LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

いじめ問題:いじめの構図と解決策に向けて

いじめの構図
いじめとは何なのだろう。大人の世界でも、パワハラとかセクハラとか、xxハラスメントが問題になることが多い。全国の学校を訪問して、生徒さんたちにいろんなお話をすると、その反応から、この学校は大丈夫だと感じることがある。逆に、ネットトラブルの話をすると、耳を塞ぎ、目を閉じる子供がいる場合がある。後から先生にフォローをお願いすると当事者だったりする。いじめはなぜ起こるのだろう。そしてどうすればなくなるのだろう。

いじめの認知件数の推移
そもそもいじめはどの程度発生しているのだろうか?2015年10月に文部科学省初等中等教育局児童生徒課がまとめた調査資料(参考1)によると、下の図のような傾向となっている。これは、いじめの認知件数であることに注意が必要だ。年度別の推移を見ると、連続的に減少している部分と、非連続に増加する部分が混在している。後者の理由はいじめの定義が見直されたためだ。いじめ認知件数が減少しても、いじめによる悲劇は無くならないため、有識者が議論をして、いじめの定義をより厳しくして、いじめの防止を図る。そんな図式が見て取れそうだ。

f:id:hiroshi-kizaki:20171116130157p:plain


(出典:文科省の調査結果資料、参考1)

いじめの定義
では、いじめの定義はどのように変遷したのかというと、1986(昭和61)年度の定義では、自分より弱いものに対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実を確認しているものと定義されていた。1994(平成6)年度には、「学校が確認したもの」が削除された。これはいじめにあった児童生徒の立場に立つべきという判断からだ。是非は別にして、児童が「いじめられた」と申告したら事実関係にかかわらずいじめと判断されることになった。2006(平成18)年度からは、一方的に、継続的に、深刻なといった文言が削除された。一定の関係にあり、精神的な苦痛を感じたものと再定義された。したがって、嫌な気持ちを感じたら「いじめ」とカウントすることになった。さらに、2013(平成25)年度には「いじめ防止対策推進法」の中で再定義された。
f:id:hiroshi-kizaki:20171116112631p:plain
(出典:文科省の調査結果資料、参考1)

いじめ防止対策推進法
いじめ防止対策推進法とは、学校側がいじめはなかったとして、適切な対応をしなかったことが原因で2011年に起こった大津市の自殺事件を契機として2013年9月に施行された。いじめの再発を防止するために国、市区町村、学校、保護者、児童がなすべき行動が規定された。
f:id:hiroshi-kizaki:20171116121350p:plain
(出典:不登校新聞、参考2)

いじめはなぜ無くならないのか?
「いじめられた」と叫べば、それは「いじめ」となり、加害者とされた児童や保護者、学校、市区町村も批判されることになる。大人の世界でも冤罪はあるが、子供の世界でもいじめっ子が「いじめられた」と宣言するいじめも発生しているようだ(参考3)。

脳科学者の見解
脳科学者の中野信子博士は、そもそも人間は理想的な存在ではない。いじめは悪い子だけがやるものだと思いがちだが、いじめについての科学的理解を深める必要があると指摘する。また、例えば、「ももいろクローバーZ」では、メンバー5人がそれぞれの役割を持ち、それぞれが活躍できる場がある。お互いの個性や考え方を尊重するような人間関係においてはいじめは起こりにくいと言っている(参考4)。

いじめの構図
中野信子博士は、同時に人間は集団で生きる生物であり、集団の規律を乱すものが出るとそれを排除したり、指導したり、制裁したりする。この制裁がいきすぎた時に悲劇が発生すると言っている。これをヒントに構図を考えたのが次の図だ。規律を乱す人はどこにもいるものだ。しかし、組織としてそれを放置できない場合には、やはり注意したり、指導したりするが、このスキルを高めることが根本的な対策ではないだろうか。しかし、それでも集団の規律を乱す人がいると、昔の村社会では村八分を行った。つまり、葬式と火事以外の共同行為を全て拒絶するという行為だ。この行為にも是非はあるが、村八分にされた人はその後どのように生きるのかを選択する権利は有している点で悲劇的ではない。しかし、そうではなく制裁を下すようになると、その制裁が過激化することは過去にも、現在にも、そして残念ながら未来にもあるのかもしれない。そのような悲劇をなくすために、有識者が議論をして、さらに規制を強化する。しかし、規制が強化されると、その規制を守る人もいるが、規制を守ったふりをして水面下でいじめをするケースや、いじめと見なされないような巧妙な方法でいじめをするケースが生じる。「ドラえもん」におけるいじめっ子は、昔はジャイアンだった。しかし、文部科学省が公開した「いじめ対応へのヒント」という資料では、「いじめ」は加害者、被害者、観衆、傍観者の4つに分解して考える必要があるという(参考5)。

f:id:hiroshi-kizaki:20171116121457p:plain
(出典:筆者が作成)

いじめの構造
先の「ドラえもん」の人間関係においては「静香ちゃん」が影のいじめっ子だという説がある。だって、静香ちゃんには女の友達がいないじゃない。きっと性格悪いよという。下の図のように、加害者は実行犯であって、それを指示する司令塔がいるというのが最近のいじめのメカニズムだ。その司令塔は学業優秀だったりすると、親も学校もそんなことはないと考えがちで、実行犯だけが罰せられたりすると、いじめの構図が慢性化するので注意が必要だ。

f:id:hiroshi-kizaki:20171116130247p:plain
(出典:大阪市人権だより、参考6)

スクールカースト
現役の中学校教師である堀裕嗣さんが出版した「スクールカーストの正体」を読んだ時には、その慧眼に敬服した。堀さんは次の図のようにスクールカーストの構成員を分類化している。詳しくはぜひ図書を読んで欲しいが、高位の人間の意志を中間位の人間が忖度して、下位の人間をいじめる。大人の世界でも、役員、上級管理者、中間管理者、社員といった階層構造がある。子供の世界は大人の世界の縮図だと再認識する。
f:id:hiroshi-kizaki:20171116125942p:plain
(出典:スクールカーストの正体、参考7)

