起源と言ったほうが良いのかもしれない。

3.3 中国の思想書「論衡」での記述
日本の酒に関する最古の記述は中国の思想書論衡だという。これは西暦1世紀ごろに書かれた記録であり、成王の時代(紀元前1000頃)に「倭人は鬯草を貢す」と書かれている。鬯草とは、酒に浸して作った薬草なので、その頃には酒が日本に存在したという証左になっている。3世紀ごろの魏志倭人伝においても、倭人は「人性嗜酒」と書かれていて、喪に当たっては弔問客が歌舞飲酒する風習があったようだ。詳細は不明だが、酒と宗教が深く関わっていたようだ。

3.4 日本書紀古事記での記述
ヤマタノオロチに関して、日本書紀では八岐大蛇として記録されており、古事記では八俣遠呂智と記述している。内容はほぼ同様だ。高天原を追放されたスサノオノミコトが出雲の国に降り立つ。そして、ヤマタノオロチという8つの頭と8つの尾を持つ怪物を退治したら櫛名田比売(くしなだひめ)と結婚する約束をした。怪物を退治するために、非常に強い酒(八塩折之酒)を8つの酒樽に満たすように指示する。そして、怪物が8つの頭をそれぞれの酒樽に突っ込んで酒を飲んで酔っ払っているところを十拳剣で切り刻んだという。また、その時に怪物から大刀が出てきた。そして、この大刀を天照御大神に献上した。これがいわゆる三種の神器の一つである「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」だ(参考11)。

4. 日本酒の進化
4.1 縄文時代の有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)と果実酒
下(左)の写真は、南アルプス市で発掘された有孔鍔付土器で、国の重要文化財に指定されている。下(右)の写真は、縄文時代中頃(約4500年前)のもので久保上ノ平遺跡の発掘調査で発掘された。いずれもどきに小さな孔が空いているのが特徴だ。この土器はお酒を作るために使われていた説がある一方で、太鼓として使っていたという説もある。いずれにせよ縄文時代にこれほどの土器を作るとは縄文人は只者ではない
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(出典:左は山梨デザインアーカイブ/参考12、右は南箕輪村/参考13)

4.2 口噛み酒と巫女さん
映画「君の名は。」でヒロインが口かみの酒を造ったというシーンがあった。この口かみの酒は、麹菌を使う前の古代の酒の造りだったという説がある。つまり、でんぷん質の植物を噛むと唾液によりでんぷんが糖化する。それをためておくと野生の酵母が糖を発酵させてアルコールができる。古代の日本やアイヌ、沖縄に加えて、中南米やアフリカなど世界各地で見られるという。また、モンゴルや沿海州でも米を原料とした口かみ酒を作っていたという記録(魏書)があるという。面白い。日本では、縄文時代には米の口かみ酒があったと考えられるが、8世紀初頭に書かれた古事記日本書紀には口噛み酒の記述が見られない。つまり、弥生人の文化ではないということではないか。沖縄では、泡盛が普及するまでは口噛み酒が一般的で、近代まで祭事用に口噛み酒をつくっていたという。このような酒をウンサクやミキといい、宮古ではミキ、八重山ではミシャグやミシュという。いずれも「神酒」としての意味合いがある。大和や台湾では、口噛み酒は神事用に造られ、原料を口で噛む人間が巫女(処女)だったという(参考14)。
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(出典:Wiki、参考14)

4.3 八塩折の酒(やしおりのさけ)と貴醸酒(きじょうしゅ)
下(左)の写真は島根の國暉酒造が醸造する「八塩折(やしおり)之仕込というお酒だ。この命名は、ヤマタノオロチが飲んだという「八塩折の酒」に由来している。つまり、何度も繰り返し醸造した濃いお酒だ。下(右)の写真は貴醸酒(きじょうしゅ)だ。日本酒は米100に対して水130を使うが、貴醸酒は米100に対して水70と酒60を使う。この仕込み酒は、三段仕込みの最終段階にある留(とめ)にためる。初めから終わりまですべて貴醸酒の古酒で仕込んだ貴醸酒も存在する。貴醸酒の名付け親は開発者の故佐藤信博士である。開発のきっかけとなったのは昭和48年の国賓の晩餐会だ。こういう時に使えるように開発したのが「清酒を原料とする清酒」だ。ロンドンで毎年International Wine Challenge(IWC)が開催されているが、そのSAKE(清酒の部)の古酒の部でこの貴醸酒は毎年金賞を受賞するなど海外で高く評価されている。
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(出典:左はSAKETIMES/参考15、右は食器と容器/参考16)
5. 日本酒の将来展望
5.1 唎酒師は3万人超
日本酒サービス研究会は1991年に設立し、日本酒の文化の継承と発展を目的として唎酒師の認定を進めてきたが、現在は累計3万人を超えている。利き酒会や酒造訪問なども行っている。私の知人も日本酒のソムリエの資格を持っていると言っていたが、これのことかもしれない。試験を受けて合格するか、通信教育を修了すると認定される。こんな活動も面白いかもしれない。
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(出典:日本酒サービス研究会、参考17)