深刻化するいじめ
なぜいじめは深刻化するのだろう。いじめは、1対1の問題ではなく、集団の中で常に制裁を受けるべき行動が監視されている。先のスクールカーストの例で言えば、残虐なリーダの言動を忖度して、お調子者が実行犯となって、自己チュータイプをいじめるそんな構図だろうか。もしくは数名のグループの中で誰かの意志を忖度して、誰かをいじめ、そのあとは別の誰かをいじめる。そして、最後には主犯が被害者になる。そして、その時には、被害者を経験した恨みが凝縮されて、そのいじめが悲劇を生む。そんな想像したくない構図もあるという(参考8)。

解決策に向けて
集団で生きることが人間の性(さが)であり、その集団の規律を乱すものを是正しようとする行為に失敗したものが「いじめ」だとすると、どうすれば解決するのか。短期的な即効性はないが、次のような取り組みを長期的にじっくりと進める必要があるのではないだろうか。
1)個の尊重と夢へのチャレンジ応援
個人や集団の目的や夢を持ち、それぞれの目的や夢にチャレンジしたり、それを応援するような組織文化を醸成する。個人の価値は学業だけではない。個人はそれぞれ役割があり、夢があり、それに向けて頑張る。学友も学校もそれを応援する。えこひいきしない。生徒の長所を見出し、伸ばす。そんな校風を醸成することこそ努力すべきことではないだろうか。

2)ダイバシティの尊重と異質な文化の体験
日本社会は同質性が高いため、マイノリティに対する許容度が低いのではないか。これは子供社会の問題だけではなく、大人社会の問題である。大人社会においてダイバシティを尊重する社会風土を浸透させる。難しい問題だが、大人が範を示すことがやはり求められている。

3)SNSの規制や指導
LINEやTwitterを代表にして、SNSを使うことが問題の原因のように議論されることがあった。最近では、さすがにそのような論調は減って、正しい使い方を教えることが重要だという論調に変わってきた。しかし、それでもダメな使い方を示すことにとどまっていることが多い。今でも、小・中学生を対象とするフィルタリングのデフォルトではLINEを使えない。誹謗中傷をしてはいけないという指導をすることには賛成だが、それでどれだけの効果があるのだろうか。

4)SNSの積極的活用
学校推奨のSNSを提供するような方法もあるのではないだろうか。YouTubeを見すぎるなとか、YouTuberを目指すことに否定的な姿勢を示すよりは、校内で動画コンテストをしたりして、動画作成能力を競わせて、褒めてあげる方法もある。動画の秒数を例えば90秒と決めて、「最近のスマホトラブルのしくじり例」をテーマに子供達に動画を作らせたら、びっくりするような素晴らしい教育的な動画ができるだろう。そのような動画を生徒同士で共有させるような方法もあるだろう。最近では、いじめの兆候に気づいたら通報するような「STOPit!」といったSNSが使われ始めている。ドイツ人の若者が開発した分散型のSNSである「マストドン」の日本サイトも始まっている。あまり宣伝されていないので認知されていないが、auのキッズスマホには、不適切な言葉を入力すると、本当に送信する?と再確認する機能が実装されていた。米国の調査では95%は思い直すらしい。そして再確認されても送信する場合には、その履歴が残る仕組みだ。まだまだ課題も多いけど、SNSの利用を規制するよりも、不適切な使い方をSNSを活用して是正することも検討したい。

5)アクティブラーニングと課題設定能力
2020年に向けて新しい教育指導要領が検討されている。2017年2月14日に公示された改定案では、課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)を取り入れることが宣言されている。この前、中学校の先生と話をしていて、これからは問題を解く能力よりも、問題を考える能力が重要になると云う話になった。技術士的に言えば、課題設定能力だ。例えば教科書を題材にして、問題とその回答、そしてその根拠を生徒に考えさせるようなことができれば良い勉強になるのではないだろうか。そんな風に全ての生徒が必死にそれぞれの能力を発揮するような学校なら「いじめ」は起きないような気がするが、それは楽観的過ぎるだろうか。

以上

 

参考1:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/10/__icsFiles/afieldfile/2015/11/06/1363297_01_1.pdf
参考2:https://futoko.publishers.fm/article/1288/
参考3:http://blog.livedoor.jp/hasegawa_yutaka/archives/44904588.html
参考4:https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/postseven/trend/postseven-619712
参考5:http://trapro.jp/articles/711
参考6:http://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000359494.html
参考7:https://www.amazon.co.jp/dp/4098252503/trickfish-22
参考8:いじめを考える心理学 ― いじめの深刻化を防ぐために ― Psychology of ...
参考9:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1364316.htm

趣味嗜好:珈琲の起源から健康との関係

珈琲というネーミング
コーヒーのことを珈琲という漢字を使う。誰がネーミングしたのだろう?調べると、宇田川榕庵(よあん)という幕末の蘭学者だった。当時は発音から哥非と書いていたが、女性の髪を飾る玉飾りの意味の「珈」と、玉飾りの紐を意味する「琲」という漢字を用いたセンスは素晴らしい。宇田川榕庵は、珈琲以外にも「酸素」、「水素」、「窒素」、「元素」、「圧力」、「還元」、「分析」といった専門用語も生み出している。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113141329p:plain
(出典:Wiki、参考1)

蘭学者の師弟系図
蘭学者とは、外国との交流を禁止されていた江戸時代において許されていたオランダ経由で日本に入ってきた文化や技術に精通した学者だ。近代科学や医学、農学に通じていた。宇田川榕庵は、下の系図によると宇田川玄随から数えて3代目だ。宇田川家は津山藩(現在の岡山)の医師であり、宇田川玄随漢方医学よりも西洋医学が優れていると気づき、蘭学を学び、我が国最初の内科医学の翻訳書(西説内科撰要)を著した。なお、解体新書は西洋の外科医学の翻訳書だ。玄真松阪市出身の宇田川玄随の弟子だったが、のちに養子となり、西説内科撰要に新説や訂正を追加し増補重訂西説内科撰要を出版した。そして、先の榕庵は、美濃大垣藩の医師江沢養樹の息子だったが、宇田川玄真の養子となって志を継いだ。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113142153p:plain
(出典:宇田川家三代、参考2)

コーヒーの歴史
下の表によると、1258年頃にエチオピアもしくはイエメンでコーヒーが発見され、1510年にエジプトのカイロに世界初のコーヒ店が誕生したという。そして、驚くべきはヨーローパよりも日本に伝わったのが早く、1641年には日本にも伝わったという。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113144250p:plain
(出典:パーフェクトコーヒー、参考3)

コーヒーの伝来ルート
13世紀にアラビア地方でコーヒーが発見されたが、下の図によるとこのコーヒーは東に向かった。この世界地図には日本への伝来が記載されていないが、先の年表に合わせるとインドネシアを経由して17世紀には日本に伝わったのだろう。ヨーロッパにも同じく17世紀に伝わり、アメリカ大陸には18世紀になってから伝わったという。陸地はシルクロードだが、海洋は海流のルートに沿って伝わったと考えるのが自然だろう。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113145217p:plain
(出典:Origin of Coffee、参考4)

世界の珈琲消費量
現在、世界では珈琲を何杯ぐらい飲んでいるのだろう。下の図によると、最多はルクセンブルグの2844杯で毎日8杯近く飲んでいるという。この夏に旅行したフィンランドが1212杯で2位、エストニアが469杯で18位、リトアニアは409杯で21位だった。喫茶店は確かに多かった。では、日本は何位かというと調査対象の最下位の30位で340杯だ。日本ではコンビニコーヒーや缶コーヒーを楽しむ人もいるので調査前提を調べる必要があるが、まあ伸び代がまだまだあるということか(笑)。
f:id:hiroshi-kizaki:20171113145859p:plain
(出典:Gigazine、参考5)

日本の珈琲消費量と推移
日本国内での珈琲消費量は、リーマンショックが起きた2008年の後少し減少したが、それ以外ではほぼ右肩上がりで増加している。2014年時点のデータだが1週間で11.13杯。うち家庭で飲むのが7.04、つまり毎日1杯飲んでいるのが平均像ということだ。次に多いのが職場や学校だ。これにはコンビニ珈琲や缶コーヒー、アンバサダー珈琲などが含まれていそうだ。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113150734p:plain
(出典:Hack Coffee Beans、参考6)

珈琲摂取と健康との関係
珈琲にはカフェインが含まれている。一時期、デカフェを頼むこともあったけどスタバで追加料金(50円)が必要となったので、もっぱら普通のホットを頼んでいる。当然飲み過ぎは良くないが、適度な珈琲摂取は脳卒中や肝ガンの発生を抑制する傾向が調査で確認されたようだ。ただ、その因果関係はまだ良く分からないという。注意すべきは、これは相関関係がありそうだということだ。したがって、珈琲が好きでもない人が珈琲を飲んだから身体に良いとは言えないし、珈琲大好きな人が珈琲をやめたら癌になるとも言えない。まあ、身体の内からの声を聞いて、身体が欲しているものを飲んだり食べたり、運動したりするのがいいのでしょう。
f:id:hiroshi-kizaki:20171113151503p:plain
(出典:国立ガン研究センター、参考7&参考8)

まとめ
今回は珈琲のネーミングから、珈琲の伝来ルート、そして健康への影響と興味を持ったものを気まぐれに調べてみた。驚いたのは珈琲の伝播ルートだ。お茶などの起源や伝来ルートとの違いにも興味を持ったが今日は控えておく。起源をたどると色々なことが見えてきそうな気がして面白い。

以上

参考1:http://www.wikiwand.com/ja/学者 
参考2:http://www.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/person/udagawa/udagawa.htm
参考3:http://perfect-coffee.info/coffee-origin
参考4:https://infograph.venngage.com/p/64987/coffee-infographic
参考5:http://gigazine.net/news/20120726-coffee-consumption/
参考6:http://hackcoffeebeans.com/data/
参考7:http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/274.html
参考8:http://www.rococo-coffee.co.jp/gift/fathersday.html 

趣味嗜好:あなたはスタバ派?コメダ派?

マンションのWi-Fi契約とスタバ利用
現在、名古屋に単身赴任中だが、入居時にはマンションにWi-Fiがなかった。オーナーに文句を言ってWi-Fiを使えるようになったが、Wi-Fi契約していない。Wi-Fi契約すると月額5000円かかる。それならその5000円でスタバを利用した方がいいかと思って、もっぱらパソコン(MAC)操作はスタバで行っている。また、Wi-Fiは年契約で帰任時の解約処理とか面倒なのもある。オーナーさん、用意してくれたのにごめんなさい。

スタバ利用とGold Star
スタバではスタバカードを使うが、50円ごとに1Starをもらえ、それが250Starになると、Green StarからGold Starにランクアップされる。Gold Starになるとまた50円で1Starがもらえて、150Star集めるとReward e-ticketを貰えて、それを使うと珈琲の無料サービスがあるようだ。要はポイントカードだが、Starが増えると嬉しいので、ついついスタバに来てしまう(笑)。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113131211p:plain

スタバのマークは人魚
スタバは米国シアトルで1971年に開業し、現在では世界90の国と地域で2万店舗を超えるという。そして、そのトレードマークとなっているのが可愛い人魚(Siren)だ。シアトルのスタバ本社には開業当時のマークが残っているという。1987年に緑色になり、1992年に少しアップにして、2011年にはSTARBUCKS COFFEEという文字も決した。今後はコーヒー以外の商品にもこのロゴマークを活用するとも言われている(参考1)。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113132003p:plain
(出典:ロゴデザ、参考2)