5.2 美味しい日本酒のグランプリ
IWC(インターナショナルワインチャレンジ)2017が2017年4月末にロンドンで開催された。そして、そのSAKE部門で、9つのカテゴリーに対して計1245の出品が行われた。金メダルは計56個だ。例えば、純米酒の部では下の5つが選定された。さらに、南部美人は2017年のチャンピオンサケを受賞した。自虐ネタが大好きな日本ではあまり報道されないが海外では優れた日本酒の品質をきちんと評価して、素晴らしいものは賞賛している。f:id:hiroshi-kizaki:20171210195729p:plain
(出典:酒サムライ、参考18)

5.3 増大する海外市
下のグラフは、平成16年から平成26年にかけての清酒の輸出金額だ。10年でほぼ倍増だ。最大輸出国は米国だが、香港、韓国、中国と続いている。海外での日本食ブームに伴って日本酒も見直されている。先日高山を訪れた時も海外からの旅行者向けの日本酒が売られていたf:id:hiroshi-kizaki:20171210200403p:plain
(出典:財務省貿易統計、参考19)

5.4 海外製の日本酒のチャレンジ
日本からの輸出は米国やアジアが中心でヨーロッパはこれからだ。しかし、そのヨーロッパで本格的な日本酒の生産にチャンレンジしている人たちがノルウェイにいる。ノルウェイでお酒を作ろうと誘われたカナダ人とノルウェイ人は北海道の吟醸米と天然産酵母ノルウェイの雪解け水を用いて、山廃仕込みの日本酒「裸島」にトライしている。日本酒には、多種多様な味がある。「裸島」を飲んだ多くの人はポジティブな反応をするが、山廃仕込みの日本酒を口にしたことがない人からは、これは酒ではないと言われることもあるという。しかし、彼らは熱意で作りたい!と思ったものを作り続けている。転機はロンドンで開催された第一回SAKE品評会ロンドン酒チャレンジで「裸島 山廃 酛しぼり」が金賞を受賞したことだという。柔道は日本の国技だが海外勢も強豪だ。日本酒もそんな風に日本産の銘酒と海外産の銘酒が競う合う時代が来るのかもしれない。

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(出典:地球の歩き方、参考20)

まとめ
日本人は素晴らしい文化と歴史を持っているのにそれを自覚していないように思う。日本人が日本人の本質を理解し、国と祖先に誇りを持てるようになれば、日本人も元気になるのではないだろうか。今回、調べた日本酒にしても、日本全国の酒造が頑張って素晴らしい日本酒を造っている。地方を回ると高齢化でその文化を引き継ぐ若者が不足しているという。サラリーマンになるのも選択肢だが、古来からの文化を引き継いで頑張る方がこれからの情報化社会では評価されるのではないどうか。成功するのではないだろうか。生きがいを感じられるのではないだろうか。そんなことを感じた。

以上
長文を最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。

参考 1:https://news.nifty.com/article/item/neta/12225-120719000741/
参考 2:https://jp.ub-speeda.com/analysis/archive/66/
参考 3:https://ameblo.jp/winelaw/entry-12253787241.html
参考 4:http://tasyusouron.jugem.jp/?eid=25
参考 5:https://newspicks.com/news/2541563/body/
参考 6:http://scej.eng.niigata-u.ac.jp/sake.html
参考 7:http://tasyusouron.jugem.jp/?eid=64
参考 8:http://sakezou.com/ja/media/sake/54 
参考 9:http://www.nagaihonke.co.jp/sake/knowledge.html 
参考10:https://ja.wikipedia.org/wiki/日本酒の歴史 
参考11:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤマタノオロチ 
参考12:http://design-archive.pref.yamanashi.jp/shape/3475.html 
参考13:http://www.vill.minamiminowa.nagano.jp/soshiki/kyouiku/
参考14:http://www.kikunotsukasa.jp/column/archives/568 
参考15:https://jp.sake-times.com/knowledge/culture/sake_shinwa 
参考16:http://kangiken.net/backnumber/5507_eturan.pdf
参考17:http://www.ssi-w.com/?p=11606
参考18:http://www.sakesamurai.jp/iwc17_medal.html
参考19:http://sokoneichi.info/世界的に評価の高い日本酒通販お取り寄せ-2824
参考20:http://tokuhain.arukikata.co.jp/oslo/2012/09/hadakajima_norway_sake_nogneo.html

 

技術士試験:二次試験の口頭試験にトライ!