 2017年度のカフェの満足度調査
Wi-Fiの利用が必須なので私はスタバ利用が圧倒的に多い。名古屋には、他にもWi-Fiを使える店もあるが、スタバはほぼ安定して使えるし、全国の色々個性的なスタバを探して利用するのが日常となっている。ただ、下の表にあるようにカフェの満足度調査を日本生産性本部が実施したところ、顧客満足度ではドトールが1位、ミスタードーナッツが2位、そして名古屋が誇るコメダ珈琲が3位にランキングされた。しかし、スタバは顧客期待や知覚品質、推奨以降で1位を堅持している。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113132811p:plain
(出典:ITメディア、参考3)

スタバとコメダ珈琲店の比較
喫茶店の良し悪しをどのような評価軸で判断するかは個人に委ねられるだろう。私は、まずWi-Fiの高速性と安定性、そしてゆっくりできるかどうか、最後は充電できるかどうか。珈琲は美味しい方がいいし、雰囲気も大事だ。ネットで調べるとお店の椅子が仕事向きかゆったり向きかを調べたものがあった(参考4)。この指摘は面白い。あと客層もこのマトリックスに合わせて異なる。コメダ珈琲でモーニングを注文するような時間帯は高齢者で賑わっている。午後のスタバは子育て中のママさんが多い気がする。姑はコメダ、嫁はスタバという構図だろうか。まあ、それぞれでストレスを発散して家庭では平和であってほしい(涙)。
f:id:hiroshi-kizaki:20171113133956p:plain
(出典:LiveDoor News、参考4)

 年代別の満足度評価
2016年4月に3千人以上に聞いた調査結果を@niftyニュースが発表していた(参考5)。これによるとドトールが僅差でスタバを抑えて一番だった。やはりコスパが良いのが評価されたということか。ドトールも好きだけど、Wi-Fiをやっている店舗が少ないのが個人的には不満だ。コメダもキャリアWi-Fiはあるけど店舗のWi-Fiがないのが残念だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20171113134808p:plain
(出典:@nifty news、参考5)
コメダ珈琲のモーニングセット
珈琲を頼むとトースターが付いてくる名古屋式のモーニングは有名だ。特にこのコメダ珈琲では3種類から選べるが、私は小倉餡(あん)を選んでしまう。トースターと小倉餡が合うとは思えなかったけど、実際に食べると結構いける。癖になってしまう(汗)。技術士の二次試験(筆記試験)の受験勉強にはコメダ珈琲にも大変お世話になった。確かにソファーがしっかりしていた。

f:id:hiroshi-kizaki:20171113135456p:plain
(出典:おいしいなごや、参考6)

まとめ(中間)
名古屋にいると東京と違って立ち食いそば屋がほとんどないのは不便だが、それ以上に喫茶店が多いし多彩だ。珈琲の起源を振り返ろうと思ったけど、名古屋ネタで終わってしまった。次回は珈琲の起源を調べてみたいと思う。

以上

参考1:http://catchme.tv/starbucks/1110/
参考2:http://logo-design-osaka.com/starbucks-logo/

参考3:http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1706/20/news106.html
参考4:http://news.livedoor.com/article/detail/12120660/
参考5:https://news.nifty.com/article/item/neta/12225-160511007112/photo/
参考6:http://juno.nagoya/entry/選べる!コメダ珈琲の新モーニング3種/

知覚問題:人工内耳はどこまで進化するのだろう。

スマートスピーカ
AmazonのEchoやGoogle Assistantを始め各社がスマートスピーカのシェア争いに依存でいる。先行している米国では、すでに前年比2.3倍の3560万人が利用し、そのうち70%がAmazon Echoを占めているという(参考1)。一方、スマホタブレットに実装されているAI音声アシスタントはすでに35億台を超えていて、2021年には75億台を超えるという。こちらの分野ではGoogle Assistantの伸びが突出する見込みだ。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110153052p:plain
(出典:ロボスタ、参考1)

聴覚と視覚
今までのSNSスマホタブレットでのテキストや写真や映像といった視覚情報ベースだった。最初はテキストベースだったが、写真ベースになり、現在は動画ベースのSNSが急速に普及している。携帯電話は、外で本来話をするツールだったはずだが、ある男子高校のアンケートで不要な機能の一番が通話になるなど、すでに通話用のツールの枠を超えている。しかし、一方で、音声認識機能の進化は目覚ましく、テキストを入力するより、音声認識モードにして、スマホに向かって話をする方が早いし、楽になってきた。スマートスピーカは今後どこまで進化するのだろうか。

生物の進化の過程での聴覚と視覚
1) ナマズの耳
魚の耳に相当する器官は側線だが、ナマズの場合にはそれが横に並んだ大孔器だ。そして、ナマズはこの器官のために水圧や水流の変化を感じ取る能力が高い。ナマズ地震を検知するという都市伝説があるが、これも根拠のあるものかもしれない。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110154334p:plain
(出典:FIMO、参考2)

2) 水中での音速
音の速度は真空であれば秒速330mとよく言われるが、厳密に言うと気圧や気温に依存する。高温になると分子の活動が活発になるので音速も早くなる。また、分子量が小さい物質ほど音速が早くなる。ヘリウムガスを吸って話をするとドナルドダックのような声になるのは、音速が3倍近く速くなって、甲高い声になるためだ。水中だと真空の約5倍(秒速1500m)となる。氷だとさらに倍の秒速3230mだ。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110155147p:plain
(出典:Wiki、参考3)

3) 海中は沈黙の世界か?
中学生の頃に好きだった女の子から本をプレゼントしてもらった。「沈黙の世界」という本で、海洋学者であるジャック・クストーが美しい海洋を紹介してくれた。その奥深さに単純な自分は感動し、ダイバーを目指した。成人後、ダイビングライセンスを取って海中に潜ると確かにそこは沈黙の世界だ。でも、そこで生きる生物は、視覚よりも聴覚や触覚の方がより研ぎ澄まされたのではないだろうか。

4) 動物の可聴周波数帯域
人間が感じることのできる音は20Hzから2万Hz程度と言われている。一方、動物が聞こえる周波数は犬が65Hzから5万Hz、猫が60Hzから6.5万Hz、イルカが150Hzから15万Hz、コウモリが3000Hzから12万Hzだという。しかし、魚は50Hzから5,000Hzと極端に狭い。やはりこれは水中では高い音はすぐに減衰するからなのだろうか。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110161834p:plain
(出典:パイオニアのホームページ、参考4)

5) 水中の減衰量は周波数が高いほど大きい
下の図は周波数と音波の減衰の特性図だ。周波数が10倍になるとレベルが20dB下がるので、つまり100分の一になっている。つまり、損失量は周波数の二乗に比例して増大する。これは電波の場合と同じ仕組みなのだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20171110162329p:plain
(出典:株式会社アクアサウンドのホームページ、参考5)

6) イルカのエコーロケーション
イルカの場合には、超音波を出すことで獲物となる魚の位置関係を確認したり、強い超音波で麻痺させたりする。超音波に慣れていない魚はびっくりして気絶しちゃうのかもしれない。どうやってイルカはこんな能力を身につけたのだろうか。不思議だ。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110161144p:plain
(出典:まとめサイト、参考6)

7) 人間の耳の構造
人間の場合には、どのようにして音を聞くのだろうか。下の図にあるように外耳と中耳と内耳の3つに分かれている。外耳は空気の世界で外からの音を効率的な集めて、鼓膜に伝える役割を持っている。内耳は液体の世界で音を感じる役割を持っている。そして中耳はこの外耳と内耳を結ぶ役割だ。人間の中耳は、3つの耳小骨で構成されている。つまり、外耳(鼓膜)とつながるツチ骨と、内耳(前庭)につながるアブミ骨と、それらを結ぶキヌタ骨だ。そして、中耳は顎につながっているので、例えば海中にダイビングするときに水圧調整がうまくいかないと耳が痛くなるが、顎を動かしたりすると治ることがあるのもこのような構造のせいだ。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110162942p:plain
(出典:看護Room、参考7)

 8) 音の振動を感じる構造
鼓膜の信号は中耳を介して、内耳の卵円窓から前庭階を通して蝸牛をぐるっと回って、正円窓から出て行く。その途中には蝸牛神経が弦のように張り巡らさらていて特定の音と共鳴することで音を感じるという仕組みだ。小中学校の理科でここまで説明してくれたらちゃんと理解していたかもしれない(笑)。しかし、直感と異なるのは、蝸牛の根本が高い音で、蝸牛の細い部分が低い音に共鳴するという。逆だと思っていた。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110164229p:plain
(出典:聴覚の経路、参考8)

 9) 突発性難聴
突発性難聴になったのは何年前だろう。音楽を聴きながらゴルフの練習をしていたら音が急におかしくなり、イヤホンを片方ずつ聞いたら左耳が聞こえていない。急いで帰宅するが、途中でトラックが通過する音がジェット機が通るような音に聞こえた。すぐに病院に行くが、突発性難聴は治らないもの。悪化しないように治療しましょうと低い志で治療が開始された。結局、悪化はしなかったが、完治もしなかった。でも、電話で通話するときに使う周波数帯域(300Hzから3400Hz)は全く問題なく、4000Hzを超えたあたりからダメだ。今でも、小さな子供の高い声は左耳では聞き取れない(涙)。しかし、悔しいのは、突発性難聴の原因以前に、外耳が悪いのか、中耳が悪いのか、内耳が悪いのかわからないことだ。個人的にはデジタル方式の時代に運転しながら何時間も携帯電話で通話し続けた時に、頭がクラクラとした経験がある。あれが左耳だったので、それが原因かもしれないと推測している。でも、どうして、それで突発性難聴になるのかの理屈が全く分からないし、医者も説明してくれない。頭のMRI(磁気共鳴画像)を念のため撮影してもらうことになり、その結果を聞くと年齢どおりの劣化具合ですね、とのこと。加齢が原因と言われても、そんな説明では納得できない。

10) ペーペッツ回路とヤコブレフ回路
だんだん難しくなってきた。ここら辺で止めるが、聴覚や視覚と言った信号は脳で処理されるが、その回路として2つある。一つはペーペッツ回路で記憶系を担当する。他方はヤコブレフ回路で情動系の回路だ。2つの回路はお互いに交流して、影響しあっている。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110170924p:plain

(出典:脳と精神、参考9)

人工内耳の可能性
医療の現場では、人工内耳の開発が進んでいる。下の図は体内装置と対外装置を組み合わせて使う人工内耳の例だ。補聴器のように音量を上げるのではなく、音を聴覚神経に直接伝える方法だ。海外では生まれつきの聴覚障害者に対する治療として活用されている。例えば、スウェーデンでは新たに生まれるろう児の90%は人工内耳の手術を受けている。日本でも片耳であれば保険適用が可能と言う。
f:id:hiroshi-kizaki:20171110171733p:plain
(出典:CNETジャパン 、参考10)

人工内耳の適用状況
最近のデータではないが、1998年時点で世界で1.8万人が使用し、うち日本人は866人だ。使用数では5番目だが、若者への適用は少なく、18歳未満への適用ではかろうじてイタリアよりも多い9番目だ。若いときに手術する方が効果が高いとも言われている。日本では適応年齢は2006年までは2歳以上から1歳6ケ月に、そして2014年からは原則1歳以上(体重8kg以上)と人工内耳適応基準が改定された。2015年時点の論文(参考13)では人工内耳の世界での利用は約25万人、うち日本では1万人で世界4位だという。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110172859p:plain
(出典:音声言語医学委員会報告、参考11)

人工内耳の小型化・軽量化
機器の小型化は着実に進んでいる。しかし、体内装置の小型や低消費電力化など技術的な問題は多い。最近では、機器の細かな操作はスマホのアプリで行うようになっているのが多い。

f:id:hiroshi-kizaki:20171110173228p:plain

(出典:参考12)