技術士二次試験にチャレンジしている人へ
口頭試験はこの土日がピークのようですね。私も今日口頭試験にトライしました。会場となる渋谷のフォーラムエイトでは、約300人が入場できるオリオンホールを控え室にしていて、私が見ている時間帯だけでも100人を超える人が緊張した表情でスタンバイしていた。

口頭試験を突破のためのノウハウ
1)全てのスタートは申込書
2)試験官は筆記試験に合格点をつけてくれた人
3)模擬試験を繰り返そう

全てのスタートは申込書
技術士試験(二次試験)を受験するためには申込書を提出する必要がある。そして、そこには自分の略歴(5行)と業務詳細(720文字)を記載する必要がある。受験分野や受験科目をどこにしようかと迷いながら書いたりする。その専門分野への深い知識がまだない時点で書いた略歴と業務詳細をもとに審査するのがこの口頭試験だ。なんということだ。自分が書いた内容も今から書き直して良いと言われたら全面的に書き直したい。ポイントがわからない。論理が不明。工夫した点が伝わらない。試験官はそんなダメダメ資料を手元で見ながら厳しい質問をしてくる。もう覚悟するしかない(涙)。

試験官は筆記試験に合格点をつけてくれた人
しかし、あきらめるのは早い。その試験官はあなたの筆記試験に対して合格点をつけてくれた人だ。つまり、あなたを合格させようとしてくれている味方なのだ。敵ではない。したがって、試験官の期待に応える必要がある。試験官の立場に立って、試験官が理解できるようにあなたの略歴を説明して、あなたがどのような経験をしたか、どのように成長したかを理解してもらう。そして、業務詳細では、どのような課題に対して、何が問題だったのか、その問題をどのような方法で解決しようとしたのか。その解決方法は最適だったのか。そして、どのような成果を得たのか。口頭試験はあなたの経歴を評価するのではなくて、あなたの能力を評価するのが目的です。したがって、こんな仕事をしたではなく、自分はこんな能力があるので、このような課題をこのように解決した。なので、これからも社会の課題を解決する能力があります!ということをアピールする場なのだ。

模擬試験を繰り返そう
今日は、不良在庫をテーマに話をしたが、試験官は品質が不良な商品の在庫のことだと誤解されていたことが途中でわかった。そういう意味ではなく、品質は良好だけど、販売する見込みがない在庫を財務的な観点から不良在庫を言って、評価減の対象となる。そして、評価減になると特別損失に計上する必要があるので、減益の要因になってしまうので、避ける必要があった。そんな誤解がいっぱい発生するのを解きほどすのがコミュニケーション能力だ。しかし、自分と違う考えをする人がいることを理解することは難しい。一人で考えてもできるわけがない。唯一の方法は第三者に試験官になってもらって、模擬試験をすることだ。いかに自分の思い込みが強いかを毎回思い知ることになるだろう。また、誤解しやすい場所が分かれば、その誤解を解くための説明の仕方も見えてくる。模擬試験は最低でも3回はしたい。できれば4−5回ぐらいするべきだ。相手は、自分の奥さんでも、子供でも良い。素人が試験官になってくれると、もう思いっきり誤解をしてくるので大変参考になる(笑)。

合格発表は3月9日(金)
2016年度(平成28年度)の合格発表は2017年3月1日だった。でも、今日の案内資料を見ると、2017年度の合格発表は2018年3月9日だ。わずか1週間ほどの差だけど、ドキドキする時間が去年より長くなるのは辛いなあ。神様でも仏様でもなんでも良いので、なんとか合格しているのをお祈りするしかない。ドキドキ💓

まとめ
控え室にはピークで100人ほどの受験者がスタンバイしていたが、そのうちの女性は1割ほどだった。女性の社会進出に期待が寄せられているが、技術士の世界はまだまだ女性が進出する開拓の余地がありそうだ。今日の口頭試験では聞かれなかったけど、今年度の経営工学のチャレンジが成功したら来年度はどうしよう。とりあえず、APECの申請はしようかと考えている。ただ、略歴を日本語と英語で用意する必要があるらしく、資料の準備が大変かもしれない。また、試験の構成の変更が検討されていて、現在の試験方法は来年度までだ。その意味では、情報工学にチャレンジするという選択肢もある。でも、もう一年頑張るのはきついなあ。どうしよう。。

以上