まとめ
 スマートスピーカーについて調べるつもりが、聴覚のことを深掘りしてしまった。聴覚と視覚は脳科学的にはそのメカニズムに共通点があり、特に記憶を担当するペーペッツ回路と、情動を担当するヤコブレフ回路が相互に影響しあいながら機能していることがわかってきている。人工知能が進歩した場合に、今後はより脳に近いところでの信号をやりとりする脳間通信も研究されている。テレパシーが実現するのも時間の問題かもしれない。しかし、思ったことや感じたことが脳の外に出すことは究極のプライバシーの侵害にならないのだろうか(笑) 

以上

参考1:https://robotstart.info/2017/05/19/virtual-digital-assistants.html
参考2:http://www.fimosw.com/u/zacco/vzxmz5ehssmudo 
参考3:https://ja.wikipedia.org/wiki/音速
参考4:http://pioneer.jp/carrozzeria/museum/oto/01_a07.html
参考5:http://aqua-sound.com/business/consulting/noise.html 
参考6:https://matome.naver.jp/odai/2140223070880022301
参考7:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1926
参考8:https://blogs.yahoo.co.jp/yuyamichidori/11160610.html
参考9:http://www.actioforma.net/kokikawa/kokikawa/dynamism/dynamism.html
参考10:https://japan.cnet.com/article/35104860/
参考11:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/39/4/39_4_488/_pdf
参考12:http://www.cochlear.com/wps/wcm/connect/sg/home/discover/cochlear-implants/nucleus-6/six-reasons/smallest-sound-processor
参考13:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalliedhealthsci/6/1/6_15/_pdf

倫理問題:米国の企業の方が倫理的なのか?

内部通報件数の多いランキング
少し古くて恐縮だが、昨年9月の東洋経済オンラインに内部通報者の多い企業のトップテンランキングが掲載されていた。内部通報が多いことは良いことなのか、悪いことなのかを論ずるのは難しい。内部通報が多いということは問題が多いという側面に加えて、社内の自己解決機能が高いという側面もあるからだ。また、今年になってから社内不祥事が報道された企業はこのランキングには含まれていないことからも、ベストではないが、ベターな企業群だと言えるのではないか。

f:id:hiroshi-kizaki:20171109150445p:plain
(出典:東方経済オンライン、参考1)

社内風土の活性化と改善
内部通報が多くてもそれらの課題を社内で共有されているかどうかが重要ではないか。下の表のように、各種問題はすでに社内で議論されているが、それでも内部通報が多いというのは改善の意欲が非常に強いということで望ましいことでもある。ただし、改善のためのリソースや時間、コストには限界もあるので、社内でよく議論して、優先度を決めて、それをオープンに共有することで、さらに次のステージに進めるだろう。

f:id:hiroshi-kizaki:20171109160805p:plain

閉鎖的な社内風土&内部通報が多い
上の表で左下のマトリックスは要注意だろう。つまり、問題は事業部別の縦割りが進んでいたり、ラインの上下でも社内の情報の共有がされていないケースだ。現場の第一線の不満や問題意識を吸い上げる体制も人材もいないために内部通報に情報が偏るなら、日常の情報共有やコミュニケーションを活性化することが先決だろう。

内部通報が少ない場合
判断が難しいのは、このケースだ。社内では問題が活発に議論されているのに、内部通報が少ないのだとしたら、それは内部通報システムが謦咳化しているのかもしれないし、内部通報システムが頼りにされていないのかもしれない。もっとわかりにくいのは社内の情報共有や議論も活発でないケースだ。これは問題意識自体が低いがなく、言われたことだけをやれば良いというような企業風土になっている可能性がある。このような企業の文化を変えることが実は一番難しい。

グローバルに高い倫理観を持つと評価されている企業
世界で最も倫理的な企業の調査を米国のシンクタンク(エシスフィア・インスティテュート)が毎年行っている。2017年版は2017年3月13日に発表され、世界19ヶ国124社が発表された。日本の企業では花王が選出された(参考2)。

11年連続で世界で最も倫理的な企業に選定された花王
花王は、世界で最も倫理的な企業2017に選定された。花王は2007年に同賞が開始してから11年連続で選定されている唯一の日本企業だ。同賞は透明性、誠実さ、倫理、コンプライアンスに関する優れた成果を挙げる企業を表彰する賞だ。

日本の企業は減少傾向
2011年版の調査では、この花王を筆頭に、日本郵船、リコー、資生堂、損保ジャパン、そして東京海上火災(当時)の6社だったが、2017年版では花王の1社のみに減少してしまった。日本企業の倫理観はグローバルに見ると減衰しているということなのだろうか。

企業倫理の評価基準
エシスフィア・インスティテュートは、同社の独自の倫理指数で評価している。具体的には、企業倫理・コンプライアンスプログラム(35%)、コーポレートシチズンシップと責任(20%)、倫理文化(20%)、ガバナンス(15%)、リーダーシップ・イノベーション・社会的評価(10%)で構成されている。同社によると、選出された124社はS&P500より株価が6.4%も高いという(参考3)。

f:id:hiroshi-kizaki:20171109155300p:plain
(出典:ETHISPHERE、参考3)

まとめ
日本では、内部通報の多い企業を報道することが多い。一方、米国では倫理感の高い企業リストを発表する。脳科学者の中野信子さんは、飴と鞭よりも、飴と無視の方が改善効果が高いという。良いことをしたら飴をあげて褒め、悪いことをしたら鞭で叱るという方法は、一般的な方法として認知されている。しかし、鞭を使わせないように、余計なことをしなかったり、隠したりするようになる。そうではなくて、悪いことをしても、スルーして、良いことをした時にだけ褒める。まさにペットの指導法だ。このような「飴と無視」による指導が最も学習効果が高いという。ただし、いつも褒めているとその効果は低下するので、スパイスの意味で軽く叱るとか注意喚起するのは良いのかもしれない。企業の倫理感を高めるには、自虐的に問題のある企業をリストアップするのではなく、模範となるべき企業をリストアップするような方法を日本でも採用したり、お手本となる企業の姿勢やノウハウを学ぶべきなのかもしれない。

以上

参考1:http://nenene-news.com/?p=5984
参考2:https://www.forbes.com/sites/jeffkauflin/2017/03/14/the-worlds-most-ethical-companies-2017/#611b08057bc3
参考3:http://worldsmostethicalcompanies.ethisphere.com/scoring-methodology/


日本人の起源:日本人の貯金好きは遺伝子が原因?!

日本人の貯金好きの原因は遺伝子か?!
これは世代にもよると思うが、特に高齢者の日本人は貯金が好きだ。日本人の個人資産のうちの現預金の比率は52%、金額ベースで892兆円という(参考1)。日本のGDP(約500兆円)の1.8倍の現預金だ。国民が貯金好きなのは一概に悪いとも言えないが、世代間のギャップが高まりすぎるのは問題かもしれない。

新奇探索性とは
貯蓄好きとは直接リンクしないかもしれないが、新しいことにチャレンジする傾向が高いかどうかは、脳科学者の中野信子によると、日本人の遺伝子にその原因があるという(参考2)。新しいことにチャレンジする性格を「新奇探索性」と言い、その新奇探索性はドーパミンのD4レセプタタイプ(DRD4)の長さで決まるという。そしてその傾向は、例えば、DRD4が7回繰り返すものの比率は、日本人では1%デンマーク人が14%、スペイン人は18%という。

フィンランド人はアジア人系人種?
フィンランド人はこのDRD4が7回繰り返す比率が6%と低い。中野信子さんは、この理由は「フィンランドの人々がもともとアジア系の人種だったことに由来するのかもしれない。」と説明している。バルト三国を訪問した時に、フィンランドリトアニア、ラトヴィアではそれほどでもなかったけど、エストニア人にはアジア人の遺伝子を感じた。エストニアの古い農家は日本の古い農家との共通点が多かった。エストニア人はヨーロッパの日本人と言われているらしい。中野信子の説明をもっと聞きたいと思った。

大企業の内部留保非正規社員の比率
話を貯蓄好きに戻す。貯蓄好きの性壁が大企業の経営者の判断にも影響を与えているのだろうか。企業経営者を利益を上げることを求められている。そして、同時に社員の生活を守る責任も有する。しかし、下の図を見ると、労務コストを切り下げるために正規社員を非正規社員に切り替えて、それによって得た利益を内部留保として溜め込んでいる図式に透けて見える。東京都の知事は希望の党の中で内部留保に対する税金を提案していたが、財源がほしい財務省も無理筋と見放していた(参考3)。希望の党は失速したが、内部留保に課税をするのではなく、非正規社員の比率を下げるように規制することにあるのではないだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20171109082518p:plain
(出典:すくらむ、参考3)

政府の非正規社員率が高いのは労務厚生省
下の図によると、民間企業の非正規社員比率は38%だという。官公庁では財務省法務省国税庁は10%程度と非常に低いが、最も非正規社員比率が高いのは厚生労働省の46%だ。それぞれの省庁にはそれぞれの事情があるが、非正規社員が高い省庁は、業務を見直して、民営化できる要素が残っているのではないか。

f:id:hiroshi-kizaki:20171109090020p:plain
(出典:月間「KOKKO」、参考4)

まとめ
今回は、貯蓄好きから遺伝子の話、内部留保、そして非正規社員と話が転々としてしまった。貯蓄好きなことは問題ではないが、企業が内部留保に走ると非正規社員が増えて、結局国力が低下することにつながらないだろうか。AIやロボットの進化に伴い、特に中間層の仕事がなくなると予想されている。企業が利益確保や内部留保を強化することは悪いことではない。しかし、競争力を高めて、収益率を上げるのではなく、労務費をカットして、内部留保を高めているのだとすると、再考すべき部分もあるのではないだろうか。難しい問題だ。

以上

参考1:https://zuuonline.com/archives/90128
参考2:http://logmi.jp/152044
参考3:https://ameblo.jp/kokkoippan/theme2-10007205193.html
参考4:http://editor.fem.jp/blog/?p=1741

倫理問題:不祥事が発生するのは健全?!

相次ぐ日本企業の不祥事
最近、製造業を中心に不祥事の報道が相次いでいる。まとめサイト(参考1)を見ると、次の各社の不祥事が掲載されていた。
三菱自動車 2000年 ブレーキなどのリコール案件を放置、隠蔽
三菱自動車 2004年 ハブなどのリコール案件を放置、隠蔽
パロマ   2006年 湯沸かし器のリコール案件を放置
東洋ゴム  2007年 断熱パネルで性能データを偽装
・タカタ   2015年 エアバックのリコール案件を放置
東洋ゴム  2015年 免震、防振ゴム等で性能データ偽装
旭化成   2015年 子会社の旭化成建材が地盤調査データを偽装
三菱自動車 2016年 自動車の燃費性能データを偽装
日産自動車 2017年 無資格者による法定検査の実施、隠蔽
神戸製鋼  2017年 鋼材性能データを偽装

不祥事はなぜ起こる
病気では急性と慢性があり、急性は原因が明確だが、慢性は生活病とも言われ、体質改善が必要だ。現在、問題となっている不祥事には急性というよりは慢性の問題が多いのではないだろうか。例えば、神戸製鋼の性能データの偽装や日産自動車の無資格者による法定検査の実施は長年現場で運用されていたものではないか。それぞれの不祥事にはそれぞれ理由があるはずだ。例えば、無資格者による法定検査が良いわけはないが、止むを得ず1度行ったことが見過ごされると、2度目、3度目が発生し、ついには、慢性化する。そんな歴史があったのではないだろうか。

不祥事の発覚
では、なぜここにきて急速に不祥事が発覚するのだろうか。すべての不祥事がどのように見つかったは確認できていないが、ニュースやネットで見る限り内部告発によるものが多い。つまり、顕在化する問題が生じないが、本来おかしいのではないか、法令違反なのではないかと感じた社員が内部告発をしているということではないか。現場力が高い時代には、現場で起きている問題を現場で解決・改善していた。しかし、このボトムアップ力が下がっているのではないか。現場の声が本社や経営層に届かないか、それを経営改善に反映するということがなくなっているのではないか。

東京労働局の申告受理件数
平成12年から平成19年にかけて東京労働局が受理した内部告発の件数の推移だ。東京労働局のサイトをアクセスしてもなかなか直近の内部告発件数が分からない。

f:id:hiroshi-kizaki:20171109092341p:plain
(出典:東京労働局、参考2)

公益通報者保護法
内部告発を行った労働者を保護するために、2006年4月1日に公益通報者保護法が施行された。この法律により内部告発者(公益通報者)を保護されるが、対象は犯罪の可能性または法規制の違反行為なので、すべての違法行為が対象となっているわけではなく、すべての倫理違反行為が対象でもない。同法で定める通報先は1)事業者内部、2)監督官庁や警察・検察等の取締り当局、3)その他外部(マスコミ・消費者団体等)の3つだ。事業者内部の告発件数は社外には開示されないし、監督主官庁の統計情報の開示も不十分だ。マスコミもニュースソースとしての裏付けデータはあまり見れない。頼りは消費者団体等による情報公開ということになるのだろうか。

内部告発者は守られているの?
プレジデントオンラインにおいて、ジャーナリストの元木昌彦は「内部告発は割に合わない」と指摘する(参考3)。米国のホイッスルブロワー法では、告発者に褒賞を出すことまで規定しているが、日本の法律は事実上内部告発者を規制する法律となっているという。また、外部への通報を行う場合には、まず社内で通報して、20日以内に「調査する」という回答がないことが条件となっている。したがって、調査したかどうかではなく、「調査する」と回答を受けると外部に通報できない。つまり、内部告発者というよりは企業を守る法律ではないかという。

一般企業が公開する通報件数
下の図は、株式会社SPNの内部通報マログチリスクホットライン(RHL)に寄せられた通報実績だ。100人当たりの通報件数は0.5前後で推移しているが、通報件数自体は加速度的に増加している。内部告発件数は増加傾向にあると言える。
f:id:hiroshi-kizaki:20171106122616p:plain
(出典:RHL、参考4)

パワハラの申告件数
通報件数で多いのがパワハラだ。下の図は平成18年度から平成28年度までに、全国の都道府県労働局の総合労働相談コーナーに寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数だ。子供の世界での「いじめ」が問題になるが、大人の世界でも平成28年度には8万件弱のいじめの相談が寄せられている。子供の世界は大人の世界の縮図と言われるが、まさにその通りではないのかと悲しくなる。

f:id:hiroshi-kizaki:20171109092252p:plain
(出典:明るい職場応援団、参考5)

インターネット上の内部告発サイト
最近急増しているのはSNSへの告発サイトだ。最近では、匿名で企業体質や企業内の問題を投稿するサイトがある。それを検索すると、例えば、NTTdocomoやKDDIは企業倫理を重視するという内部評価が高いことがわかるが、もう1社の携帯電話事業者では普通だったりする。怖い世の中になったものだ。

ハインリッヒの法則
企業の不祥事が発覚するとメディアでも大騒ぎになる。テレビや新聞でも報道される。しかし、大事なことは重大な不祥事(事故)が発生した時に騒ぐのではなく、軽微な事故が発生した時に、なぜ発生したのかを分析して早期に対策することだとハインリッヒは指摘している。さらに言えば、重大な1件の事故の背後には300件のヒヤリハットがある。日常のヒヤリハットを吸い上げ、関係者で共有し、その再発を防止するための対策を講じることだ。それを実現するには、
f:id:hiroshi-kizaki:20171109090731p:plain
(出典:筆者の作成資料)

 SNSの活用は有効
子供のいじめ問題でもSNSを活用する試みが増えている。例えば、長野県教育委員会は9月にLINEを用いた悩み相談を試験的に開始したところ2週間で1500件超の相談が殺到したという。昨年度の電話による相談は259件だった(参考6)。千葉県柏市教育委員会でも脱傍観者を目指して、チャットによる相談が可能な「STOPit」を導入した(参考7)。このSTOPitを開発した米国では約6千校、266万人が使っている。日本での普及してヒヤリハットの情報を共有して、いじめを防止する体質を強化してほしい。

まとめ
不祥事が発生するのは問題だ。しかし、不祥事が表に出ないでいつまでも根本解決が図られないのはもっと問題だ。公益通報者保護法が制定されてから、内部告発は悪いことではないという意識が若い人の中で徐々に広がっているのかもしれない。さらに最近ではSNSサイトで簡単に内部告発ができる。現在の法律に基づくと重大な不祥事をこのようなサイトにアップすることは合法とは言えないが、「ヒヤリハット」をSNSに上げることは問題ないのではないか。そして、ヒヤリハットの法則に基づけば、例えば1万件のヒヤリハットの書き込みがあり、それの対策をきちんと行えば、それは30件の重大事故の未然防止を果たしたことになるのではないか。重大な事故が発生してから大騒ぎするのではなく、日常のヒヤリハットを関係者が共有して、問題意識を持って日常の業務改善につなげることではないだろうか。

 以上

参考1:https://matome.naver.jp/odai/2150868092708361301
参考2:http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51263004.html 
参考3:http://president.jp/articles/-/22763?page=2
参考4:http://www.sp-network.co.jp/column-report/risk-focus/naibutuho/candr20004.html
参考5:https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/statistics/ 
参考6:http://editor.fem.jp/blog/?p=1741
参考7:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22740460W7A021C1CC1000/